NTO Tonkuenstlerorchester / Musikverein
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Niederoesterreichisches Tonkuenstlerorchester
Sonntagnachmittagskonzert
25. Februar 2001, 16.00 Uhr
im Grossen Musikvereinssaal in Wien



Dirigent ; Michail Jurowski
Violoncello ; Mischa Maisky



Johannes Brahms
Variationen ueber ein Thema von Joseph Haydn, B-Dur, op.56a
Pjotr Iljitsch Tschaikowskij
Rokoko-Variationen fuer Violoncello und Orchester A-Dur, op.33
Max Reger
Variationen und Fuge ueber ein Thema von Wolfgang Amadeus Mozart, op.132

先ほどのウィーンフィルが終わってから、知人の方と食事に行く。途中シュテファン
あたりまで散歩するが、今日は日曜で店はほとんど閉まっている。そういえば昨日、
ホテルの裏手にあるブッヒャーという本屋さんでアバドの本が無いか探してみようと
思っていたが、昨日も5時を過ぎると閉店したのが残念だった。

そして街のなかのとある郷土料理のレストランに入る。結構ゆっくりとしていたので、
時間が瞬く間に過ぎた。食後はアルカディアに寄ってCDを一枚仕入れた。メゾソプ
ラノのメンツァーと女性ギタリスト、イスバンとのデュオで、アメリカやフランス民
謡がメイン。中にはスパニッシュ・ダンスなどもは入っていて面白そうだ。

ニーダーエスタライヒシェス・トーンキュンストラー・オーケストラ(NTO)、と
ても長い名前のオケだが、ライブで聴くのは初めて。大分前に来日していたのではと
いう記憶がある。最近はファビオ・ルイージの指揮でムジークフェラインでブルック
ナーやワーグナーのワルキューレを演奏したりしているから、きっと良いサウンドの
オケだろうと期待する。

そしてプログラムは全て変奏曲を主体にしているのが心憎い。ブラームスのハイドン
の主題による変奏曲に、チャイコフスキーのロココ風、そしてエルガーのモーツァル
トの主題による変奏曲という徹底ぶり。さて座席は1階平土間のサークルの部分で音
が良いエリアだ。それにしても音響の良いムジークフェラインばかりでコンサートを
聞くというのも滅多にないチャンスだ。それに毎回、座席が違うので新鮮さも感じる。

ユロフスキーという指揮者は初めて聴くが、経歴によればドイツを中心に活躍されて
いるロシア人指揮者。ちなみに現在はライプチヒ歌劇場の主席指揮者だとか。白髪の
貫禄でオーケストラを上手くまとめあげるような指揮ぶり。しかしベルリンフィルと
ウィーンフィルを聞いた後では、失礼ながらNTOが貧弱に聞こえる。また客層も庶
民的でコンサートを日常のものとしている当たりに音楽都市ウィーンを感じる。

さてそのアンサンブルはやや雑な感じがしたが、聴いている内になかなか素晴らしい
ブーラムスではないかと思わされる。時おり管楽器の音が外れるのは気になるものの、
弦の柔らかい響きがブラームスの古典美を引き立てる。そしてマイスキーが登場して
のチャイコフスキーのロココ風変奏曲。白のポロシャツに首飾りという姿が彼には似
合っている。たしか昨日のウィーンフィルでは2階バルコニ席でブーレーズの指揮を
ご覧になられていた。その彼はさすがに気合の入ったチェロで聴衆を魅了する。まる
で惚れ惚れとするくらいにその語り口が素晴らしい。オーケストラの面々も刺激され
たかのように演奏に冴えが生まれるようだった。喝采に応えて無伴奏ソロがアンコー
ルされた。

後半、レーガーのモーツァルトの主題による変奏曲はブラームスのハイドンの主題を
意識したかのように8つの変奏とフーガからなる。この曲、モーツァルトのトルコ行
進曲のピアノソナタの第1楽章の主題をテーマとしているが、まるでハイドンの主題
とそっくりに聞こえた。上手いプログラミングを考えたものだと感心するが、ハイド
ンの主題とモーツァルトの主題を対比しながら共通性やコントラストを描き分けるあ
たりにユロフスキーの指揮が冴える。またこの作品は結構な大作で40分近くにおよ
ぶが、変化に富んでいてまるで万華鏡をのぞくかのように音楽をたっぷりと楽しめた。
17:50分頃に終了したから次の仮面舞踏会まで40分ほど。一度ホテルに戻って
から今度はオペラへ出かけることにする。