暴力の世紀
ホセ・ソルス
「キリスト教と正義」
2001年4月、バルセロナ、スペイン
 20世紀は「戦争の世紀」と言われ、人類史上最悪の、暴力が支配する世紀だった。誰もが平和を願った21世紀もまた、テロと「テロに対する戦争」という暴力で、幕を開けた。
 神学者で歴史学者である著者は、人類の宿命ともいえる暴力について、さまざまな角度から分析する。特に、現代人のアイデンティティの危機、「暴力は生物固有の本能である」という神話、ナショナリズムと排除の論理、宗教的原理主義、民主主義に内在する暴力−などについての考察は、暴力の根深さについて深く考えさせる。
 著者は具体的な処方箋は示していない。ただ、「平和は画一性ではなく、多様なるものの調和的共存のうちにこそ、生まれる」と強調する。「正義」と「民主主義」を旗印に戦争が行われる現代に、じっくり読んでいただきたい本だ。
目次から
  1. はじめに
    1. 暴力の世紀を後にして
    2. 21世紀は希望の世紀?
    3. 暴力とは何か?
  2. 暴力に至る道
    1. 世界の拡大とアイデンティティの危機
    2. 所有物と結びつくアイデンティティ
    3. 生存のための闘い
  3. 生物学と歴史
    1. 攻撃性と暴力性
    2. 暴力の歴史的連鎖
  4. 今日の暴力の特徴
    1. 緩慢な死
    2. ナショナリズムと帝国主義
    3. 多様な世界は不可能か?
    4. お前は仲間ではない
    5. 家庭と学校の暴力
    6. 死を招く宗教
    7. 分裂症的な民主主義
    8. 民族抹殺
  5. 終わりに−今日見過ごせば、明日は戦争