Wiener staatsoper
freitag, 4. mai 2001, 19.30 Uhr
Roberto Devereux
Tragedia lirica in drei Akten
von Salvadore Cammarano
Musik von Gaetano Donizetti

Musikalische Leitung Marcello Viotti
Inszenierung Silviu Purcarete
Buehnenbild und Kostueme Helmut Stuermer
Choreinstudierung Ernst Dunshirn
Elisabetta, Koenigin von England Edita Gruberova
Herzog von Nottingham Carlos Alarez
Sara, seine Frau Enkelejda Shkosa
Roberto Devereux, Graf von Essex Ramon Vargas
Lord Cecil Cosmin Ifrim
Sir Gualtiero Raleigh Marcus Pelz
Ein Vertrauter Nottinghams Johannes Gisser
Ein Page Hacik Bayvertian
Chor und Orchester der Wiener Staatsoper
Buehnenorchester der Wiener Staatsoper


4月中旬でも雪が降ったというウィーンはもはや夏の様相で日なたは30度を越える
暑さ。もっとも木陰に入れば風がとても爽やか。朝はホテルでゆっくりとし、昼食後
はケルントナー通りからグラーベン通りを経て、リンクを歩いて散歩をする。モーツ
ァルト像の花壇も綺麗に咲き誇り、街路の緑もとても鮮やかだった。

さて今日のオペラはグルベローヴァ、アルヴァレス、ヴァルガスと歌手が揃ったドニ
ゼッティの「ロベルト・デヴリュ」。エリザベス女王にまつわる物語でグルベローヴ
ァが女王エリザベッタとして歌う。演出家プルカレーテによる舞台セットがまた奇抜
で全面、ロジェの小部屋で仕切られている。縦に5段、横に7段ほどに区画されてい
て、一番下の層は黒いカーテンが吊るされ、カーテンの移動とともに人物を登場させ
るなどの流れのある演出を見せる。意外とこのオペラの音楽は流麗さと躍動感に充ち
ているので、カーテンの流れる動きとあっていた。

第1幕第2幕とこの舞台の基本形が維持されるが、何と行っても舞台よりも歌手達と
オーケストラが素晴らしかった。筆頭はグルベローヴァで、第1幕のアリアでは会場
は騒然とした拍手が飛んだ。とにかく彼女の素晴らしさといったら、つい先頃のフィ
レンツェ日本公演での椿姫や、ウィーン日本公演のシャモニのリンダの比ではない。
今日の彼女は遥かに奇跡的というほかない。おおよそ5分以上、拍手と叫び声の嵐に
オペラは止まった。とにかく凄い。

こうなると他の歌手たちも燃え上がらざるを得ない。シュコーサ演じるサーラも素晴
らしかったし、男性陣ではタイトルロールのヴァルガスに、アルヴァレス演じるノッ
ティンガム公爵ともに俄然素晴らしい歌を聞かせる。特に第2幕における主役3人に
よる三重唱は信じがたいほどに燃え上がった。こんなに凄い歌の饗宴は稀有というほ
かなく、この場に居合わせたことへ感謝するのみ。ヴィオッティ率いるアンサンブル
も歌手陣の出来と相乗効果を発揮するように盛り上げていく。

ナイチンゲール・レーベルから出ているグルベローヴァのCDも素晴らしいが、やは
りこのオペラをライブで聞くと、微妙なニュアンスと空間のパースペクティブさも加
わり、彼女の素晴らしさを200%に聴くことができた。フィナーレでは巨大なエリ
ザベッタ像を背景に彼女の絶唱に暫し我を忘れてしまった。壮絶な熱狂で会場は再び
20分以上の嵐となった。さすがにウィーンのオペラは熱狂した時の興奮は覚めやら
ぬ。昨日のパリアッチは沈没したが、今日のロベルト・デヴリュ1本だけでもウィー
ンに来た甲斐は報われて有り余る。