宝塚歌劇団 星組
ミュージカル
「My dear New Orleans」
-愛する我が街-




STORY




1928年、ニューオリンズ。

ブラックミュージックの先駆者としてジャズ・エイジの
ニュ−ヨ−クを席巻したミュージシャン、
ジョイ・ビーが、水害からの復興チャリティーコンサートに出演する為、
故郷の街に戻ってきた。



少年時代に聖歌隊で歌っていた黒人教会を訪れたジョイを、
ニューヨークから音楽ジャーナリストのエリック・ジョンソンが取材の為に訪ねてくる。

彼のフィアンセ、アイリーン・ハートが携えてきたレコードは、
彼を成功へと導いた有名なラブソング
“Sweet Black Bird”。




ジョイは、この曲に歌った永遠の恋人“ルル”に想いを馳せる。





1917年。

ニューオルリンズのストーリーヴィルと呼ばれる一角は、
酒と女と、そして最高の音楽が溢れる南部一の歓楽街だった。

ジョイの率いる“ストーリーヴィル・キッズ”は、
街でも一番の人気バンドで、
人々は彼らの奏でるラグタイムのリズムに合わせて踊り、
毎夜、ジョイの歌声に酔いしれた。




ある晩、ジョイは“ニューオリンズで一番美しいクレオール女”と
評判のルルことルイーズ・デュアンと再会する。

ストーリーヴィルを牛耳るジュール・アンダーソンの愛人であるルルと
ジョイの間にはかつて、決して忘れることの出来ない出来事があった。




10年前の事件・・・。

白人の男に襲われそうになったルルを助けたジョイは、
理不尽な人種差別から留置所に送られたのだ。

生きることに絶望するルルに、ジョイは呼びかける。




「生きてて良かったと思える時が必ず来る」・・。




ルルはジョイのその言葉を励みに、
生きる希望をつないでいた。

そしてジョイもまた、自分が助けた少女をその後もずっと気にかけていたのだった。

彼は、ルルの為にに即興のラブソングを歌う。

「Sweet Black Bird」。

甘く誘惑的な黒い小鳥、と・・・。




魅惑的で美しいルルに強く惹かれていくジョイ。

だが彼女の弟レオナード(レニー)は、
これ以上“ムッシュ・アンダーソンの女”に近づくな、と警告する。

幼馴染みでジョイを想い続けているネティもルルを諦めるように説得するが、
ジョイの想いは揺るがなかった。




しかしレニーの脅しにより、ストーリーヴィル・キッズの仕事は
次々とキャンセルが相次ぐ。

なぜ自分とルルの仲を邪魔するのかと詰め寄るジョイに、
アンダーソンの庇護はルル本人が望んでいることと一蹴するレニー達。

ルル自身も、ジョイとのことは戯れだと彼を拒む。




ニューオリンズの港に駐屯していた海軍の命令により、
突然にストーリーヴィルに閉鎖命令が下された。

ダンスホールや娼館は店をたたみ、
ミュージシャン達も続々と都会へ出て行く中、
ジョイの許にニューヨークの音楽プロモーター、
アルバート・ジョーダンがやって来る。

一緒にニューヨークに来て仕事をしてほしいという彼の誘いにジョイは戸惑うが、
友人ゲイブの死が、ジョイにミュージシャンとして生きる決意を固めさせる。




音楽に人種は関係ない・・・。




自分の進むべき道を見出したジョイは、ニューヨークで一緒に生きようとルルを誘う。

しかし肺病を患っていたルルはジョイへの別れの言葉をレニーに託し、
彼の前から姿を消すのだった。

ルルを失った悲しみと、変わらぬ愛の想いを歌に込め、
ジョイは、彼女の為のラブソング
“Sweet Black Bird”を完成させる・・・・・。