法務大臣 長勢甚遠殿
私たちは、今回の死刑執行に対し、強く抗議いたします。
「死刑を止めよう」宗教者ネットワークは、仏教諸派、生命山シュバイツァー寺、キリスト教諸派、大本などによって構成される超教派の団体です。私たちは宗教者として、「いかなる人にも、他の人のいのちを奪う権利はない」と確信する立場から、今回の竹澤一二三さん、瀬川光三さん、岩本義雄さんの3名に対する死刑執行に強く抗議いたします。

私たちは、「この世に生きるすべてのいのちは、どんな理由があっても奪われてはならない」という、生命の尊厳を大切にする価値観に基づいて、死刑執行の停止を求めています。戦争や殺人、自殺やいじめなど、暴力や抑圧によっていのちが脅かされている今の日本社会であればこそ、私たちは、死刑という暴力によって、新たな「殺人」をさらに重ねることに反対します。
また死刑執行は、死刑囚から、自らの過ちを認め、その責任をとる「生き直し」の機会を奪い、被害者とその家族に対して心から謝罪する機会を失わせます。「競争で敗れた人にも再チャレンジの機会を!」というキャッチフレーズを掲げる安倍政権下で、このような死刑執行が続くのは、皮肉としか言いようがありません。

「遺族感情」や「公共の安全」を理由に死刑執行を増加させるのは、根本的な犯罪防止策や被害者対策をなおざりにしている現状から、目をそらす方策のように思われます。私たちは宗教者として、市民の犯罪に対する恐怖や、ご遺族の悲しみ・怒りと真摯に向き合い、理解しようと努めています。しかし同時に、真の犯罪防止や被害者支援は、強権的・応報的方法ではなく、社会的絆の再生や和解をめざす修復的な手法によって行われるべきだと考えています。日本でもすでに、善意ある方々の間で、こうした「修復的司法」の試みが始まっています。私たち宗教者はもちろんのこと、官民挙げてこうした試みを推進していくことこそ、「いのちを大切にする社会」への一歩であると確信しています。

昨年12月には4名がクリスマスに死刑執行され、その4ヵ月後には3名の死刑囚に死刑が執行されました。そして本日、3名の死刑囚に死刑が執行されました。このように性急に死刑執行を続けることに強く抗議し、真にいのちが大切に社会づくりをめざして、今一度、死刑制度の可否が社会で広く議論されることを願っています。


2007年8月23日
「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク