死刑執行に抗議します |
法務大臣 野沢太三殿 私たちイエズス会社会司牧センターは、法務省が9月14日、大阪拘置所で宅間守さんに、福岡拘置所で嶋崎末男さんに、死刑を執行したことに、強く抗議します。 当センターはカトリック・イエズス会の日本における社会問題担当機関として、死刑囚が描いた絵画を展示する「いのちの絵画展」や、死刑囚の支援者や被害者遺族のお話を聞く会などの開催を通して、死刑について考えてまいりました。そこで得た一つの結論は、「死刑の執行を停止して、死刑の存廃について国民の間で議論を行うべきだ」ということでした。この立場に立って、「死刑を止めよう」宗教者ネットワークにも参加しています。 カトリック教会は死刑の執行停止を支持する姿勢を明確にしています。現教皇ヨハネ・パウロ2世は「現代社会は…犯罪者に対して更正する機会を完全に拒むことなく、彼らが害を及ぼさないようにさせるやり方で、犯罪を効果的に抑止する手だてを持っています」と述べて、死刑を事実上停止するよう求めています。また、日本カトリック司教団も、「どのような理由があろうと、またそれがどんなに社会正義に満ちたものであろうと、私たち人間が、国家共同体の名において、一人の人間のいのちを奪うことは、神の権限を侵害することになるのではないでしょうか」と、死刑に疑義を提示しています。 カトリック教会は、「キリストが自ら十字架刑に処せられたのは、すべての人間の罪を贖って天に入る道を開くためだった」と教えています。そこには、どんな人間も罪を免れないという深い洞察と、どんな罪人をも(救い主自らの生命を賭してまで)救おうとする強い意志があります。私たちは、どんな罪を犯した者であっても、改心と償いの機会を奪ってはならないことを、他人事ではなく自分のこととして、強く訴えます。 また、私たちは、「死刑によって社会の安寧が保たれ、被害者遺族の苦しみも癒される」という考え方に疑問を持っています。犯罪の撲滅は、犯罪者の社会からの排除ではなく、犯罪者の更生と、犯罪を生み出す原因の解明と除去によってこそ、実現すると信じています。また、被害者遺族の苦しみは、社会による徹底した経済的・心理的支援によって軽減されるべきであり、死刑がその代役を果たすのは筋違いであると考えます。特に、今回の宅間さんのように、被害者や遺族への謝罪もないまま執行された場合、ご遺族の苦しみは癒えないどころか、いっそう大きくなるのではとの懸念をぬぐえません。 私たちは今回、死刑を執行されたお二人とそのご家族の魂の平安、お二人が引き起こした事件の犠牲となった方々とそのご遺族の魂の平安を心から祈りつつ、法務省が一日も早く死刑の執行を停止し、死刑の存廃に関する国民的な議論を積極的に喚起し、あわせて被害者のケアに真摯に取り組まれるよう、強く訴えます。 2004年9月22日 イエズス会社会司牧センター |
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