宝塚 月組公演
〜ロマンス〜
「ゼンダ城の虜」




STORY




時は19世紀。

山と緑の野に囲まれたヨーロッパの小国ルリタニアでは、
新王ルドルフの戴冠式が行われようとしていた。




そこへ、ルドルフの弟ミカエル大公を王座に望む
過激な民衆アマンダ達が現われルドルフを嘲笑する。

だが、新王ルドルフのいつになく民衆への愛に満ち溢れた説得により
アマンダ達は素直に引き下がる。




大広間はルドルフ万歳の大歓声となった。

ミカエル大公は戴冠式が無事に終わったことを知り愕然とする。

なざなら、王座を狙うミカエルは手下を使って
ルドルフを自分の領地ゼンダに招待し、
睡眠薬入りワインで眠らせているはずなのだ。




ミカエルの愛人アントワネット・ド・モーバンは、
戴冠式に出席したルドルフ王は偽物かもしれないという。

その正体はルリタニアに観光に来た
英国貴族のルドルフ・ラッセンディル。




彼が宿泊していた宿屋の夫婦・ヨハンとヘレナは
ラッセンディル氏は確かにルドルフ王に瓜二つだったと証言。

ミカエルの腹心・ヘンツォは手下たちとともに、
事の真偽を確かめるべく早速ゼンダへと馬を走らせる。




ルリタニア新国王は王の従姉妹で新国王妃となる
フラビアとの対面も果たし、ほっと一息をついている。

それもそのはず、彼はルリタニア王家の忠臣
サプトとフリッツがミカエルの手から王冠を守る為に
内密にたてた国王の替玉、ラッセンディル氏だったのだ。

王そっくりなのも、実は彼は王の祖父が英国の人妻との間にもうけた
子供の子孫だからである。




戴冠式を無事に終えたサプトたちとルドルフは、
本物の王の身柄を首都ストレルサウに運ぶためゼンダへと向かった。

だが、王の姿は既になく、
サプトが残していた見張りたちは皆殺されていた。
ヘンツォたちの方がひと足早かったのである。

ルドルフはサプトの説得により、
本物の王をミカエルのもとから救出するまで
ルリタニア王の替え玉をつとめることとなった。




ルドルフはド・モーバンに呼び出され、
ゼンダ城に監禁されている王が弱っている事を知る。

そこへやってきたヘンツォと一戦交えるが、
ルドルフは追い詰められ邸の堀に落ちてしまった。

サプトたちの機転により一命を取り留めたルドルフのもとに、
再びヘンツォが現われ、
自分を臣下にすれば王とミカエルを始末してやるという。

そうすれば結ばれないはずのフラビアを
手に入れることが出来ると、ルドルフを挑発する。




ヘンツォの誘いをきっぱりと拒絶したルドルフだが、
彼のフラビアへの想いは真実であった。

サプトたちに国民の期待に応えるために
舞踏会でフラビアに求婚しろと言われ、複雑な気持ちになるルドルフ。

ルドルフの愛の告白に胸を踊らせ、応えるフラビア。




しかし、ルドルフは、この愛の誓いはルドルフ王としてではなく、
本当の自分ルドルフ・ラッセンディルの気持ちなんだとジレンマに陥る。

これ以上、愛しいフラビアを騙すことはルドルフには耐えられないのだ。

ヨハンによると、既に王の容態は最悪の状態となっている。

もはや一刻の猶予も無かった。




ルドルフとサプトら家臣たち、協力を申し出た女官ヘルガたち、
そしてミカエルを愛しているド・モーバン、
ミカエルにこき使われている宿屋の夫婦、
そしてフラビア・・・・・。

ルドルフたちは着々とゼンダ城攻略の計画を練っていた。




いよいよ決行の夜を迎えた。

ヘンツォはミカエルを刺し殺し、
ゼンダ城の主となって手下たちを先導し、ルドルフを待ち構えていた。

剣を向けあう二人。

一対一の対決となり激しい格闘の末、
とうとうルドルフはヘンツォを倒すのであった。




王ルドルフも無事救出され、安堵の雰囲気が一同に漂う。

そして、ルドルフが英国に帰る時が来た。

ルドルフはフラビアに本当の自分として改めて愛を誓い、
様々な想いを胸にルリタニアを去っていくのであった。

再び彼自身の行くべき道を歩むために・・・・。