Aブロック 第1回戦! 




●最大トーナメント第一試合ッ! 

「玄武の方角(北)ッ! 不二!身長約5メートルッ!」
「白虎の方角(西)ッ! 相葉 祐希! 167センチ!」
「両者、中央へッ!」
フェザーン地下闘技場ベルト争奪最大トーナメント、
ついに一回戦の火蓋が切って落とされようとしていた。
「足を使えユウキ〜〜〜〜〜〜!!」
「絶対捕まンなよ〜〜〜〜〜!!」
観客の声援が響くなか、小坊主、ではなく自治領主府の職員でもある審判員が
両選手にルールを説明する。
「一対一における、あらゆる行為を認めます」

「よう……ここのチャンピオンなんだってなぁ」
超肉体を誇る巨人、不二が遥か下方に位置するユウキの
穏やかな…穏やかすぎる表情に向かって語り掛ける。
「なんてぇ面だィ……これから何するか分かってるんだろうなぁ……」
やがて、審判による「両者、元の位置ッ!」の宣告に従い、二人はそれぞれの
方角(コーナー)に帰っていく。

こんな孺子相手に全力もクソもねぇが……

「始めィ!!」
ドンッ!

十秒でケリだ……ナァッ!?

なんとグラップラー祐希、正面から突っ込んだァ!?
「こ……ッ!?」
その瞬間、不二は目撃した!その表情が、正に闘鬼、戦いの化身のそれに
変わっている事を!!
不二、右からの大刀の斬撃!これを祐希、左の二の腕で捌き、ボディブロー!

ひ、響く……
さらに祐奇、跳躍!後ろ廻し蹴り敢行!!
優勝(うえ)まで……一気に!



●祐希VS大巨人

「来いよ……正面からだ……」
先手を取った地下チャンプ相葉祐希、な、なんと身長5mの超肉体・不二
を前に真っ向勝負の構え!
「思い残す事の無い様にな……」

「あンのバカ……」
最前列で見守る主宰・ルビンスキーがうめく。

「アウトボクサーがファイターに打ち合いを挑む」
あれが相葉祐希だ。
白虎の花道で伊倉雅弥に誇らしげに解説したのは「真夜中の鴉」壬生九朗。

「アンタ……凄ぇファイターだな……」
やがて、大刀さえ捨て、ボクシングの構えを取る不二。
ガキの頃から言われてた…「本気を出すな」って……
幕末の動乱も、志士雄軍団も、俺の本気を許さなかった。
なのにアンタは……!
「尊敬するぜ!!」
不二、キレイな左ジャブ!
「疾い!」
ルビンスキーでさえ驚愕させた大巨人のジャブ!これを、なんとユウキ、
全て見切り、叩き落とす!
構わず不二、右ストレート!ユウキ、左フック、カウンターで入った!
グラ……ッ!
「き、効いてるぞ〜〜〜〜〜〜!!」
不二、返しの左フック!ユウキ、懐に入ってジャンピングアッパー!!
つ、強ぇ……
つかみ掛かった不二の手を払い、ユウキのロー!ロー!!ロー!!!
さらに、ハイ!!

ま、負ける……!?

「ドウリャァアアアア!!!」
胴廻し回転蹴り、顔面にヒット!!
不二の超肉体が客席まで吹っ飛んだ〜〜〜〜〜!!!

勝負アリ!!!

「ク〜〜〜〜〜良い勝ち方しやがるぜィなァ雅弥ァ」
「惚れてますね、九朗サン」

「なんか……負けたけど……気持ちいいや」
敗れた大巨人の表情は、歯は砕け、鼻は曲がった無残なその表情は、実に
安らかであった……。

第一回戦第二試合!!
「玄武の方角!首切りバサラ!!」
「白虎の方角!クラウド・ストライフ!!」



●夢見る男たち! 

フェザーン地下最大トーナメント!
第一回戦第二試合!!

白虎、クラウドは白マテリアを手にコンセントレーションを
高めており、一方、玄武、バサラは亡き恋人の曝首を手に狂笑していた。

始めィ!!

クラウド、一気に秘技、「超級武神覇斬」、大剣による連続斬撃突っかけた!!

控え室。それも個室では無く、トーナメントだというのに大部屋に集められた
選手たちは、備え付けの大型モニターにて両者の試合を観戦していた。
「ハハ。ダメだコリャ」
セクシーコマンドー、花中島マサルが陽気に笑いながらそう言った。
その近くには超実戦魔道の雄マトリフ、そして<A・H>のデンジャラス・ライオン
砂柄実保の姿もあった。

一方、他人の試合などには興味を示さぬものもいる。
黙々とヒンズースクワットに汗を流すケイン・ブルーリバー。
しかめっ面をしたまま座禅を組むヤン・ウェンリー。
そして、
「ねぇオジさん」
周囲から離れて身繕いをしていた魔軍司令ハドラーの元に、マサルがやって来た。
本当に落ち着きの無い男である。
「むか〜しむかし、魔王だったんだって?今日はドラクエじゃないって知ってるよね」
バカ陽気なマサルの表情を、一瞬ハドラーは見上げて、再びシューズの紐を結び始めた。

「ホキャアアアア!!!」
嵐の如き猛攻の中、バサラはクラウドの顔面に左手を沿え、右手で膝の裏を取った!
「ホォォ、キャアアアアアアアアアアアアアア!!!」
そのまま一気クラウドの後頭部を地面に叩きつけた!!
「キャキャキャアアアアアアアアア!!!」
鉄壁のマウントを取り、一気にハンマーパンチを叩きつけ続けるバサラ!!
その表情、まさしく凶気!

