Overseas Report by Mr. Takahara
Verdi ; Falstaff / Royal Opera

1/22(月)19:30 コヴェントガーデン・ロイヤルオペラ
ヴェルディ ファルスタッフ
ハイティング指揮 サットクリフ演出


ロンドンのコヴェントガーデンのロイヤルオペラハウスは初めてだが、リニュー
アルされたようで、非常にきれいである。設備がよい。ビュッフェも広く、店員
が多いから、あまり待たされることはない。またレストランもあり、開幕前にゆ
っくりと食事ができる。お客さんを主体にして運営されており、資金も惜しまず
つぎ込んでいるようである。

さて、オペラの方ですが、ファルスタッフはPaolo Gavanelli、フォードにSimon
Keenlyside、今回のお目当てだったKeenlysideはアバドのお気に入りのバリトン
で、「ドンジョバンニ」やベルリンフィルのジルベスター、それにアバド指揮の
予定だった昨年のザルツの「コシ」に出演している。プログラムの彼の経歴(ケ
ンブリッジで動物学を専攻)を読んでなるほどイギリスらしいと思った。

演出は非常にユーモラスで笑わせた。鹿の頭の巨大なぬいぐるみが出てきたり、
舞台背景が真っ赤だったのが、次の場面では色が変わり、さらにデザイン模様に
なったりと視覚だけでも楽しい。演出はグラハム・ヴィック。

このオペラは非常にテンポが早いが、ハイティングがグイグイひっぱっていって、
非常にしまった演奏だった。また、ファルスタッフ役のPaolo Gavanellは演技力
もよく、ホールはあちこちで笑い声が起きる。Paolo Gavanellはプログラムによ
るとほとんどヴェルディ専門のような歌手のようだ。ちなみにこのオペラはブリ
ン・ターフェル主演のロイヤルオペラのものがDVDで出ているらしい。500
0円程度なので明日でもさがそうと思う(日本で再生できるものならよいが)。

「ファルスタッフ」はベルリンにもどる1/24にドイツオペラの故G・フリー
ドリッヒ演出のものを見る予定。どちらかといえばエンタティメント志向のイギ
リス版と思想的性格の強いであろうドイツ版との比較が楽しみです。いずれにせ
よ、原作者シェークスピアの故郷であり、オペラの舞台であるイギリスで見るフ
ァルスタッフは味わい深いものがあります。

(後日談)
「音楽の友」(3月号)の記事はヴィック演出の意図が不明とコメントしている
が、この演出はそのままザルツブルクに持っていっても話題になると思う。とに
かくわたしには愉快であった。イギリスまで足をのばしてよかったと思う。ちな
みにDVDは見つからなかった。