Staatsoper Unter Den Linden Berlin
FESTTAGE 2002

Richard Wagner
Tristan und Isolde
26 April 2002, 16.00 Uhr

Musikalische Leitung Daniel Barenboim
Inszenierung Harry Kupfer
Buehnenbild Hans Schavernoch
Kostueme Buki Shiff
Licht Franz Peter David
Choere Eberhard Friedrich
Dramaturgie Ralf Waldschmidt
Tristan Christian Franz
Koenig Marke Rene Pape
Isolde Deborah Polaski
Kurvenal Andreas Schmidt
Melot Reiner Goldberg
Brangaene Lioba Braun
Ein Hirt Stephan Ruegamer
Ein Steuermann Klaus Haeger
Stimme eines jungen Seemanns Gunnar Gudbjoernsson
Staatsopernchor
Staatskapelle Berlin





昨日は到着日にしてアバドのリア王を聞いたが、その素晴らしさから旅の疲れも全く感じられず、興奮のうちに深夜3時頃まで起きてしまった。翌朝も7時にすっきりとした目覚めでとても爽快。朝食後は、昨日貰ってきたベルリンフィル来シーズンプロをチェックする。どれもこれも行きたくなるが、希望公演の幾つかをオーダーフォームに記入。ちょうどホテル前の郵便局があったので郵送した。昨日のリア王もちょうど1年前にオーダーしたように、人気公演は出来るだけ早くリクエストしたほうが良い。

ホテルからはインターネットに繋ごうとしても上手く行かず、どうしたものかと考え、ネットカフェがありそうなソニー・センター界隈へ出かけてみることにした。案の定、通りに面したカフェがあって、簡単にインターネット接続できた。それにしてもウムラウト・ヴァージョンのキーボードは使いにくい。外に出ると気温は低いものの眩しいばかりの超快晴。横断するのに信号待ちしていると、ベルリンフィルのクワントさんが自転車でフィルハーモニーの方向から走り去っていった。おそらく午前中のリハーサルだったのだろうか。そういえば今日がアバドのベルリン最後のコンサートだと思えば感慨深くなる。

Uバーンでヴィッテンベルクに戻り、午後はのんびりと時間を過ごす。普通なら夜の公演までゆっくりできるが、今日のトリスタンは開演4時とかなり早い。午後3時すぎにはリンデン・オーパーに向けて出発した。劇場前は既に賑わっていて、フェストターゲとあってか、普段の日常公演とは違った雰囲気が漂っている。バレンボイムの指揮でワーグナーを楽しめると思うだけで心がときめく。今回のチケットはバラ券で直接申し込んでいて、3公演ともランク1が取れていた。今日の座席は2階のバルコニーでミッテルロージェに近い。さすがにステージ全体がよく見え、オーケストラの豊かなサウンドが上昇してくる。

バレンボイム渾身の指揮でオーケストラも引き締まり、深みのある素晴らしいアンサンブルだ。フランツのトリスタン、ポラスキのイゾルデ、パペのマルケにシュミットのクルヴェナール、いずれも圧倒的に素晴らしい。特にパペの深みには感動した。ブランゲーネはアバドのファウストでも歌ったリオバ・ブラウンだった。

クプファーのステージは、天使の朽ち果てた巨像のみで全幕を統一するというアイデアを展開し、空間の変化を幕、状況の変化にマッピングしているかのようだった。ちょうど音色の変化でニュアンスが変わるように、最小限の照明効果とオブジェのみの与えれた手段で最大限の表現を行うという意欲が伝わってくる。一見、禁欲的で抑制されたステージ空間と感じるが、バレンボイムの集中力ある音楽とともに内面から陶酔感がこみ上げてくる。クプファーは巨大なオブジェを回転させる手法を良く使うが、ここでも巨大な天使像の裏表を幕に応じて使いわけていた。ちょうど愛と死の表裏を象徴させているのだろうか。全体にシンプルなステージだけにオブジェが回転する時の心理的効果も大きい。見ているほうとしても、ドラマの展開への求心力がますます高まっていくように感じた。最終場面の愛の死で大きな盛り上がりを迎える。イゾルデはW.マイヤーで聴いてみたいものの、ポラスキも素晴らしかった。

リンデン・オーパーの器はさすがにワーグナーの音響が良く充満する。隣りに座ったスイス人の方はバイロイトの素晴らしさを強調しつつも、ここもアコースティックが素晴らしいと絶賛していた。各幕に1時間の休憩をとって、たっぷりとワーグナーに浸れる歓びを味わった。


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