●5月1日(月)ワーグナー楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』
DIE MEISTERSINGER VON NUERNBERG von Richard Wagner
Staatsoper Unter den Linden
1. Mai 2000, 17:00Uhr-22:30Uhr
Musikalische Leitung :Sebastian Weigle
Inszenierung :Harry Kupfer
Buehnenbild :Hans Schavernoch
Kostueme :Buki Shiff
Licht :Franz Peter David
Choere :Eberhard Friedrich
Choreographie :Roland Giertz
Dramaturgie :Manfred Haedler/ Walter Roesler

Hans Sachs :Robert Holl
Veit Pogner :Rene Pape
Kunz Vogelgesang :Eberhard Buchener
Konrad Nachtigall :Roman Trekel
Siztus Beckmesser :Andreas Schmidt
Fritz Kothner :Raimo Laukka
Balthasar Zorn :Peter-Juergen Schmidt
Ulrich Eisslinger :Andreas Schmidt
Augustin Moser :Peter Menzel
Hermann Ortel :Klaus Haeger
Hans Schwarz :Bernd Zettisch
Hans Foltz :Hanno Mueller-Brachmann
Walther von Stolzing :Francisco Araiza
David :Mathias Zachariassen
Eva :Carola Hoen
Magdalene :Katharina Kammerloher
Ein Nachtwaechter :Daniel Borowski
Staatsopernchor
Staatskapelle



待望のクプファー演出のマイスタージンガー。当初シュトルックマンがザックスを歌うことになってたが、何とホルに変更。重大なキャスティング変更は良くあることであるが、シュトルックマンが抜けるのは残念すぎる。

インターネットで予約した座席は平土間1列目と、さすがにオペラグラスは不用。やはりカブリツキで見るのは迫力がある。指揮はバレンボイムではなくて若手のヴィーグル。かなり早いテンポ、速すぎる。それに力一杯に叩きつけるかのような演奏。これではマイスタージンガーらしさを感じない。

幕が開くとさすがにマイスタージンガーという感じの舞台。ここで思わず疑問が。クプファーの演出ならば、マイスタージンガーらしくない方が面白いのではないか?というのが第一印象だ。舞台中央に塔のような、建物のようなオブジェが建っていて、なにかモダンでクラシックな雰囲気。衣装もまともな古風調。クプファーにしては随分と真面目な演出のようだ。彼独特のTVモニターが登場しないのは何となく寂しい・・・

歌手ではホルのザックスは無難に素晴らしい。パペのポーグナーは、実のところホルのザックスよりも貫禄があって冴えている。6月に来日するアライサがヴァルターを歌い、これもなかなか良いが、ヘルデンらしさがやや不足気味。旅行中の深夜TVで見たバイロイトのマイスタージンガーで歌っていたザイフェルトと比べると少し色あせる。エヴァ役のヘーンはかなりの美人で、フレッシュな歌がまさしくエヴァにうってつけ。このように豪華キャスティングにしては今一つインパクトが弱いと感じた。しかし合唱は素晴らしい。マイスタージンガーはやはり合唱が良くなくては。

幕を追うごとに舞台中央のオブジェは回転して、巧みな場面展開を見せてくれた。ちょうどコミーシェ・オーパーの「こうもり」とアイデアは同じ。とはいえ、背景のイラスト画は近未来の建物が遠近法で描かれており、その意味は良く分らない。こういったところがクプファーらしい所でもある。第3幕の行進はかなり派手であるが、やはりワーグナーの壮大な楽劇を体験できる。シュトルックマンが出ないことに不満があるが、さすがに歌合戦からザックスの下りに至る場面は感動的。

ヴィーグルの指揮も若さの余りに力強すぎると感じたが、最終幕ではゆとりも生まれ感動のクライマックスを描ききった感じ。最前列で聞くと床からの振動もひとしおでまさに楽劇にのめり込む体験ができた。