Report by "la lumiere des yeux"

エクサンプロヴァンス音楽祭


2001年7月11日 モーツァルト:フィガロの結婚

Direction musicale Marc Minkowski
Mise en scene Sir Richard Eyre
Decors et costumes Tim Hatley
Lumiere Jean Kalman
Assistant musical Sebastien Rouland
Chef de chant, claveciniste Mirella Giardelli
Chef de choeur, repetiteur d'italien, pianiste repetiteur
Gianni Fabbrini
Assistante pour les mouvements Jane Gibson
Assistant aux costumes Andreas Kanellpoulos

Figaro Marco Vinco
Susanna Camilla Tilling
Bartolo Brian Bannatyne-Scott
Marcellina Jennifer Smith
Cherubino Magdalena Kozena
Il Conte Almaviva Laurent Naouri
Don Basilio Jean-Paul Fouchecourt
La Contessa Almaviva Veronique Gens
Antonio Jozsef Dene
Don Curzio Aled Hall
Barbarina Magali Leger
Choeur Academie europeenne de musique
Sopranos et Mezzos Emma Gardner
Karine Godefroy
Deborah Humble
Sarah Jouffroy
Isabelle Obadia
Christine Rigaud
Giedre Zeicaite
Tenors, Barytons et Basses Neil Baker
Scott Belluz
Erik Bergquist
Loic Boissier
Laurent Bourdeaux
Jean-Christophe Henry
Janne Sundqvist
Orchestre Mahler Chamber Orchestra
Editeur : Barenreiter Verlag Kassel (Neue Mozart-Ausgabe)
Nouvelle production du Festival d'Aix-en-Provence
en coproduction avec le Festspielhaus Baden-Baden (septembre 2001)
et Tokyu Bunkamura (septembre 2002)




さあ、今年のエクスのモーツァルトはフィガロです。もう一つ、1999年の再演であるブロンシュヴィクの魔笛が日程の都合上どうしても観る事がかなわないのは痛恨ではありますが、それは忘れて楽しみましょう。昨年素敵なポッペアを聞かせてくれたミンコウスキがマーラーチャンバーオーケストラを指揮、ヴェロニク・ジャンス他、若手中心の歌手達、演出はシェークスピア劇で知られている(そうな)サー・リチャード・エイルとの由。

序曲からおやと思います、ミンコウスキーのイメージ、やや騒々しいくらいの威勢の良さよりは、むしろとても軽やか、ティンパニや金管もそれほどどぎつく感じない、弦のアーティキュレーションはいわゆる古楽器風ではありますが、例えばアーノンクールの如き攻撃性は少なかった。実演を聞いてみないと、ですね。
最初から幕はなし、1930年代に設定したそうな屋敷の室内が見えてます。序曲終盤から朝日が差し込み始める、そういえばこのオペラ、ある朝から夜までの一日の話でした。2002年秋にこのプロダクションは東京に来ることが決まっているようですから、演出についてあまり詳細に述べるのは避けますが、とても良く練られた、分かりやすい演技で、エロティックな要素が眼につきますが、嫌みはなく、好感を持ちました。歌手達が何しろ若く、容姿も美しい!ボーイッシュ(なのはあたりまえか)なケルビーノ、かわいらしいスザンナ、それに伯爵夫人のジャンスなどはココ・シャネルのイラスト画を思わせる立ち姿です。女性陣の歌には言うことなし、伯爵のローラン・ナウリも素敵でした。フィガロは私の好みからすればちょっと「崩し」が多すぎてやかましく感じたのですが、若々しくてよろしい。傑作はマルチェリーナのジェニファー・スミスとドン・バジリオのフシュクール、前者はこの若者達の中、極めておばちゃまで、最初私はその容姿と発声から女形かとすら思ってました。彼女に最も笑いが湧き、カーテンコールでも大喝采でした。次に笑いを取っていたのはやはりフシュクール、なにしろ一人だけ頭一つ背が低い、そして語り口が本当に上手い。やっと思い出した、彼はサイトウキネンのティレジアスの乳房で亭主を演じた人でしたね。

エクスの野外でモーツァルト、やはり特別です。画像でお分かりかと思いますがTheatre de l'Archevecheというのはそんなに大きな所ではありません。市外中心部の旧大司教宅の中庭を利用した舞台です。音響も充分満足できます。何より夜の空気、少々風があっても気になりません。2002年のモーツァルトはピーター・ブルック演出ハーディング指揮のドン・ジョヴァンニ再演です。確かに東京に来てご覧になった方も多いでしょうが、Theatre de l'Archevecheでの上演はまた違う体験となるように思います。