Overseas Report by Mr. Takahara
Wager ; Tristan und Isolde / Deutsche staatsoper

1/21(日)17:00 ベルリン州立歌劇場
ワーグナー トリスタンとイゾルデ
バレンボイム指揮 クプファー演出


残念なことにイゾルデ役のデボラ・ポラスキがキャンセルした。代役はプログラ
ムに書かれていないし、開演前の劇場側の説明で名前がよく聞き取れなかったた
め、書くことができない。とにかく体格のよい(太っている)歌手で声もしっか
りしていて、やはり人材が豊富なのだと思った。

演出は昨年11月のベルリンフィルのグリューバー演出とは趣向が違って、船は
出てこず、ヴィム・ヴェンダース監督の映画「ベルリン天使の歌」を思い起こさ
せる羽根のついた大きな天使がうつぶせになっており、出演者はその上に乗った
りしながら歌い、時々天使を回転させるが、舞台装置の転換はない。動きも少な
く、これならセミ演奏会形式ならできるという演出だった(来年の来日公演の際
はぜひやってほしい)。

トリスタン役はSeibfried Jerusalem、クルヴェナールは昨年5月の同歌劇場の
「マイスタージンガー」(確かバイロイトでも同じ役をやっている)でベックメ
ッサーを好演した Andreas Schmidt、マルケ王には韓国系の名バリトンの
Kwangchul Youn(一昨年11月に同歌劇場の「フィガロ」でフィガロを演じてい
たが、演技力もあり、声量も抜群で東洋人離れしている。)

バレンボイムの指揮はメリハリが効いていて、盛り上げの場面では立ち上がって
指揮する。アバドの指揮が全体的に静かだったのに対して、とにかく勢いがよい。
あの大きく手を広げて指揮するスタイル(バイロイトを主題にしたテレビ番組で、
あの深いバイロイトのピットで指揮するバレンボイムの姿が写っていたが、それ
を思い出した)。3列目の15番という実に舞台に近い場所で見たので、顔もよ
く見え実によかった。

結局、代役のイゾルデはよく歌いきったため、カーテンコール時もブラボーの歓
声を受けていた。Seibfried Jerusalemも客からの歓声を受けていたが、一番絶賛
されていたのはKwangchul Younだ。この歌手はベルリンでは相当に人気があるら
しい。

昨年11月のアバドの「トリスタン」と比較することはできない、また異なった
「トリスタン」であったと思います。しかし個人的にはあの「トリスタン」越え
るものはなかなか出てこないような気がします。
(後日談)イゾルデ役は歌劇場HPを見ても確認できない(同歌劇場の広報誌
"Vivace"にはJerusalemとともに彼女の写真が載っているが)。ブランゲーネ役
はLioba Braun。