「勝負アリ!!勝負アリだ!!」
審判員が一斉に乱入して両者を引き離すまでにさらに数撃の拳打がソルジャーの
顔面を破壊していた。

「急いで医務室に!!」
「振動させるな!!」
救急隊が敗退したクラウドを担架に乗せて走っていた。
その破壊された顔面を見た一人が呟く。
「うわ〜〜、ダメかもな、コレ………」

ピュア・ファイター首切りバサラ、一回戦突破!!




●闘士のエナジー!

『さぁ〜一回戦第三試合!まずは朱雀の方角から花中島マサルの入場だ!
おおっと!すさまじい眼光を周囲に放ってる!キュピーンという擬音がここまで
聞こえてきそうだぁ!!』

白虎の花道にて、壬生と雅弥が武闘場に降り立ったセクシーコマンドーを観察していた。
「クックックッ、食えねぇ野郎だぜ、さっきまであんなにヘラヘラしてたのによぉ……。
こりゃあ、ロートルのハドラーにゃキツイんじゃねぇか?」
「さて、どうでしょうかねぇ……」

一方、控え室では。
「ふぅ……じゃ、行くかヒム……」
「ウ、ウス……」
かつて魔王を名乗った男とは思えぬ弱々しい姿に周囲は半ば唖然とさえしていた。
「しょぼくれちまってよぉ……ホントにブッ殺されちまうんじゃねぇのか?」
ほとんど本気で心配している口調で<A・H>所属、砂柄 実保が祐希に言った。
「路上だと、そうだろうね……。でも、あの人は喧嘩屋じゃなくって、根っからの闘士
だから」
「砂柄クン、と言いましたか……」
後ろからの声に振り向くと、そこにいたのは伝説の勇者・アバン。
「今出ていった男が『魔王ハドラー』だと思ってるのですか?」
その言葉の意味を考え、若い二人は思わず顔を見合わせる。
「フフフフ、今日は面白いものが見られそうだ……」

青竜の方角。
その通路を歩む主君の姿を親衛騎団”兵士(ポーン)”ヒムは沈痛の思い
で見つめていた。
皺の増えた顔。丸まった、弱々しい背中。必要な肉まで落ちた老いた肉体……
「は、ハドラーさまッ!」
「……どうした、ヒム?」
「おッ……俺がダメだと思ったら、このタオル投げますから!!」
ハドラーは、微かに苦笑して、花道に闘技場に向かった。

心配するな。

え……?

『さ〜!青竜の方角より!燃える闘魂、魔王ハドラーの入場です!かつて地上征服の野望
に突き進んだ巨大なカリスマが、今度は地上最強の野望に手を掛けます!』
ハドラ〜〜〜〜〜〜〜!!
勝ってくれ〜〜〜〜〜!!
客の応援を受け、ヒムにもはっきりとわかった。
今ここにいる男は……!
「ヒム!」
「は、はいッ!!」
「バカヤロウ!!!」
いきなりハドラー、セコンドのヒムをブン殴った!!
「タオル投げちまったら汗がふけねぇじゃねぇか……ナァ?」
「は、はいッ!!」
や、やっぱりそうだ!客の前ならハドラー様は今でも魔王、世界最強だ!!

やがて、審判員、ニコラス・ボルテックが中央でルール説明を行う。
「助太刀の乱入以外の全てを認めます」

「へぇ〜アンタ、結構ごんぶとだね」
ハドラーは、それを聞くとマサルの首にタオルを掛け、
「てめぇ、何が言いてぇかわかんねぇんだよ人間語しゃべれやコラ」
「お、オイ!!」
なんとそのままつかみ掛かった!
「両者、元の位置!!」
始めィ!!

マサル、得意のセクシーコマンドー「エリーゼの憂鬱」敢行!
チャックに気を取られたハドラーにマサル、ラッシュ、ラッシュ、ラッシュ!!
しかし!
「ダッシャァ!」
ハドラー頭突き!さらにバックを取り、そのままジャーマンスープレックス!!
そこには木の柵が!
ゴシャァアア!!
「勝負アリ!勝者、ハドラー!!」

魔王ハドラー、未だ壮健ナリ!!
ふてぶてしい表情で、男はエナジーをくれた客の歓声に右拳を突き上げ応えていた。




●格の違い! 

