下記全16団体より

99年7月19日

米国通商代表
シャーリーン・バーシェフスキー大使
 

親愛なるバーシェフスキー大使
 

 私たちは、クリントン政権の世界貿易機関(WTO)における、林産物の関税撤廃 を促進するという現在の交渉方針に反対しております。製材業に関するご提案の、 "関税自由化促進(ATL)"イニシアティブ、これは来るシアトルWTO閣僚会合におい て完了すべき"早期収穫"を目指すとされている議題ですが、環境に対して非常に不 確かで、潜在的に有害な結果をもたらすものです。この提案の支持を取り下げ、全 面的な環境影響評価を行い、森林の保全に高い優先順位をおいて、森林を単に商品 として取り扱わない、環境面で正当化できる代替案を米国が作り出すことを私たち は望みます。

 森林破壊は国際的に重要な問題です。今春発行された「森林と持続可能な開発世 界委員会」報告書はこう述べています。

 「20世紀の最近20年間に渡って、急激な森林減少はその代金を取り立ててきた。 1500万ヘクタールの森林が、その大半が熱帯地方で毎年消失している。また、残 った森林においても森林被覆の生態系としての一体性が脅かされている。」と。

 この地球森林危機を逆転するための、公共政策における方向転換を含む緊急の行 動を、この委員会報告では求めています。

 林産物の関税撤廃の促進は、正しい方向ではなく、さらに世界的な森林破壊を 加速させてしまうでしょう。米林業・製紙業協会(AFPA)の担当者によれば、フィ ンランドのコンサルタント、ジャコポイリ社に委託した最近の研究によると、関 税撤廃により、世界全体で3-4%の林産物消費量増加を予測しているとのことです。 このように、関税撤廃により、地球全体の林産物の消費量はFAOの「世界の森林 1999」における予測、2010年の世界中での商業林産物の生産と消費が25%増加 するという予測以上に増加してしまうでしょう。

 米国政府はまた、例えば植物検疫関連の措置(SPS)や技術的貿易障壁(TBT)といっ た、筋の通った森林保全の措置を非合法な"非関税貿易障壁"とみなす恐れがある、 いかなる林産物交渉をも拒否するべきです。私たちは、例えば木材輸入を通じて外 来の病虫害の侵入から防護する法制度など、健康や環境保護のための正当な国内の 措置を無効化するWTOでの論争の根拠となるかもしれない、いかなる新たな貿易ル ールにも反対します。同じく米国政府は、第三者機関による林産物の認証制度やエ コラベル、あるいは林産物が伐採され加工される環境面の状況に関する、消費者の 知る権利に関する他の立法を限定する恐れのある、いかなる交渉にも厳格に反対す る態度を明らかにするべきです。

 私たちは、米国の貿易と環境に関する目的を共に果たす交渉方針を形作るにあた って、御政権の通商代表部などと共に働く機会を頂ければ大歓迎です。この交渉方 針を作るためには、ウルグアイラウンドにおいてすでに合意された関税引き下げ他 の措置から得られる教訓を学びとり、また以下の事柄を熟慮することが有用でしょ う。

1.「森林と持続可能な開発世界委員会」が地球規模の森林破壊の駆動力であると 指摘した、歪んだ補助金の除去。

2.特に発展途上国にとって、持続可能な開発を妨害するタリフエスカレーション (より付加価値の高い林産物輸出への差別的な障壁)の撤廃。

3.社会的、環境的に責任ある森林管理システムから得られた林産物の貿易を推奨 する取り扱い。

 例えば林産物の国境を超える際の少額の料金などの、拡大した国際貿易の結果 得られる歳入を、世界の森林危機に対処する助けとなるプロジェクトや、林産物 の違法取引を監視し無くすためのプログラムなどへの資金として用いるといった 貢献。

 残念なことにこれらの代替策は、これまで大規模な林産物の関税撤廃を促進す る中で無視されてきたように思われます。御通商代表部と環境の質委員会がWTO 閣僚会合の準備として、ATLの環境面の分析を行っていることは勇気づけられる ことです。しかしシアトル閣僚会合までの短い期間にこの分析を充分行うことは 不可能に違いありません。ですから私たちは御政府に、この分析が完了するまで 林産物の交渉に参加することを延期するよう強く求めます。

 さらに加えて、広範な公衆の参加に基づく適度に詳細な影響分析と、行き届いた 代替案評価を保証するため、林産物の関税問題は国家環境保護法(NEPA)で求められている ような規律を充分考慮に入れた、環境影響声明書プロセスによって分析すること を強く求めます。

 この重要な問題に関する、私たちの見解を熟慮していただければ幸いです。皆様 が現在の林産物関税に関する米国政府の交渉方針を押し進めることを直ちに凍結し ていただき、森林の保全と持続可能な開発を大きく強化できる代替的な貿易政策を 作られることを希望します。

敬具
 

Antonia Juhasz
Director, International Trade & Forests Program
American Lands Alliance
アントニア・ジュハス 米国土地同盟

David Downes
Senior Attorney, Trade & Investment Program
Center for International Environmental Law
デビッド・ダウンズ 国際環境法センター

William Snape, III
Legal Director
Defenders of Wildlife
ウィリアム・スネイプ三世 野生生物の保護者

J. Martin Wagner
Director, International Program
Earthjustice Legal Defense Fund
マーチン・ワグナー 地球の正義法的防衛基金

Stephan Schwartzman
Senior Scientist
Environmental Defense Fund
ステファン・シュワルツマン 環境防衛基金

Andrea Durbin
Director, International Department
Friends of the Earth
アンドレア・ダーバイン 地球の友インターナショナル

William Mankin
Director
Global Forest Policy Project
ビル・マンキン 地球森林政策プロジェクト

Scott Paul
Senior Forest Policy Specialist
Greenpeace U.S.A.
スコット・ポール グリーンピース米国支部

Victor Menotti
Director, Environment Program
International Forum on Globalization
ビクター・メノッティ 国際グローバリゼーションフォーラム

Daniel P. Beard
Senior Vice President for Public Policy
National Audubon Society
ダニエル・ビァード 米国オーデュボン協会

Jake Caldwell
Program Coordinator, Trade & Environment
National Wildlife Federation
ジェイク・カルドウェル 全米野生生物連盟

Justin Ward
Senior Policy Specialist
Natural Resources Defense Council
ジャスティン・ワード 天然資源防衛委員会

A. Paige Fischer
Director, International Trade Program
Pacific Environment and Resources Center
ペイジ・フィッシャー 太平洋環境資源センター

Daniel A. Seligman
Director, Just Trade Program
Sierra Club
ダニエル・セリグマン シエラクラブ

Michael A. Francis
Director, National Forest Program
Wilderness Society
マイケル フランシス 原生自然協会

David K. Schorr
Director, Sustainable Commerce Program
World Wildlife Fund
デビッド・ショー 世界野生生物基金(米国)

cc
Vice President Albert Gore
Hon. Carol Browner
Hon. George Frampton
Hon. Dan Glickman
Hon. Frank Loy
Hon. David Sandalow
John Audley, EPA
Ian Bowles, CEQ
Jennifer Haverkamp, USTR