Wiener staatsoper
Verdi
Un ballo in maschera
Sonntag. 25. Februar 2001, 18.30 Uhr



Musikalische Leitung Stefan Soltesz
Inszenierung Gianfranco de Bosio
Buehnenbild Emanuele Luzzati
Kostueme Santuzza Cali
Chorleitung Ernst Dunshirn
Gustaff III Richard Leech*
Graf Ankarstroem Georg Tichy
Amelia Michele Crider
Ulrica Mihaela Ungureanu
Oscar Dawn Kotoski
Christian Yu Chen
Graf Horn Janusz Monarcha
Graf Warting Goran Simic
Ein Richter Peter Jelosits
Ein Diener Gosmin Ifrim#

Orcherster und Chor der Wiener Staatsoper
Buehnenorhester der Wiener Staatsoper
* Rollendebuet an der Wiener Staatsoper
# Stipendiat des Herbert von Karajan Centrums

今日の夜はムジークフェラインではポリーニ&アンサンブル・ウィーン・ベルリンが
あり、シュターツオーパーの仮面舞踏会のどちらにすべきかと迷うところだが、せっ
かくのヴェルディを見逃す訳にはいかない。しかしながら1月のヴェルディ・ヴォッ
ヘンに比べると今日の仮面舞踏会のキャストは随分と落ちる。何でも1月はレナート
にヌッチが出たそうだが、今日のティッヒーは随分と物足りなかった。

本日シュターツオーパーで初めてグスタフ3世を歌うリチャード・リーチ。出だしの
第1幕はやや堅い感じで、力唱するものの余り盛り上がらない。少ない拍手にちょっ
と意外といった表情を見せたリーチではあるが、幕を追うごとに声に伸びが出てきて、
随分と熱がこもってきた。

これに対してクライダーは最初から安定した歌に冴えがあって、迫真のドラマを演じ
た。特に第2幕でのグスタフとの愛の二重唱は絶品。リーチの調子も上がりアメーリ
アとの愛の世界はとても素晴らしかった。鳴り止まぬ拍手にじっと抱き合う二人はも
う完全にドラマの主役になりきっていた。

さらに第3幕第1場のアメーリアの第2アリア、Morro, ma parima in graziaは圧倒
的だった。ソロ・チェリスト、ヘルツァーの絶妙な調べとともに目も覚めるような感情
表現に会場は一気に大喝采となった。

オーケストラもさすがに上手く、コンサートマスターにはボーデが。隣りはクロイザ
マーで、ヴィオラには最近オーディションに合格したとう美しく若い女性奏者が入っ
ていた。ソルテスのメリハリのある指揮ぶりで舞台と音楽が一体になったという感じ
で、大いにヴェルディが沸き立つ。やはりここのオケの上手さは格別で、歌手達の力
量をぐいぐいと引き出すように見えた。

オスカルにはコトスキが歌ったが彼女も中々の出来栄え。もっとも好みはリッツィ&
ウェルシュオペラで歌っているバーヨのような溌剌さだが、コトスキも身のこなしも
軽やかに良かったと思う。さてフィナーレではグスタフ3世が死ぬ場面、本当に痛ま
しい演技と歌は迫真そのもので、リーチの素晴らしさに感動する。レナート役が不発
だった不満も忘れた。

舞台はカーテンを2重に吊るしたような劇中劇的な扱いが興味を引いたほかはステー
ジは至ってオーソドックス。特に仮面舞踏会での仮面はコミック調に仕立てられてい
て、昨年ザルツブルク音楽祭のグース演出「トーリードのイフィジェニ」での人形仮
面ととても似ていた。

それにしてもアンサンブルが良いヴェルディはとても刺激的で体の芯から熱い躍動と
リズムが沸き立つようで、大いに感動した。今は、頭の中で朝のマーラーと夜のヴェ
ルディが鳴り響いているという複雑な感じだ・・・