| 【社会司牧通信 135号 2006/12/15】 |
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| 岩田鐵夫(麹町教会信徒・社会福祉士) | ||||||||||
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3つの法律の成立時の名称を見ると分かるように精神障害に関する法律が「福祉法」の名前がついていないのが分かります。これは長い間、精神障害は「福祉」の対象ではなく、保健衛生の問題としてとらえられ、行政でも福祉分野ではなく、保健衛生分野、いわゆる「役所の福祉」ではなく「保健所」の管轄という完全に縦割り行政が行われてきました。 このような中でこの法律では今までの身体・知的・精神3障害の福祉サービスが各々の体系で行われていたものが一元化されました。 |
しかしこの3障害の一元化も障害特有の違いを認めての3障害の公平さという視点が欠けたものになっているのがとても残念です。特に精神障害者の特質である「体調が変わりやすい」「疲れやすさ」「病気と障害が併存している」などが見落とされているように思います。後述する障害程度区分認定についても他の障害者と同じように実施すれば体調によっては適正な区分が決められない可能性があります。
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一方、小規模作業所の事業の主な移行先の「地域活動支援センター」は、市町村ごとの財政状況によって行われる裁量的経費(地域生活支援事業)として行われ、公的補助の財政基盤が不安定だと言われています。
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| 先日、都内のある区で住民への中間報告の説明会がありました。区民がどれくらい集まり、どのような質問が出るのかが関心事でした。開始10分前に行ったときには2名ほどしか参加者がいなくてチョットびっくりしました。最終的には11名ほど集まりました。 区側は福祉部長・障害福祉課長・保健衛生部長・保健予防課長などが出席していました。今回参加してとても良かったことは当事者が1名:脳性マヒで車椅子で参加されたことでした。まだ若い方でしたが生活がかかっている、自分たちの意見がどのように具体的に区政に反映されるのか、目標数値を実績の延び率だけで計画するのはおかしい、など苦しい発音で必死に声をあげられていました。その他にも当事者の親の方が2名参加されて積極的に意見をだされていました。 「障害者自立支援法」が如何に障害者当事者の意見が反映されていないかが浮き彫りにされ、また強く実感しました。なお国は計画の見込み量の策定にあたって、次のような目標をかかげています。①2011年度までに、現在の入所施設の入所者の1割が地域生活に移行することをめざし、②2012年度までに精神科入院患者のうち7万人を退院させていく、③2011年度までに福祉施設から一般就労に移行する者を現在の4倍とするなど詳細な内容で目標設定がなされています。この中で特に精神障害者の退院について厚生省は苦肉の策として「退院支援施設」なる数合わせの施設を提案し当事者や支援者から反対の声があがっています。それは病院の敷地内で入院病棟を改装して作った施設で、形だけの退院になりかねません。入院の必要がない精神障害者を、引き続き社会から隔離して封じ込めてしまうこの方法はとうてい容認できるものではありません。
一般就労が困難な障害者を対象として授産施設や福祉工場が法律で決められていますが、絶対数が不足していることから地域で行き場のない障害者を対象にして無認可の小規模作業所が全国で6千ヵ所以上あると言われています。多くの小規模作業所は都道府県や市町村の単独補助で厳しい運営を強いられています。そこで国の補助の大幅拡充を望む声が大きくなっていた中で「障害者自立支援法」が施行されました。今回の障害者自立支援法では、小規模作業所の移行先は、この法律の中核になっている義務的経費として国が責任を持って行う自立支援給付の「就労移行支援」「就労継続支援」と言われています。この移行先は就労自立が強く打ち出されていること、高い利用料を支払わなければならないことなどから利用者のアンケートでも希望者は少ないようです。 もうひとつの移行先の「地域活動支援センター」は「通うのがやっと」「仲間がほしい」「働きたい」「訓練をしたい」、といったさまざまな利用目的に応じて、賃金(作業所の場合は工賃という言い方をします)をもらう仕事や、創作活動、行事やレクリエーションをおこないます。 |
また作業所の職員や仲間に相談したり、就職活動の援助を受けたり、福祉制度の手続きの援助を受けたりするといった現在の作業所に似た事業なので、利用者の希望に沿うものですが、市町村の財政事情によって行う裁量的経費なので財政基盤が脆弱で移行に不安を残します。
また2006年11月28日の朝日新聞によれば「政府・与党は11月27日、障害者が福祉サービスを利用する際の自己負担額が今年4月から原則1割となったことについて、自己負担を一時的に軽減する措置を今年度内に導入することを決めた。障害者の負担増を盛り込んだ障害者自立支援法に弱者切り捨てとの批判が高まっていることを受け、06年度補正予算案に負担軽減策を盛り込む。法律施行から1年もたたず軌道修正を迫られた。激変緩和策として検討されるのは低所得者に対する自己負担軽減措置の追加や障害者施設への補助の増額など。予算規模は月内をめどに財務省と厚生労働省が詰める。ただ障害者自立支援法自体を見直す動きは今のところない。」この負担額軽減は喜ばしいことかもしれませんが、基本的な見直しへの目隠しにならないように注視していかなければならないと思います。 この法律の分かりづらさは「福祉の理念」や「障害者のニーズ」からでなく国家財政における福祉予算の抑制から出発していることと障害者の実情を把握せずに法制化したことに起因していると思います。 前述した10月31日の大フォーラムで障害者たちが叫んでいた「私たちのことを、私たち抜きで決めないで」という言葉が心に残っています。同じ思いをもつ人たちと新たにつながりをもち、このような声をいろいろな場所で伝えていきたいと思っています。 |
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