手首の関節を捻じり、顔を自ら張り。
大魔道士マトリフは、玄武の通路にて、入念に準備運動をしていた。
その傍らには、マトリフ流魔道師範代ポップ、そして、相葉祐希がいた。
「……今日は…俺の誕生日でな……」
唐突に口を開いたマトリフの言葉に、セコンドの二人が戸惑う。
「今日で、五十才になる」
「……はぁ……」
「それは、オメデトウございます」
型通りに祝辞を述べる二人を見もせず、大魔道士は続ける。
「齢五十才の老魔道士と、世界を革命する薔薇の王子の他流試合……
端から見りゃ笑っちまうくらいの格の差だ……けどよ」
しかし、その頬に浮かんでいたのは、この上ない喜悦の笑みだった。
「そういうのが、オイシイんだよな」

「玄武の方角!マトリフ流実戦魔道宗家!マトリフ!!」
「応!!」

既に、マトリフとの対戦相手、「薔薇の王子」天上ウテナは武闘場に
立っていた。視殺戦が、始まる。
やがて、審判の「両者、開始線に戻って」の合図がでるが……
『動かない!両者とも、にらみ合ったまま、一歩も動かない〜〜〜〜〜〜〜!!』
「九郎サン……マトリフ氏に勝機はありますか」
両者が緊張に満ちて対峙するのを見て、伊倉雅弥が壬生九郎に尋ねた。
「ン〜〜〜〜、少女革命ウテナってのはァ様式美に染まりまくっちゃァいるんだが……」

一方、自治領主ルビンスキーもまた、脳裏に「薔薇の王子」を迎えたときの事が過っていた。
「薔薇の王子が負けたら、赤ッ恥だぞィ……」
「大丈夫ッス……少女革命ウテナはミュージカルじゃないッスから……
格闘技ッスから……」

「あれでなかなか強ぇんだ」
偉大な先達の言葉を受け、若き最終兵器が、興味深げな表情を浮かべた。

「始めィ!!」
合図が懸かるや否や、「薔薇の王子」、一気に突っかける!
ウテナ、剛速の左張り手炸裂〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
玄武の柵まで吹き飛ばされた!!
「し、師匠ッ!!」
思わず叫んだ師範代ポップの目前で、大魔道士は薔薇の王子に髪を
捕まれ、地面に顔面を叩きつけられる!
超実戦魔道の雄マトリフ、轟沈か!?
観客の誰もがそう思った時、マトリフの口元に不敵な笑みが浮かんでいた。
その両腕には、純白の光を放つ魔道の弓矢が!

極大消失呪文、メドローア!!



●恐るべき命綱! 

「やった!メドローアだッ!!」
師範代ポップが、師匠の逆転勝利を信じて喝采の声を上げた!
「そのまま消し飛ばしちまえぇぇぇッ!!」
マズイ……!!
しかし、ユウキはハッキリと危機感に満ちた表情を浮かべていた。
「しばらくの間、休載してもらうぜ王子様ァ……」
不敵な笑みを浮かべたまま、マトリフはメドローアの先端をウテナに
むけた。

「いかんなぁ………」
「真夜中の鴉」壬生九朗もまた、相葉祐希と同様に渋い表情を浮かべていた。

「ソリャァァァアアアアア!!」
行ったァアアアアアアアアアアアア!!!
超金属オリハルコンをも消滅させる極大消失呪文が薔薇の王子に放たれた!
しかし!!

『と、止めている!ディオスの剣が、メドローアを止めているゥゥゥゥ!!』
な、なんとレイピア相当のサイズの剣が、究極の破壊呪文を止めていた!!
そのままメドローアを弾くウテナ!一気に間合いを詰め頭突き!
それを食らったマトリフ、とっさに前蹴り!!

両者の間合いが、再び離れた。

大盛り上がりの観客をよそに、九朗が雅弥に質した。
「今の攻防の意味が、わかるかい?」
「……何にしても、薔薇の王子相手に正面から呪文を撃つのは感心しませんね」
応よ。上出来。
雅弥の答えに、魔人は親指を立てて満足の意をしめした。

何で……何でメドローアが効かないんだ!?
「凄いッスよねぇ……薔薇の王子の剣って」
ポップの、呻きにも似た問いに答え、祐希が口を開いた。
「考えてみたら、決闘の最後で逆転するのって、ディオスの力が発動してから
なんですよね」
剣が命綱なんスよね……。
薔薇の王子クラスになると、ハースニール並みの威力も引き出せるんスよね……。
「……………………………………ッ!」
「地上最強の魔剣って、あんがいディオスの剣かも知れないッスね……」

『さぁ〜天上ウテナ、ディオスの力が降臨したァ!』
「終らせる気ッスね……」

マトリフ、理力の杖を振るって突っかかる!しかし、その尽くがディオスの剣に
打ち落とされる!!
「そこらへんの剣客の攻撃なんざ皆叩き落とされちまいそうだなぁ……」
クロウがそう評するなか、ついにウテナはマトリフの襟首を掴んだ!
最悪だ!!
そのまま、ウテナ、やぐら投げ敢行!!
顔面から落ちたマトリフを血走った目つきで睨むウテナ!
そのまま足を高く掲げた!!
『な!何をする気だ薔薇の王子〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!』
ゴシャァアアアアアアアアア!!!!!
四股踏みの要領で、後頭部に足撃!!
『少女革命ウテナ強し!薔薇の王子、恐るべし!!』

「勝負アリ!!」