スズメダイのおやつ

僕はスズメダイだよ。

大瀬崎の湾内の、みんながゴロタ石って言ってるあたりにいつもいるよ。

たくさんの仲間といっしょに泳いでいるんだ。

このへんは天気の良い日はお日様の光が射し込んで

明るくて、暖かくて、気持ちの良い所で僕は大好きだよ。

中でも僕の一番好きな遊び場は

大きなま四角な石(コンクリートって言うのかな?)のある所さ。

どうしてか?って

それはね、ここにはダイバーって言う人がたくさん来るんだよ。

ダイバーって言う人はね、いつもは海の外に住んでいるんだけど

時々、海の中にも遊びに来るんだ。

ダイバーは僕達よりずっと体が大きいけど、僕らを食べたりしないから

怖くないんだよ。

それにね、ダイバーは自然や生き物を大切にするんだってさ。

とても良い人でやさしい人ばかりなんだよ。

たまにね、僕らにおいしいおやつをくれるんだよ。

きれいなピンク色でさ、やわらかくて、とってもおいしいんだよ。

ソ〜セ〜ジって言うんだってさ。

あんなにおいしい物は食べた事無かったよ。

あんなにおいしい物は海の中には無いものね。

だから、ダイバーのおにいさんがおやつを持って来てくれた時はたいへんさ。

みんなと競争でもらいに行くんだ。

ダイバーも僕らの事が好きなんだ。

だって、僕らがおやつをもらいに集まるとうれしそうだもの。

ダイバーのおねえさんは手を叩いてよろこんでいたよ。

僕らはきっと人気者なんだ。

だから、あんなにおいしいおやつをくれるんだね。

あっ、来たよ!来たよ!

ダイバーだ。手におやつを持ってるよ。

あのピンク色のおいしいやつだよ!

急げー、急げー、早く行かないと無くなっちゃうよ。

それー!モグモグモグ・・・・・

あーおいしいねーこれ、やめられないおいしさだよ。

おやつの包み紙に書いてあったんだ。

結着剤、精製ラード、赤色106号

なんだか僕らには難しくてわからないけど

あんなにきれいなピンク色でおいしい物なんだから

きっと、僕らの健康に良い物に決まってるよね。

小さな体の僕らなら、少し食べただけでも大きな効果があるよね。

僕は大瀬崎に生まれて良かったよ。

よその海で生まれたらこんなおいしいおやつは食べられなかったもの。

あっ、またおやつがきたよ。

わーい、わーい、うれしいな、それっ、急げーーーーー

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