OSTERFESTSPIELE
SALZBURG 2002
Berliner Philharmonisches Orchester
Samstag, 30. Marz, Groses Festspielhaus 11.30 Uhr

Foerdererprobe

Dirigent: Mariss Jansons

Violin: Sayaka Shoji

Max Bruch
Violinkonzert Nr.1, g-Moll op.26




今日は11:30からマリス・ヤンソンス&ベルリンフィルのブローべがある。ちょうど同じ時間帯にサントリーホールでは東京交響楽団の定期演奏会が開かれているはずである。年会員のため本来ならこれを聞くはずだったが、イースターに来ているので残念ながらパスせざるを得なかった。実は1年ほど前に東響から届いた案内には、3/30に出演を予定していた庄司紗矢香さんがアバド氏の要請により、ヤンソンス&ベルリンフィルに出演することになった為、ソロはオーギュスタン・デュメイに変更になる旨を伝えていた。そういったこともあって、ザルツブルクで庄司さんを聞けるのは奇しくも最大の幸運となった。



ステージに並んだオーケストラは昨日のシューマンに比べるとずっとコンパクトだ。ヤンソンスと庄司さんが登場し、すぐにプローベが始まった。途中、ヤンソンスがストップを掛けながら、比較的簡素なコメントを与えていくが、大きな掛け声を使ってリズム感を指示したり、とても明快で的確だ。庄司さんは登場したときの表情に緊張が見えたが、ヴァイオリンを演奏するときは、さすがに大物である。その柔軟で艶やかな音色はガルネリなのだろうか。音に芯が通っていて、オーケストラと語り合う素晴らしさが伝わってくる。特に笑顔でヤンソンスとアイコンタクトで確認しあうあたりに余裕が伺え、オーケストラとの一体感をさらに増している。

第1楽章も後半に差し掛かろうという箇所で、ブツという大きな音とともに庄司さんの弦が切れてしまった。すかさずブラウンシュタインが彼のヴァイオリンを庄司さんに差し出したが、どうも合わないらしく、結局弦を張り替えることになった。第1ヴァイオリンの方が弦を取りに行ったりして暫しの中断となる。ブラウンシュタインに弦を張り替えてもらってからは、さらに響きが良く鳴るようになり、感動的なコンチェルトが続いた。全曲通して、大きな拍手となったが、ヤンソンスは庄司さんにスコア上で指示を与え初めて、部分的な繰り返しが続く。たったこれだけで庄司さんもオーケストラも見違えるような仕上がりになっていく。



そして2回目が演奏された。郷愁感一杯のヴァイオリンのレチタティーヴォはピアニッシモの極限かとおもうほどの美しさで、テンポもゆっくりと引き伸ばされ、抒情が奏でられていく。一本の糸のように張り詰めた弦からは緊張感も十分に漂う。さらにオーケストラが盛り上がる箇所では、ベルリンフィルの圧倒的なアンサンブルが吹き上がりの良さを見せる。まるで火を噴くといった感じの迫力。これがヤンソンス流なのだろうか、日本公演で聴いたドヴォルザーク8番もドヴォルザークという固定観念に超越した次元を示したが、あの興奮がブルッフでも聞かれた。しかもヴァイオリンコンチェルトで。アダージョを経て、エネルジコ、アレグロと造形美もさることながらとてもエキサイティングな演奏だ。驚くべきことは、こういったアンサンブルと見事に渡り合いながら、庄司さんのヴァイオリンから抒情と強靭さが放たれていたことだ。久々に素晴らしく感動的なコンチェルトが聞けた。



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