2007年4月27日
 法務大臣 長勢甚遠殿
田中政弘さん、名田幸作さん、小田義勝さんの死刑執行に抗議します

  私たちイエズス会社会司牧センターは、カトリック・イエズス会の社会問題担当機関として、また「死刑を止めよう」宗教者ネットワークの一員として、「死刑の執行を停止し、死刑の是非について国民的議論を喚起する」ことをめざして活動してきました。本日、田中政弘さん、名田幸作さん、小田義勝さんに死刑が執行されたことに、強く抗議します。特に、ゴールデン・ウィークの直前という不意打ちの執行には、相変わらずの秘密主義を感じざるを得ません。

 昨年12月の執行の際にも申し上げましたが、カトリック教会は、「命は神が与えたもの、何人も奪うことができない」、「神は、どんな罪人も悔い改め、神に立ち帰るよう望んでいる」、「犯罪抑止や社会秩序の維持は、死刑以外の有効な方法によって行われうる」、「被害者支援は、応報感情の満足ではなく、社会全体の被害者への連帯によって行われるべきである」などの理由から、死刑に明確に反対してきました。
 特に、今回死刑を執行された田中政夫さんは、獄中で洗礼を受けて、カトリック信者になりました。自らの罪を悔い、被害者のために祈る毎日でした。四肢に障害を負った星野富弘さんの絵に感動し、獄中で多くのすばらしい絵を描きました。当センターは2001年、田中さんや他の死刑囚の方の絵を借り受けて、各地で「いのちの絵画展」を開催し、多くの人々の感動を呼びました。
 田中さんは、2000年10月、私たちのセンターの会報に寄稿しました。その中で、田中さんは“命が惜しいわけではないし、私の命と引き換えに被害者が生き返るのなら、今すぐにでも命を捧げるが、それで罪の償いになるのだろうか”と、揺れ動く気持ちを率直に吐露しています。私たちは、田中さんに、是非とも生きて罪を償ってほしかったと、心から思います。

 死刑判決が増え、死刑囚の数が増え続ける現状を、帳尻あわせするかのように立て続けに死刑を執行することに、強い憤りを感じます。人の命は、断じてそのように軽く扱われてはならないと思います。一刻も早く死刑の執行を停止し、死刑の是非を国民的に議論し、合わせて犯罪者の更生策、被害者救済策を総合的に検討されるよう要望いたします。




イエズス会社会司牧センター