拝啓
時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
私たち「死刑を止めよう」宗教者ネットワークは、2003年5月に開催されたイタリア・聖エジディオ共同体主催の死刑に関するセミナー「生命のために連帯を」をきっかけに、宗教者有志が超教派で設立したネットワークです。「死刑の執行を停止させ、死刑についての議論を広く行い、命について考える機会をできるだけ多く設けよう」という目的のもと、年2回のセミナーや年1回の祈りの集いの開催、死刑執行に抗議する声明の発表、死刑の執行停止を求める署名などの活動を行ってきました。
ところが、昨今、長勢甚遠前法務大臣のもと10ヶ月間で3回10名、鳩山邦夫現法務大臣のもと2ヶ月間で2回6人と、死刑執行の勢いが加速してきました。長勢氏の前任、杉浦正健元法務大臣が、在任中の11ヶ月間、宗教的人道的見地から死刑を執行しなかったのと対照的です。死刑判決と死刑確定囚の増加を受けて、法務省は今後、死刑執行ペースをますます速める方針とも言われています。
私たちは宗教者として、このような形で命が奪われていくことに深い悲しみを覚え、今こそ死刑執行の即時停止を訴えなければならないと決心し、「連続的死刑執行を憂慮し、死刑執行の即時停止を求める宗教団体共同声明」を発表することにしましたので、別紙の通りお送りいたします。
来年からはいよいよ裁判員制度が導入され、死刑は身近な問題となってきます。私たち一人ひとりが死刑の問題に真剣に取り組むため、まず死刑の執行を停止し、死刑の関する情報を公開して、国民的議論を尽くす必要があります。私たちは今後もこの点を強力に訴えるため、今回の共同声明をさらに発展させ、広く宗教者の皆さんの賛同を得て発表していきたいと考えています。皆様のご理解・ご協力をお願い申し上げます。
なお、共同声明やネットワークの活動についてのご意見・ご質問は、事務局をつとめておりますイエズス会社会司牧センター・柴田幸範までお寄せください。
敬具
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連続的死刑執行を憂慮し、死刑執行の即時停止を求める宗教団体共同声明
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最近の連続・複数への死刑執行を即時停止することを強く要請いたします。一昨年12月25日、長勢甚遠・前法務大臣のもと3名に死刑が執行されて以来、今年2月1日の鳩山邦夫・現法務大臣による3名の執行まで、約13ヶ月で16人というハイペースの死刑執行が続いています。長勢氏の前任者、杉浦正健氏が宗教的・人道的信念から、在任中の約11ヶ月間に死刑を執行しなかったのと対照的です。このように鳩山法相自身の言葉を借りれば「死刑執行を自動化」することにより、人の命が奪われることに、深い悲しみを覚えます。
私たち宗教者は、命は人間が所有するものではなく、人が人の命を奪うことは許されないと信じ、死刑はあってはならないものであると考えます。
日本は平安時代に810年頃から約350年にわたって死刑のない世界最初の廃止国でした。これは仏教の影響によるもので、世界に誇るべき事実です。
人間は他者を生かし他者と共に生きることによって人間らしさを発揮することができます。死刑は他者を排除することであって、人間らしい生き方に反しています。
人間は相対的な存在であり、人間の裁判が下す判決には限界がありますから、誤判の可能性を避けることはできません。
犯罪の発生は貧困・失業・格差など社会の構造的な問題と関係していて、私たちは問題を解決する責任を与えられており、特に為政者の責任は大きいのですから、犯罪の責任を個人にだけ負わせることは誤りであると私たちは考えます。
学校教育・家庭教育において人命尊重を教えることは極めて大切ですが、国家が死刑という暴力によって人を殺していることは人命尊重教育を阻害します。
1989年に国連総会で「死刑廃止条約」(「市民的及び政治的権利に関する国際規約」第2選択議定書)が採択され、現在では世界の65パーセントの国が死刑を廃止または10年以上停止しています。そのような世界の動向や基準に比して日本における死刑執行の実情は著しく遅れており、そのため日本政府は国際人権規約を守るべきことをしばしば勧告されています。死刑を廃止した国々では政治家が世論をリードして、論議を尽くして決定しました。日本でも政治家には世論をリードして、死刑に関して国民的議論を尽くす責任があります。
私たちは宗教者として、加害者が悔い改めと謝罪の心をもつことを願い、被害者の心の傷が癒されことを祈り、犯罪被害者補償制度が拡充されことを求めて努力します。
戦後の日本では、1980年代には執行数が年1、2名に下がり、90~92年にはゼロでしたが、93年に執行が再開されました。そして冒頭に述べたように、最近、執行数が急増していることを、私たちは深く憂慮せずにはいられません。
私たちは、国会と政府が死刑の執行を停止して、暴力の連鎖を断ち切り、暴力を越える道を選択することを求めます。
2008年2月25日
「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク
<賛同団体>
イエズス会社会司牧センター/宗教法人大本/人類愛善会生命倫理問題対策会議/カトリック麹町教会(聖イグナチオ教会)メルキゼデクの会/死刑廃止キリスト者連絡会/生命山シュバイツァー寺/天台宗/日本カトリック正義と平和協議会/日本キリスト教協議会/イエズス会神学院/日本山妙法寺/全国犯罪・非行協議会/袴田巌さんを救う会/上智大学神学部研究室/真宗大谷派死刑廃止を願う会 |
| 「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク |
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