●5月3日(水)ウェーバー歌劇『魔弾の射手』/シュトゥットガルト州立歌劇場

Stattsoper Stuttgart
Mittwoch, 3. Mai 2000 Beginn 19.30 Uhr, Ende 22.30 Uhr
Carl Maria von Weber
Der Freischuetz

Musikalische Leitung : Peter Leonard
Inszenierung,
Buehne und Kostuem : Achim Freyer
Chor : Ulrich Eistert
Dramaturgie : Klaus-Peter Kehr
Spielleitung : Gordon McKechnie
Ottokar : Wolfgang Schoene
Kuno : Karl-Friedrich Duerr
Agathe : Angela Denoke
Annchen : Catriona Smith
Kaspar : Helmut Berger-Tuna
Eremit : Roland Bracht
Kilian : Bernhard Schneider
Max : Toni Draemer
Samiel : Thomas Hahn
2 Jaeger : Horst Langner, Sebastian Peter
Brautjungfern : Felicitas Brunke, Isolde Ehinger,
Maria Koupilova-Ticha, Kai-Diana Otto,
Silvia Kaiser, Frauke Rott, Angelika Schwarz
Puppen und Spiel : Heidi Kreisz
Staatsopernchor Stuttgart
Staatsorchester Stuttgart


シュトゥットガルト州立劇場は実に雰囲気が良い。緑に囲まれた環境も素晴らしく、正面に接した池に投影する劇場が何とも立派である。内部は歴史を感じる伝統的なヨーロッパ風。サイズもコンパクトで音は隅々まで響く。ちなみに「ナクソス島のアリアドネ」はここで初演されたそうである。

さて例によってフライヤー演出となれば、ただものの舞台ではないと想像していたが、案の定、最初からおかしな光景。ステージ周辺の壁に模様が施され、大きな7色の虹が舞台を取り囲んでいる。その上部に一つ目玉がこちらを向いており、ステージは教会の中で白髪の牧師が祈りをささげる場面から始る。実はこの時は未だ序曲は始ってはいないが、入ってきたアガーテに牧師が語り掛けている。ここで舞台に幕がおろされ、序曲が始った。

さて冒頭から素晴らしいオーケストラサウンドに驚いた。実に伸びやかで何よりも朗々と響くホルンが良い。序曲、狼谷の動機にさしかかるとステージ左壁のフクロウが羽根をパタパタをさせながら赤い目玉を光らせる。さらに右壁の怪物が赤い目玉をピカピカと点滅。さすがフライヤーの演出は手が込んでいる。ザルツブルクのあの魔笛にも似たお遊びが溢れていそうだ。

とはいえ演出は概ねオーソドックスなものであった。確かにザミエルの場面に指しかかると色んな魑魅魍魎が蠢き、最後には大蜘蛛が空から降りてきて大暴れするといった演出で会場を大いに沸かせたのがフライヤーらしい。ザルツブルクの魔笛では色彩に意味を持たせてたが、今回はさほど色彩には拘らない。面白いのはプログラム解説にフライヤー自筆のポンチ絵が100枚ほど掲載されていること。いずれも細かいメモが記入されている。しかしステージ上部の「一つ目」はオペラを見守っているようでもあり、とても気になる。これはヨーロッパのお守りのようなものかも知れない。いわゆる魔除けのようなものだろうか。

歌手ではデノケのアガーテがやはり素晴らしい。彼女はヴォツェックのマリーなどシリアスな役柄もこなし、最近ではタンホイザーにも出ているとか。歌手陣は充実しており、層の厚さを感じる。合唱も力強く、踊りの場面や狩人の合唱は迫力万点。オーケストラの上手さと、レオナルドのきびきびとした指揮が冴えていた。やはり魔弾の射手はドイツ人のお気に入りとあってか会場も大いに満足し大喝采となった。