センチメンタル★グルメ★ジャーニー

というわけで行ってきたよ、命日の墓参り。羽田から 10:30 頃の飛行機に乗って山口宇部空港に12:00 頃について、バスで宇部新川駅へ。後から聞いたことによると、関西人のお父さんはうっかり新幹線ルートで説明を書いてしまったが、飛行機で来た場合、別に宇部新川に行く必要はなかったらしい。でも何もわからんオレはとりあえずその説明に則って新川に行ってみた。

新川についてまずはメシを食うことにした。駅の案内地図に載っていた天ぷら屋の「天くに」に行くことにした。天くにを探してウロウロしてると、かなり大きなアーケード街にたどり着いた。相当な規模なのだが、何か様子がおかしい。全部の店が閉まっているのだ。昔は吉祥寺のアーケードにも一斉定休日というのがあったらしいが、それにしても寂しすぎる。はたして、店は皆つぶれていたのであった。地方では郊外型店舗の隆盛により、こうした駅前の、車で来れないような店ははやらず、どんどんつぶれているらしい。アーケードのゴーストタウンに薄気味悪い楽しさを覚えて痛快ウキウキと歩き続けた。

アーケードを抜けると、ようやく人の賑わいを感じさせる通りに出た。もう天くにをみつけることもあきらめかけていたので、ローソンをみかけて思わずホッとした。おお我らが都会のオアシス、田舎のオアシス、現代人のオアシス、コンビニ。フラフラ〜と向かいつつも、手前のもっと近いところにセブンがあったのでアッサリ鞍替え。セブンで「山口グルメ」という本をチェックしたところ、宇部の項目にはまたもや天くにの名が。これは行くしかあるまい。

グルメ地図を目に焼き付け、ようやくたどりついた天くに。2000 円もしくは 1700 円の天丼か 1500 円の天茶かで迷い、ドーンと 2000 円の天丼に決定。海老が三びき、キス、かき揚げ、シシトウ他。海老は大きくはないが、身のしっかりとしたものが足をつけたままで揚げられている。足がパリパリとしてウンマイ。かき揚げは人参とゴボウなのだが、切り方がちょっとかわっていて、1cm 幅ほどに長く薄く切ってある。ンマイ。

いかにうまい天ぷらとて、油ものばっかり食べてるとしつこさが気になる。そこで登場するのがおしんこ。オレはおしんこはしっかり漬かってるほうが好きなのだが、これが絶妙な漬かり方だった。おしんこの酸味がもったりして来た口の中をシャキッとさせるのだが、天丼の味を邪魔してしまうほど強い味ではない。この組み合わせはウンマーイ!

漬物と言えば、来る途中の機内誌で読んだ、米沢の「雪菜のふすべ漬」というのをぜひ食してみたい。実体は長岡菜なんだが、これを一時収穫して、再び土とわらで畑に囲っておくと、やがて降り積もった雪の中でわずかな光と自らの葉を栄養源に“とう”(花茎)を伸ばす。この美しい純白の野菜を雪菜という。クセがないためサラダにしてもおいしく、軽く湯通しして浅漬けにすれば独特の辛味が味わえるらしい。 なかでも特に大量生産の「雪菜漬」と呼ばれるものと違って、ふすべ漬の名で売られている吉田さんちの漬け物はえらくウンマイらしい。

話は天丼に戻る。天丼とおしんこのルーチンにも慣れたころ、まだ蓋を開けていない赤だしがあるのを思い出した。蓋を開けるとぱあっと広がるゆずの香り!「うれしいねえ。」ちょっと重たい天丼という料理に、このさわやかなゆずの効いた赤だしがよく合うこと。天ぷらのうまさだけだったら、ここよりうまいところがいくらでもあるだろうとは思う。でも天ぷらのうまさそのものよりも、お店の雰囲気と味のバランスですっかり気に入った。

さて、お腹にナマグサをたっぷりと詰め込んだまま、いよいよ花とビールを抱えてタクシーでお墓へ。地図を頼りに桂川家の墓をみつける。銘を見ると、彼の祖父と曾祖父、曾祖母が眠ってらっしゃるようだ。その三人の横に、彼の戒名と、「俗名 桂川直己 享年二十六歳」と書いてある。もうここからは涙があふれ出して止まらない。花をあげ、ビールをあげた。ビールは一番好きだったらしいヱビスビールと、新発売のも味見したいだろうから、「麦の贅沢」を買ってきた。

線香に火をつけようとするが、みんなからの分も、と思っていっぺんに火をつけようとするとうまくいかない。カラスどもがカアカアとからかうようにうるさい。カラスはキライなほうではないのだが、このときばかりは「お前らちょっと黙ってろ」と思った。ようやく火がつき、手を合わせ始めた。どのくらい拝んでいたのかよくわからないが、落ち着いた頃に自分の分の麦の贅沢の蓋を開けた。

さらりと飲みやすいのにしっかりと麦の味もする。これはなかなかどうしてウンマイビールじゃないか、なあ、るねきち!結構気に入った。生きてるうちに一緒に飲みたかった、という気持ちと、いやいや今一緒に飲んでるじゃないか、という気持ちが交錯した。気がつくと、カラスがいつのまにかいなくなり、うぐいすが鳴いていた。「笑っちゃうくらい春だねえ。いいところじゃないか。また遊びにくるよ。じゃあな。」

墓参りを終え、携帯電話が入らないから一番近くの公衆電話まで 15 分かけて歩いて、ご両親に連絡を取った。お祖母さんの家にお邪魔させてもらうことにした。お祖母さんの家にはお祖母さん、お父さん、お母さん、るねきちのいとこにあたるユミコちゃん(柏市在住 21 才、学習院大学 2 年、美人(伏線))がいらっしゃった。ビールなどごちそうになった後、足の悪いお祖母さんには非常に申し訳ないが、お留守番をして頂いて、ふぐを食べに行くことに。ふぐ!ふぐを食べずしてなんが長州旅行じゃろか!?不謹慎にもニヤツキが止まらないオデ。

ふ〜ぐふっぐ♪テッサ!テッチリ!アーーーー、ウ!マンボ!まずは、てっさですな、ふぐのお刺身。メインの薄造りの刺身自体よりも、皮周辺のゼラチン質を千切り(?)にしたものがコリコリとうまかった。ふぐちりもおいしかった。コメント不要つーか。でもホントにふぐってアッサリしてるね。こんなウカレはっちゃけるほどウマイものでもないのかも。実は食っちゃイケナイところのほうがウマイらしいねえ・・・。ちょっとしびれる、死なない程度に食うのがコツだとか。それにしても生まれて初めてふぐを食するユミコちゃんがなにごとにも感動してて実にカワイかった。

ご家族とも別れを惜しんで空港へ。さようなら山口!さようならるねきち!さようならふぐ!というわけで辛気臭いお墓参りとはいえ、グルメで楽しい旅行になりました。さて、ユミコちゃんに電話しよっと(オチ)。


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