今日はミンコフスキ&モーツァルテウムに引き続き、7時から祝祭大劇場でクセイ新演出の「ドン・ジョバンニ」でした。今日は3回目の公演で、プレミエは、イェーダーマンに代わり今年の音楽祭開幕を飾ったそうです。それほど本公演に掛けられる期待は大きく、実際に大変素晴らしい内容で、1日にしてミンコフスキとアーノンクールの名演を二つも楽しめることになりました。
席はパルケット最前列の右ブロック一番中央寄りで、ステージが前面に迫り、左にアーノンクール、目前にウィーンフィルという贅沢なポジションでした。序曲の開始から緊張感漂うアーノンクールの指揮が素晴らしく、ちょうどオーケストラが海原のように広がり、その波の上からシャウシュピールを楽しめるといった感じでした。序曲の中盤で幕が開き、客席からどよめきと笑いが。何とステージ面全体がPalmersの女性アンダーウェア広告!。さらに広告の中央には扉があって、何人ものサングラス女性モデル達が左右から登場しては、その扉の奥へと入っていく演出。
第1幕は、広告壁が上部に上がり、代わって白一色の回転体が登場しました。パノラマ舞台の左右を平板にして、中央部が宇宙船を思わせるようなデザインがとても斬新でした。さらに回転体には扉が幾つもあって、その扉の奥にも2重の回転壁があり、シリンダーのように上下したりと、シンプルながらも自在にステージを小部屋に分割できる構造でした。
第1場、ハンプソン扮するドン・ジョバンニとダルカンジェロのレポレッロ。ドンナ・アンナはロシアの新鋭アンナ・ネトレブコ。彼女もアンダーウェア姿でとても可憐な少女そのものでした。クルト・モルの騎士長はドン・ジョバンニの執拗な殺意により3度刺されて死にますが、刺された背中を壁に押し付けられた為か、白のカンバスにびっくりマーク「!」が血で描かれたのはちょっとした衝撃でした。白を基本とする舞台に強烈な蛍光が照らされ、フラッシュのように点滅したりと、視覚的にもドラマに応じたテンションの高まりを感じさせるステージでした。
第2場ではメラニー・ディーナのドンナ・エルヴィーラが登場し、レポレッロのカタログの歌は、エルヴィーラが回転舞台を歩きながら次から次へと登場するドン・ジョバンニに捨てられた女性達を見て驚く様を上手く描いていました。
第3場では、何と今日のモーツァルト・マチネでも歌っていたコジェナがツェルリーナで登場しました。それにしても良く歌えるものだと驚嘆。彼女は、昨年のナクソス島でのデッセイのように臍だしスタイルで、とてもセクシーな設定でした。ドン・ジョバンニがツェルリーナに迫る場面はオペラという枠を忘れさせるほどリアリティがあって、まさにドラマに熱中させる演出。"La
ci darem la mano..."の二重唱はうっとりとするほどの美しさでコジェナとハンプソンの美声に釘付けとなってしまいました。また結婚式に臨む村人たちはアンダーウェア姿のモデル達でその状況設定もとてもユニークでした。第4場、第5場も回転ステージがアクセントを与えていてスピーディな展開にも効果的でした。 |