Wintertraume / Musikverein
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Internationaler Orchester-und Chor-Zyklus
5.Konzert

Grosser MusikvereinssaalGesellschaft der Musikfreunde in Wien
Grosser Musikvereinssaal
Sonntag.25.Februar 2001, 11.00 Uhr

Wiener Philharmoniker
Damen des Wiener Singvereins

Kuenstlerische Leitung: Johannes Prinz
Wiener Saengerknaben
Kuenstlerische Leitung: Norbert Balatsch

Dirigent
Pierre Boulez

Solisten
Anne Sofie von Otter, Mezzosopran

Gustav Mahler :Symphonie Nr.3 d-Moll



今日はウィーンフィルにNTO,仮面舞踏会とかなりハードな一日となる。少し早め
に朝食のためホテルのカフェに行くが、既にカフェは沢山のベルリンフィルの方々が
朝食中であった。昨晩でチクルスが終了し、今日は朝のうちに移動するらしい。さて
ちょっとのんびりしていると、もう10時半をまわった。そろそろ楽友協会へ出かけ
る。

座席は1階左のパルテレロジェ1列目1番。ちょうど昨日のシートから7つ左になる
が、ほぼステージに乗っかている。ちょうど目の前が第1ヴァイオリン4プルト目で、
真中に譜面台がある。第5ブルト以下は第3プルト左から後方に掛けて並び、小生の
すぐ左が7プルト目で日系の方がヴァイオリンを弾かれていた。面白いことに譜面に
はアップ、ダウンはもちろんのことフレージングに関わる書き込みが沢山なされてい
る。おそらくブーレーズの指示によるものだろうか、部分的に楽譜が追加や補正があ
るようだ。当然のことながら第4プルト目と第5プルト目以下では楽譜の内容が異な
る。

さてその演奏は昨日とはうって変わり途方もなく素晴らしい。冒頭の八本のホルンの
迫力。音抜けの素晴らしさは勿論のこと、ムジークフェラインが放流のごとき音の洪
水となる。しかも音がクリップすることなく、あのウィーンの柔らかい音のままに、
大自然を彷彿とするマーラーが鳴り響くのだ。

単に音が凄いというだけでなく、随所のパッセージが実に有機的に結びつき、流れを
感じるし、緊張感や集中力も十分。昨日の演奏は一体なんだったのだろうかと思って
しまった。ほとんど第1ヴァイオリンに囲まれているような場所で聞いているが、不
思議と音のまとまりも良く、エネルギーを肌で受ける感じ。左耳の音圧が凄いだろう
なぁと予測していたが、これも不思議なくらいバランスよく聞こえた。平土間の1列
〜4列目くらいだと音が頭上を通りすぎて反ってアンバランスとなるかも知れないが、
パルテレ・ロジェはステージ2段目の高さがプラスになっているのかも知れない。

第1楽章のパノラマが次々と展開する。次第に差し込んでくる太陽の光が黄金のオル
ガンを輝かす為か、ホールの明るい雰囲気がマーラーの山を思わせる音楽と妙にマッ
チしていた。第1ヴァイオリンが活躍する時はブーレーズが必ずこちら側に振り向く
ので、そのお顔を目の当たりにするが、とても冷静沈着な表情。腕の振り加減、指の
動かし方、それだけで必要な情報がオーケストラに発せられ、これが寸分の狂いもな
く音となって返ってくる。昨日はパーカッションにも若干のもどかしさを感じたが、
今日は完璧なアンサンブルだ。まさかBPOプレッシャーがあったとも思えないが、
ORFでライブ放送中の緊張によるものなのか、とにかく本気を出した時のウィーン
フィルは本当に凄い。この席からだと隅々まで全貌できるが、各パートが緊張の糸で
緊密に結びついているのが見えるようだ。

約38分の第1楽章に引き続き、第2楽章、第2トリオのヴァイオリンソロも素晴ら
しく響き、オーボエ、クラリネットが織り成す響きが何ともいえない。まさしく花が
美しく咲き誇る世界が広がるようだ。第3楽章も木管群、それにホルンが素晴らしか
った。獣たちが語るようにとあるように、音楽も次第に有機のレベルを上げていく感
じ。夏の日差しに楽しく動き回る快活さが伝わってくる。それにアルペンホルンの個
所は最大の聴き所となるが、この楽章の最大のクライマックスとなった。

第4楽章以下は昨日と同様に素晴らしいの一言。今日はオッターを真横から聴く形と
なったが、その厳粛な詩の響きに身も引き締まる思い。第5楽章のウィーン少年合唱
にジングフェラインの透明な響きも聴き所であった。

そしてフィナーレの静かで大きな流れ。これも身動き一つ出来ぬくらいの集中力が支
配する。昨日よりもアンサンブルに求心力を感じるし、もうあとはブーレーズの導く
壮大なドラマに身をゆだねるだけ。次第に高まりゆく昂揚に体の芯が熱くなっていく
のを感じる。それほどに熱いマーラーだと感じた。この時もホルンの深い響きと憂い
を帯びた木管が心を締め付けるようだし、柔らかい弦に包み込まれる時の幸福感と感
動に圧倒されてしまった。やはり二日目のウィーンフィルを聞いて大正解だった。も
うこれで今回の旅の目的は達成された。後はもう付けたしのようなものだ・・・と思
いつつ会場を去った。