Report by "la lumiere des yeux" |
初めてのエクスもとうとう最終日。本日のポッペア、私の関心はまず、演出のクラウス・ミヒャエル・グリューバー、最初にそれと知らず彼を観たのはレオス・カラックスの映画「ポンヌフの恋人」での主人公を支える老ホームレス役。のちにその演出家としての経歴、評判を聞くにつけ、一度彼の舞台に接してみたいと思ってました。アムステルダムやシャトレ、フィレンツェでのパルシファルの演出、観ることはかないませんでした。酷評している人もいましたが、何せ、指揮担当はラトル、メータ等そうそうたるプロダクション、興味を持たないではいられません。(秋の東京でのアバド指揮トリスタンのチケットも確保できました。こちらも御存じの通りグリューバー演出。) Theatre de l'Archevecheのピットに所狭しとならんだ楽器達、バロック期に果たしてこれだけの大きな編成があったのかとも思いますが、いわゆるオーセンティクなというのは今や無意味かもしれません、流れてくる音楽の何と雄弁で豊かなこと!ミンコウスキの大きな身ぶり、曲の性格にもよるのでしょうが、きびきびというより、緩やかな歌、弱音の美しさの方が印象的でした。 さてグリューバーの演出、全体に落ち着いた、しみじみしたトーンがとても心地よかった。絵画的な装置(後に観たトリスタン第二幕のそれを思い出します)の前、緩やかな、やや様式的といっていいような身ぶりも決して不自然に感じられませんでした。ポッペアとネローネの愛の二重唱等、演出によっては随分と露骨にエロティックな動作にしたりもしましょうが、むしろ離れていることの方が多く、そこからゆっくりと近付いていく、いやこの方が私にはより心に沁みました。聞こえてくる音楽との一体感も素晴らしかったと思います。 このプロダクション、来る9月15日土曜日20時をプレミアに1999年の舞台の収録がクラシカジャパンにて放送されます。 |
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