イエズス会社会司牧センターは、本日の死刑執行に強く抗議します。
   法務大臣 鳩山邦夫殿

 本日の中元勝義さん(大阪拘置所)、坂本正人さん(東京拘置所)、中村正春さん(大阪拘置所)、秋永香さん(東京拘置所)の4人に対する死刑執行に、強く抗議します。特に、今回執行された4人の中に、国連拷問禁止委員会で非難されたケースである、一部の起訴事実について無実を主張している人や、一審で無期懲役の判決を受けながら上級審で死刑へと刑が重くなった人、上告をあきらめた人が含まれていることは、国際的な人権に対する挑戦と受けとめられても仕方ありません。死刑の連続大量執行を定着させようという法務省の強い意志を感じます。

 私たちキリスト教徒は、つい先ごろ(3月23日)復活祭を祝いました。ご承知のように、イエス・キリストは罪のない方でありながら、人類すべての罪を背負って十字架につけられ、3日後に復活しました。私たちはこのキリストの復活を、人類が罪と死に打ち勝った象徴として祝いつづけてきたのです。
 罪と死に打ち勝ちたいというのは、キリスト教徒だけでなく、世界中の人々の心からの願いです。なぜなら、どんな人の内にも罪と死は影を落としているからです。だからこそ、あらゆる宗教の原点は、罪と死の闇と向き合うことであるのです。
 多くの宗教は、こうした人間の闇の部分を「外科手術のように切り捨てなさい」とは教えていません。むしろ、闇の部分を神仏の前に素直にさらけ出して、慈悲を求め、同じような闇を抱えた人間同士が赦しあい、支えあうことによって、共に救いの道に至ることができる-と教えているのです。
 死をもって罪をあがなうことなど、キリストにしかできません。弱く小さな人間である私たちにできることは、罪を犯した人、罪の被害を受けた人のどちらも真摯に受けとめ、苦しみと痛みを共にすることでしかありません。多くの人が暴力やいじめ、差別や貧困に苦しみ、自殺者や心の病気にかかる人が増えつづける現代日本であればこそ、「死をもって清算する」のでなく、「共に生き直す」社会を求めていきたいと願います。

 どうか、死刑の執行を一刻も早く停止し、その是非を国民の間で改めて真剣に議論する場を作っていただくよう、切に願います。



2008年4月10日
イエズス会社会司牧センター