今日はベルリン・テーゲル空港を12:10の便で発ちシャルル・ドゴールに13:55定刻に到着した。宿はエッフェル塔近くのヒルトン。このところ連日曇り空だが、気温はベルリンよりも少し高め。雨が降り出したりと不安定な天気が続く。エッフェル塔からオペラまではメトロを乗り継いで30分ほど掛かった。ここでオペラ仲間の方と待ち合わせして、ビストロで19:30の開演を待った。既に雨は上がり、爽やかな青空が広がってきた。明るい陽光に初夏への移ろいを感じた。
さて今回のイドメネオはスーザン・グラハムがイダマンテを歌うということで、インターネット予約もチケットがどんどんと無くなって行くほどの人気。発売日にしてほぼ完売となったが、かろうじてランク2のチケットをゲットできた。席は2階のバルコン。ステージまではやや距離感を感じるが、ステージ全体がよく見渡せる。今回のプロダクションで興味を引く点は演出と指揮をイヴァン・フィッシャーひとりで担当すること。カラヤンならまだしも、これはフィッシャーの挑戦と見るべきか。
第1幕の宮殿の場面は、遺跡のようなセットでかなり薄暗い。巨大な壁に威圧感を覚える。途中、黒の背景に雷の光のパターンが走り、シンプルな状況設定を見せてくれたが、やや抑圧的で退屈だった。第2幕は宮殿内の広間から転じて港の場面。帆船が燃え上がるシーンに続いて海神の嵐はシンプルなセットながらも、上手い効果を上げていた。第3幕では合唱をステージの前面に並べて歌わせるなど、合唱の引き立て方にもアイデアがあった。
パリ国立オペラの小編成オーケストは、序曲から音量感に乏しい感じで、アンサンブルがさほど冴えなかった。そんな中、一際光っていたスーザン・グラハムで、ズボン役はさすがの上手さ。力強いアリアなど惚れ惚れとした。イリアは美貌のマリー・ミルズで、エレットラはクリスティーネ・ゲルケ。二人のソプラノとメゾのグラハムとの関係はまるで幾何学的であるかのように、コントラストがあり、とてもドラマチックな展開だった。特にゲルケのエレットラは凄い迫力だったのも印象的。前回、ガルニエで見たオペラはラモーのプラテーであったが、エキサイティングなミンコフスキの指揮とモダンなステージに比べると、今回のイドメネオはややインパクト不足に感じた。
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