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ビールの友016
犬猫鶏の仲
96.10.19

 先日、ある陶芸家のお宅におじゃました。ここは過疎地帯だそうで、街が芸術家を誘致している。山の中の、崖の中腹に家が建っている。

 このうちには玄関脇の檻に犬が1匹いた。こいつはあまりに凶暴なので檻に入れられているんだそうだ。中型犬にしてはやや大振りな感じの犬だが、品種はわからない。ごろんとした顔の犬だ。なんとなく目つきが寂しそうである。

 玄関の上がりがまちにはシマ猫が寝ていて、靴を脱ぐのをじゃましている。目つきの悪い猫だった。尻尾が極端に短いのは、どうやら生まれつきではなくケンカで喰いちぎられたらしい。耳にけがはしていないから(猫のケンカはだいたい耳からボロボロになっていく)、結構強い猫なんだろう。不覚をとったというわけだ。試しに蹴ってみると、じろりとにらんだだけで元通り昼寝を始めた。コンジョーの座った奴だ。

 玄関をあがるといろりの板の間で、ここがギャラリーにもなっている。ここにも猫が1匹寝ていた。この猫はひたすら寝ていて触り放題である。触られながらも何度か姿勢を変えるという余裕を見せる。寝ることに対する執念が感じられる。

 インタビューと写真撮影を済ませた帰り際、玄関脇の、檻のある方とは反対の方の縁の下に犬がもう1匹いるのを発見。縁の下から出てきた犬に顔をベロベロなめられながら、なんでこんなところに犬がいるのかと聞いてみたら、「このうちで一番強いのは、実はニワトリなんです」と答えが返ってきた。

 家の裏に回るとニワトリがいるという。一応金網で囲ってあるが、それは「単なる目印ですよ」という。「屋根まで飛び上がりますから。金網なんてあってもしかたないんです。上もしっかりフタをしとかないとね。そこまでやるなら鶏小屋を作らないと。」

 知らない人はまさかと思うだろうが、ニワトリは本当に恐い。連中の武器は足の爪だ。くちばしではない。あれは左ストレートみたいなもんで、単なるジャブだ。本当の武器は足の爪だ。私はかつて野生化したニワトリと対決したことがあるから間違いない。

 ニワトリが飛べないものだと思いこんでいる人というのは意外に多いが、実際に飛ぶところを見るとカルチャーショックを受けるようだ。「ゴキブリが飛ぶのを見た時みたいだ」とかつて言った奴がいる。言い得て妙である。

 裏に回ってニワトリ見学は遠慮したが、あの連中が同居しているとなれば縁の下に隠れる犬や、やたらコンジョーの座った猫がいるのも踞けるというものだ。


 南伸坊の「冗談ばっかり」とゆー本に「ウサギとクマ」という話が出てくる。

+++++++++++++++++++++ 引用開始 +++++++++++++++++++++
「オレたちってさ、こう毛深いじゃん、だからさ、へんな話だけど、排便なんかの際にさ、肛門周辺とかに、ウンコとかついちゃったりする局面とかあるじゃん」
とクマさんが、いっているのだそうだ。
 で、その話し相手ってのがウサギなんだけど、まァつまり野原の真ン中で、クマさんとウサギさんが「立ち話」をしてる。で、クマさんが続けて
「どうなのかなァ、そういうのって、オレどうしても気になっちゃう。どうかな君あたりそういうのって気になったりしない?」
「そうねェオレはあんまり気になんねェよ、ワリと大丈夫……」
「だって!ウンコが体についてんだぜ! それ大丈夫なワケ?」
「ああ…オレはなんてえか…」
といって、ウサギさんがまだ何か言いつづけようとしているのを、いきなりつかみあげたクマさんは、そのウサギさんで自分のお尻をふいてしまいました。
+++++++++++++++++++++ 引用終わり +++++++++++++++++++++

 南伸坊はこの話のおかしさをいろいろと分析してくれているのだが、そんなこととはまったくカンケーなく、僕はこの話にはカンドーした。何にかというと、クマさんの心遣いに、である。よく読んでほしい。一見チョットひどいねって感じの話だが、このクマさん、ちゃんとウサギが、自分の体がウンコで汚れることを気にするかどうかをリサーチしているのである。その上で自分のお尻を拭くのだから、実に良心的なのであった。

 やはりですね、お互いに共同生活をしていく以上は、このくらいの気遣いは必要だろうと思うわけですよ。あのニワトリと猫と犬もこのくらい仲が良ければいいんだけど。


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