宝塚歌劇団 月組
「PUCK」
-パック-




STORY




イギリス南部のコーンウォール地方。

15代続く貴族グレイヴィル家の領地の森では、
夏至の前の晩・・・
ミッドサマー・イヴに恒例となっている
音楽祭が行われようとしていた。

今年で第60回を迎えるこの音楽祭を主催する
グレイヴィル家の当主サー・エドワード・グレイヴィルには、
ハーミアとヘレンという二人の孫娘がいた。

ホテル王の息子ダニーと貴族の御曹司ラリーは、
愛らしいハーミアに夢中。

彼女のいとこのヘレンには見向きもせず、
ハーミアの気を惹こうと必死になっている。

悪ガキ仲間を引き連れた森番の息子ボビーの乱入によって
音楽祭の準備が中断となり、
大人たちが森を後にし始めたその時・・・
ハーミアはストーン・ステージの周りに集まる妖精たちを目にする。

自分にしか見えていないらしいその光景に夢中で見入るハーミア。

やがてストーン・ステージが割れ、
中から一人の妖精・・・パックが誕生する。



生まれたばかりの妖精パックは、
妖精の王オベロンの指示で、
本当の美しさと醜さの区別がつかない
浅はかな人間たちを観察に出掛けることになった。

ただし、人間に姿を見られないよう、
気をつけなければいけない。

大抵の人間には妖精の姿は見えないが、
中には妖精を見ることのできるセカンド・サイトを
持った子供がいるというのだ。

必ず掟を守るよう監視役の妖精たちに言い含められながら、
パックは人間界へ向かう・・・。



早速グレイヴィル邸にこっそり忍び込んだパックは、
人間には姿が見えないのを良いことに
次々をいたずらを仕掛け、
広間の客たちを大混乱に巻き込む。

ところが、
セカンド・サイトの持ち主であるハーミアだけは、
パックが森で生まれた妖精であることに気付いていた。

自分の姿がハーミアに見えていることに嬉しくなったパックは、
掟を破って彼女と言葉を交わした上、
純粋な心を持ったハーミアに恋をしていまうのだった。

人間に恋をした妖精には、
厳しい罰が待っているとも知らず・・・。



人間たちの時間は瞬く間に過ぎ・・・
第69回目のミッドサマー・イヴの音楽祭の日。
9年の間に、ダニーは父の跡を継ぎ実業家として成功を収め、
ラリーは母校の教師になっていた。

ボビーはロックスターを夢見ながらグレイヴィル邸で働き、
ヘレンは相変わらずダニーに片思いもしている。

そしてハーミアは・・・セカンド・サイトを失い、
パックの記憶を無くしていた。

すっかり大人になってしまったハーミアの姿に
ショックを受けたパックは、
オベロンに命じられるまま「恋の三色スミレ」
という魔法の花を使って、
人間たちを困らせてやろうとするのだが・・・。




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