イエズス会社会司牧センターは、本日の死刑執行に強く抗議します。
  法務大臣 保岡 興治殿
本日、萬谷義幸さん、山本峰照さん(大阪拘置所)、平野勇さん(東京拘置所)の3人に死刑が執行されたことに、強く抗議します。これで、昨年12月以来、5回、のべ16人が執行されました。来年の裁判員制度導入に向けて、定期複数執行を定着させようという、法務大臣と法務省の強い意志を感じます。
 私たちはカトリックの立場から、繰り返し死刑の執行停止を要請してきました。それは次のような理由からです。
 命は神から与えられたもので、人の手で奪うことは許されないこと。どんな罪を犯した人にも、悔い改めの機会が与えられるべきこと。被害者の癒しは刑罰によってなされるべきではなく、被害者への心理的・社会的支援によってこそなされるべきであること。犯罪は力によっては抑止できず、適切な更生策によってこそ抑止できること。
 このような考えは、先日、秋葉原で起きた殺傷事件のように、不可解で悲惨な犯罪が起きても、ゆらぐものではありません。むしろ、このように死刑が執行され続ける中で、凶悪犯罪が続発する事実こそ、犯罪と更生について、暴力と癒しについて立ち止まって考え、本気で社会の再生をめざす必要性を示唆していると考えます。

 先日、「休暇」という映画が公開されました。そこには、死刑囚の日常と死刑執行の様子、刑務官の苦悩が詳細に生々しく描かれていました。元刑務官で、映画のアドバイザーを務めた坂本敏夫さんは、映画のプログラムに寄せた文章で、死刑囚に寄り添って更生に全力を尽くしながら、執行命令が下れば従うしかない刑務官の心情を、切々とつづっています。現場の刑務官から執行命令書に捺印する法務大臣に至るまで、私たち国民は、他人に死刑の執行にともなう苦悩を委ねて、死刑について抽象的な議論を戦わせています。たとえ法律に基づく行為であっても、人の命を奪う「死刑」という刑罰を論じるなら、このような死刑の現実を国民に周知し、死刑囚の死を見守る刑務官の痛みを実感しながら、真摯な議論をすべきであると考えます。
 どうか、死刑の執行を一刻も早く停止し、その是非を国民の間で改めて真剣に議論する場を作っていただくよう、切に願います。
2008年9月11日

イエズス会社会司牧センター
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