08/07 ザルツブルク音楽祭『アカデミア・ピアニスチカ』
●ACCADEMIA PIANISTICA
"INCONTRI COL MAESTRO" IMOLA
Samstag, 7. August 1999, 16.30 Uhr, Mozarteum

Karlheinz Stockhausen
Klavierstuecke V und IX
Alexander Skrjabin
Vers la flamme op.72
Maurice Ravel
Gaspard de la nuit ( Ondine, Le Gibet, Scarbo)
Salvatore Sciarrino
Zwei Notturni
Claude Debussy
L'isle joyeuse

Solist
Daniele Pollini, Klavier
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このコンサートには「インコトリ コル マエストロ、イモーラ」というサブタイトルが付いているが、これは「イモーラの巨匠との出会い」という意味で、イモーラのアカデミア・ピアニスティカに学ぶもしくは学んだピアニスト達が今日1日でマラソン演奏会を開催するという趣向。こういった企画はザルツブルク音楽祭でも初めてだそうだ。

登場するピアニストは、マウリツィオ・ポリーニの息子のダニエレ・ポリーニ、ロベルト・コミナーティ、ジャヌーカ・カシオーリ、エンリコ・ペイスの4人。夕方4時半から夜10時半まで目一杯ピアノ・リサイタルが続く。プログラムは20世紀音楽を主体にしていて、耳慣れたところではドビュッシー、ラヴェル。そのほかはベルク、ブゾーニ、シュトックハウゼン、クープランからブーレーズなどが並び、コンテンポラリーがメインとなる。

夜はラトルのボレアドがあるため、第1部のダニエレ・ポリーニしか聴けないが、休憩無しに4時半から6時までの1時間半は、エッセンスを凝縮したような密度の高さを実感できた。はじめにシュトックハウゼンが演奏され、最初から緊張した音楽が続く。父親マウリツィオもそうであるように、息子のダニエレの集中力もかなりのものであった。時々、緊張の余り、口元から気合を入れる呼吸が漏れ、唸り声のようにも聞えた。ピアノタッチはすこぶる強靭で、テクニックだけでなく、音楽に命を吹き込もうとする姿勢には感心する。

シュトックハウゼンでは厳しい精神集中を強いられたが、続くスクリャービンではほのかなロマンが漂い、緊張が和らいだ。ダニエレのピアノには強い意思が感じられ、ラヴェル「夜のガスパール」も実に踏み込んだ演奏だ。しかもフランス風の微妙なニュアンスも見事。サルヴァトーレ・シチリアーノ氏の作品も紹介された。拍手のときは作曲家本人もステージまで行き、ダニエレと拍手。そして最後はドビュッシーと続き、重厚なプログラムにやや疲れてしまった。拍手が鳴り止まず、アンコールも演奏された。

第1部が終わると同時に足早にモーツァルテウムを出た。さてこれから祝祭小劇場に向う。外はまだ燦燦と太陽が照り付け、さきほどの大雨は無かったかのような様変わり。しかし一雨あったためか、かなり涼しくなった。