08/08 プッチーニ/グロリアミサ

昨晩のラモーは素晴らしすぎるもので、日が変わった今日も興奮は冷め止まぬ状態だ。今日はザルツブルクを発って帰路につかなければならない。本来ならば、フランクフルトを午後1時頃に飛ぶLHで帰るところであるが、今日は臨時便で帰る。ならば、今日のウィーンフィルのマチネが聴ける。さらに今日は日曜なので、ウィーンフィルの前にミサへ行くことにした。狙いはフランチェスカーナ・キルヒェで演奏されるプッチーニの「グローリア・ミサ」。この珍しいミサは何としても聴きたい。少し早めの朝食を取り教会へ出向くことにした。早朝のミラベル公園はとても清清しくて気持ちが良いものだ。普段なら人で賑わう路地も閑散としている。教会に近づくにつれ、鐘の音が鳴り響き、自然と敬虔な気分にさせてくれる。

●MESSE der Franziskanerkirche Salzburg / Sonntag 8.8. 1999 9.00 Uhr
Giacomo PUCCINI (1858 - 1926):
MESSA DI GLORIA
Ausfuhrende:
Monika Wackerle - Messosopran
Bernhard Berchtold - Tenor
Lauri Vasar - Bas
Markus Stepanek - Orgel
Chor und Orchester der Franziskanerkirche
Dirigent: Bernhard Gfrerer
URL: http://www.kirchen.net/franziskanerkirche/
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プッチーニは代々ルカの街でオルガニストを勤める家系。彼自身も教会音楽にはなじみがあり、ルカの街を離れる時に作曲したのが、このミサ・ディ・グローリアという。これは彼の初めての大作で、以前に作曲していた二つのモテットも取り入れているそうだ。後のオペラを彷彿とするものがあり、教会音楽というよりも劇場音楽といっても良いくらいオペラティックな作風になっている。

例によって、ミサの前にパイプ・オルガンとともに賛美歌を歌い、司祭のお話が続く。今回のミサは先週のテレジア・ミサの時とは違って、儀式は簡略化されていた。とはいうものの、ミサの儀式の厳かさには変わりはない。途中、グレゴリア聖歌のようなお祈りが入り、次第に厳粛さを増して行く。

教会の上部奥のほうから鳴り響くプッチーニのミサは実に生き生きとしている。ハイドンとはまた違った力強さも特徴。ソリスト達の歌はなるほどアリアのようで、オーケストラも後世のプッチーニ・オペラを予言するかのようにダイナミックである。トスカにも教会の場面が出てくるが、同様の厳粛な音楽も聴かれ、ミサとしての風格も十分。

今回のミサも1時間半に及び、重厚であると同時に心が洗われた。先週に引き続きフランチェスカナーレで二つのミサを聞いたが、機会があれば、ドームのミサも聴いてみたい。さて時間はもう10時半を回った。あと30分でケント・ナガノ指揮のウィーン・フィルが始まる。今回の旅で聴く最後の演目に向う。