宝塚歌劇団 花組
-バウ・ミュージカル-
NAKED CITY




STORY




1950年代のニューヨーク。

カメラマンのビリー・フォッグは、警察無線を傍受し、
犯罪や事件のスクープ写真をゴシップ紙に売りつけて暮らしていた。

自らを自嘲的にビリー・ザ・フェイマスと呼ぶ彼は、
人々の欲望渦巻くこの街のハイエナのような存在であった・・・。




ある夜、ビリーは映画女優のデイジー・ミラーが、
パトロンだと噂される西海岸の大物マフィア、
ウィリアム・ウィルソンと共にニューヨークのナイトクラブに
やって来るとの情報を傍受する。

すぐさま現場へ向かい、スクープ写真を撮る事に成功した彼は、
後日、報酬を受け取る為タブロイド紙「デイリー・ニューヨーク」の編集部を訪れる。

そんな彼の前に一人の女性が現れる。

その女性は何とビリーがスクープした女優、
デイジー・ミラーであった。




ビリーの腕を見込んだ彼女は、
警察とは接触せずに自分の過去に関係のある人物、
ニコラ・ダッジを探して欲しいと依頼する。

理由は明かさず多額の報酬を手渡すデイジー。

スキャンダルの匂いにつられたビリーは、その依頼を引き受けることにする。




ビリーはまず、新米記者のバーナードと共に自分が育った貧しい下町、
ロウワーイーストサイドに向かった。

そこには、ビリーの妹エドナ、叔母のアレサとその息子アレクが住んでいた。

ビリーは、機械のプロフェッショナルであるアレクから、
警察もニコラを探しており、
昨晩スラム調査の名目でスパニッシュハーレムで大規模な捜索があった事を聞く。




情報の礼にとアレクに金を渡そうとするビリーに向かい、
アレサは人様の不幸を食い物にしたような写真で稼いだ金は受け取れないと言い放つ・・・。

かつてビリー達の父親は自分の出世の為に母親を捨て、上司の娘と結婚した。

その後、子供を育てる為に命を削って働いた彼女は、
幼い二人を残しこの世を去ってしまったのだ。

ビリーは、今でも幸せに生きている父親がいる限り、
幸せな写真は撮らないのだとバーナードに語る。




一方、マフィア達が集まる秘密の部屋「21クラブ」の地下室では、
ウィリアムが、ニューヨークのボス達に囲まれていた。

コカインの取締りが強化された原因はウィリアムが裏切ったからではないかと疑うボス達に、
それは全てコカインの売上げとコカイン・シンジゲートの地図を盗み、
逃亡したニコラのせいだと言うのだった。

ボス達は、ウィリアムがニコラを一週間以内に
探し出さなければ命はないと言い残し、姿を消す。

そこへ、ニューヨーク市警副長官のマイクが現われる。

彼はゴシップで失った支持を取り戻すため、
ウィリアムと手を組んでコカインシンジケートの情報を手に入れていたのだ。




スパニッシュハーレムの倉庫街。

ビリーとバーナードはニコラと接触し、逃亡するに至ったいきさつを聞く。

ウィリアムの優秀な片腕だったニコラは、
同じニューヨークのスラム出身だったデイジーと愛し合うようになった。




やがて、二人でファミリーから抜け出そうと計画したニコラは、
ウィリアムの横領の証拠を手に入れる。

だが、ウィリアムがデイジーの浮気に勘付いてしまい、
過去をばらすと脅されたデイジーは、
ニコラの名を口にしてしまったのだ・・・。




ビリーからニコラの居場所を聞き出したデイジーは、
今の彼を救えるのは自分しかいないと、危険を承知で倉庫に向かう。

デイジーはニコラに一緒に逃げようというが、
ニコラは見張られていて無理だと告げ、ポケットに隠したペンダントを彼女に託す。

そこへ、ウィリアムの手下達が現われる。

二人が捕らえられそうになったその時、カメラを手にしたビリーの姿が・・・。

ニコラからデイジーを連れて逃げて欲しいと頼まれたビリーは、
デイジーの手を取り、その場から逃げ去るのだった・・・。