宝塚 雪組公演
バウ・クラシカルロマン
「アンナ・カレーニナ」
- ANNA KARENINA -




STORY




19世紀末モスクワ。

エリート青年将校アレクセイ・ヴィロンスキーは
母を出迎えるために、モスクワ駅にやってくる。

そこで彼が出会ってのは、美貌の貴婦人アンナ・カレーニナであった。

ヴィロンスキーは一目でアンナに惹かれ、
彼の若々しい情熱はアンナとの再開を
願わずにはいられなかった。




高級官僚カレーニンの妻アンナは、
一人息子のセリョージャにも恵まれ、
ペテルブルグで何不自由ない生活を送っていた。

兄のスティーバが女性問題を起こした結果、
妻ドリィとの間が不仲になっていることを知り、
その仲裁のためにモスクワへとやって来たのだった。

モスクワ駅での美しい青年将校との出会いは
アンナにとっても忘れ難いものだった。

それは貞淑な妻である彼女が内に秘めていた
自由で情熱的な自我の目覚めでもあった。

厳格で保守的な夫との日々の倦怠から逃れるように、
アンナもまたヴィロンスキーに心奪われ、
舞踏会で再会した二人はいつしか激しい恋に落ちるのだった。




世間体を重んじ、アンナの不貞を責めるカレーニンは、
彼女の人間性を理解しようとはしなかった。

そのことに一層傷ついたアンナは
欺瞞に満ちた社交界と家庭を捨てる決心をし、
ヴィロンスキーとの破滅的な愛情に溺れていく。




一方、ドリィの妹キティはヴィロンスキーに恋心を抱いていたが、
彼の心がアンナにある事を知り傷つく。

しかし、彼女を慕い続けていた誠実な地主貴族コンスタンチンの
優しさに触れて癒されてゆく。

やがてキティは静かで穏やか彼の愛情に応え、
二人は周囲の祝福を受けて幸せな結婚生活を送る。

ヴィロンスキーらとは対照的に、
コンスタンチンらは平凡ながら
陽の光に溢れた幸せを手に入れたのであった。




背徳の愛に生きるヴィロンスキーとアンナに対する
世間の風当たりはことごとく厳しいものであった。

アンナはヴィロンスキーとの子供を出産するが、
精神的疲労が重なり生死を彷徨う。

ヴィロンスキーを愛しながらも、
アンナは残してきてしまった愛息子セリョージャと
夫に対する罪悪感から解放される事はなかったのだ。

瀕死の床からのアンナの謝罪に
カレーニンは彼女を憎んだ事を後悔し、妻を許すのであった。

カレーニン夫妻の様子に、
ヴィロンスキーは自分の情熱が周囲を、
そして何よりも最愛のアンナ自身をも苦しめていた事を知り、
罪と意識と無力感に苛まれる。

思いつめたヴィロンスキーは自殺を図ろうとするが・・・。