宝塚宙組
ミュージカル
「クラシコイタリアーノ」
CLASSICO ITALIANO -最高の男の仕立て方-





STORY




1960年代、戦後の経済復興に華やぐイタリアの首都ローマ。

フィレンツェの紳士服コレクションで、
衝撃的なデビューを果たした一人の男、
サルヴァトーレ・フェリ。

その彼が興したイタリアで最も有名なテーラー”グランチェロ”が
アメリカに進出することが決まった。

着る男を魅力的に見せると言われ
国内外を問わず人気を集める”グランチェロ”のスーツ。


サルヴァトーレは大衆向けに既製品のスーツを低価格で売り出すという
新ビジネスで成功を収めていた。

そんな彼のドキュメンタリー番組を制作するため、
アメリカのテレビ局が取材にやって来る。

映像作家のレナード・デルーカは当初、
気難しいサルヴァトーレに戸惑うが、
仕事に妥協を許さない彼の姿に接し、
次第にサルヴァトーレに興味を覚えるようになる。




”グランチェロ”の作業場にテレビの取材スタッフたちがやって来る。

気もそぞろで仕事が手につかない職人たちに対し、
マリオだけは自分たちの仕事を面白半分に眺めるアメリカ人に
不快感を顕にするのだった。

より大量生産が必要となるアメリカ進出は、
商品の質を落とすことに繋がると批判するマリオに、
サルヴァトーレはどんな手段を使ってもアメリカ進出は成功させると語る。

かつてナポリで同じ師匠の下、
仕立て職人としての修業を積んだサルヴァトーレとマリオ。

共にローマにやって来た二人だったが、
ナポリの仕立てのスーツを世界に認めさせる
という夢を描くサルヴァトーレと、
ナポリ仕立ての伝統を曲げることを受け入れられないマリオは、
次第に対立を深めていく。

取材の過程で、
サルヴァトーレの一見華やかに見えるキャリアの
別の側面を垣間見たレニーは、
強引なまでに自分を突き通す強さに隠されたサルヴァトーレの
本当の姿を知りたいと思い始める。




数日後、チネチッタの撮影所ではドキュメンタリー番組の
撮影が行われていた。

ナレーター役の女優の出演が急遽キャンセルとなり、
映画学校の研修生ミーナ・プッティが代役を務めることに
なっていたが、
何もかもが初めての経験のためミーナはNGを繰り返してばかり・・・。

すっかり自己嫌悪に陥るミーナにサルヴァトーレは厳しい言葉ながらも
本気で何かをやり遂げようと思えば必ず前に進めると勇気づける。

サルヴァトーレが修行時代を過ごしたナポリにある小さな村で、
伝統芸能である仮面劇の一座で育ったミーナ。

彼女を下町にある家まで送り届けたサルヴァトーレは、
そこで寄席芸人たちと共に仮面劇で道化師のプルチネッラを
演じるミーナの姿を見ながら、
自らのナポリでの日々を思い出す。

戦争で孤児となり孤独となり孤独な日々を送る中、
サルヴァトーレはナポリ一と言われた仕立て職人
アレッサンドロに引き取られ、
修業に打込む日々を送るようになったのだ・・・。




サルヴァトーレの過去を調べていたレニーは、
彼のナポリ時代を知る。

社会の底辺から這い上がり、
戦後のイタリア復興の立役者と言われるまで上りつめた原動力を
尋ねるレニーに、
サルヴァトーレは成功することでしか自分の居場所を見出せなかった・・・、
そう答えるのだった。

その時、マリオが作業場でアメリカから見学に来た
バイヤーたちを怒らせたと知らせが入る。