宝塚歌劇団 雪組
シルバー・ローズ・クロニクル
SILVER ROSE CHRONICLE




STORY




20世紀初頭ロンドン。

詩人のアラン・ジョーンズは、銀髪の少女と恋に落ちる。

しかし、彼女の正体はヴァンパイアであった為、
ヴァンパイア・ハンターである
ヴァン・へルシング博士に追われる事になる。

ついに少女はアランの前から姿を消してしまう。

後には、一輪の銀の薔薇が残されているだけであった・・・。




1967年ロンドン。

アランの孫であるエリオット・ジョーンズは、
シルバー・ローズ製薬の庶務課に勤めていた。

幼い頃両親を亡くし祖父であるアランに育てられたエリオットは、
彼の死後、心を閉ざすようになり、
一人で古い映画を鑑賞する事を唯一の趣味としていた。

中でも、アランが恋人を想って書いた詩を映画化した
「銀のばら」を観る事を一番の楽しみとしていたエリオットは、
いつしかその映画でヒロインのローズ役を演じる少女に
心を奪われていたのだった。




ある日、会社から帰宅したエリオットは、
ローズと瓜二つの女性に出会う。

アナベル・クラムと名乗る彼女は、兄のクリストファーと共に、
エリオットの隣の家に引っ越して来たのだ。

エリオットは、ローズと見紛うようなアナベルと出会い、
興奮した様子で映画「銀のばら」、
そしてそのヒロインのローズについて思わず語り出してしまう。




そんな彼の話に真剣に耳を傾けるアナベル。

別れ際、映画の話をもっと聞かせて欲しいというアナベルの言葉を受け、
エリオットは彼女とデートの約束を交わす。




エリオットの勤めるシルバー・ローズ製薬は、
現社長ブライアン・H・アトリーの祖父であるヴァン・ヘルシング博士と、
国防省事務次官テリー・モートンの父によって設立された退社である。

しかしこの会社が創られた本当の目的は、
かつてヴァンパイアが残した血を研究する為であった。

会社と共にその研究を受け継いだブライアンは、
近頃ロンドンにヴァンパイアが現れた事を確信し、
軍事実験材料として彼らを捕獲しようと捜索を始めていた。




オカルト雑誌「怪奇と幻想」に怪奇映画評論を執筆しているエリオットは、
雑誌を発刊するメンバーのもとへ原稿を持ち込む為、
パブ・ノスフェラチュを訪れる。

アナベルとのデートを約束したものの、
これまでデート経験がないエリオットは、
どのように彼女と接すれば良いのか不安を感じていた。

そこでエリオットは、パブに集まっていたアイドルグループ。

ラドルズのメンバーであるティムから
デートの手ほどきを受け、彼女のもとへと向かう・・・。




デートの途中に立ち寄った公園で、
エリオットは彼女に祖父の思い出を語り、
本当は自分も祖父の様な詩人になりたかった事を告げる。

エリオットはアナベルをモデルに詩を書かせて欲しいと言うが、
ふと我に返ったアナベルは、突然逃げるようにその場を立ち去り、
エリオットは一人残されてしまう・・・。




一方、落ち込んだ様子のアナベルを、
クリストファーは心配し、エリオットには深く関わらないようにと忠告する。

たとえエリオットと愛し合ったとしても、
決して同じ世界では生きていけない事に悲しみを募らせるアナベル。




数日後、パブ・ノスフェラチュにコンチネンタル・フィルムの
映画プロデューサーであるウルスラ・アンブラスと
監督のバート・マウローがエリオットを訪ねて来る。

エリオットの書いた詩「シルバー・ローズ・ストーリー」こそ
自分達が求めていた作品だと彼を絶賛するウルスラは、
映画化の許可と共に、
エリオットにシナリオ作成の協力を求めるのだった。

その申し出を承諾したエリオットは、
ヒロインとして一人の女性を推薦する。

エリオットにとって、
この作品のヒロインはアナベル以外に考えられなかったのだ。




早速その日の夜、
エリオットは映画への出演を依頼する為アナベルのもとを訪ねる。

初めは迷っていた彼女もエリオットの熱意に押され、
ついに出演を了承するのだった。




映画の準備をする中で、アナベルは友人も出来、
エリオットとの関係も深まっていく。

だが、エリオットはアナベルとの関係を察知した
ブライアンの手下に監禁されてしまい、
その間にアナベルもさらわれてしまう。




手下のもとを逃げ出したエリオットは、
単身アナベルの救出に向かおうとするクリストファーから、
ブライアン達の恐るべき策略を聞く。




エリオットはクリストファー、
そしてティムらと協力し、アナベル奪回を計画する・・・。