大阪松竹座 六月特別公演
「七変化 ねずみ小僧 捕物帳」
STORY
時は幕末。
江戸の下町で踊りの師匠をしながら小道具屋
「ねのひ松」を営む夏泥棒「鼠小僧次郎吉」の忘れ形見であった。
父の死後、次郎吉に仕えていた子分の源兵衛らの力を借り、
贋作を悪徳商人に売りつけては、
儲けた金を恵まれない長屋の人々にばらまいている。
ある日、夏のもとへ、情報屋の九郎が、
亡くなったはずの「鼠小僧次郎吉」が出没し、
小判をばらまいていると、知らせにくる。
続いて訪れた岡っ引きの又平の話も九郎の情報を裏付ける内容だった。
父の名を騙る偽物の出現が許せない夏は、
父の名を騙せる偽物の出現が許せない夏は、
早速、「捕物帳」よろしく、偽物の現れそうな屋敷に忍び込むが、
そこで旗本の不破蔵人ら曰くありげな人物たちの密談を目撃する。
驚いたことに屋敷の女主として采配を振るうのは、
夏の幼馴染みのりんであった。
偶然の再会を喜んだのも束の間、りんは夏に、
これ以上の詮索を止めるよう促し、脱出の手助けをする。
うまく逃げおおせたかと思いきや、
夏の行く手には武装した蔵人の家来たちが待ち構えていた。
捕らえられる夏。
その窮地を救ったのは、
「鼠小僧」にゆかりがあるらしい謎の侍、一ノ瀬織部であった。
織部は見るも鮮やかな手並みで敵を斬り伏せると、悠然と去っていく。
その日以来、どういう訳か、
夏は片時も織部のことが忘れられなくなる。
そんな夏のもとに、妹の春が、
「偽鼠小僧」がばらまいた小判を持っていたことが原因で、
奉行所に引っ立てられたとの知らせが入る。
事あるごとに姉妹喧嘩を繰り返す仲だったが、それも愛情あってのこと。
春の奪還のため、夏はある奇策を巡らす。
さて、奉行所からまんまと春を救い出した夏たちは、
その帰途に、またしても蔵人一味に捕らえられてしまう。
実は、一連の「偽鼠小僧」事件の黒幕は、幕府転覆を目論む蔵人であった。
そして、その探索に動き回る夏たちが邪魔になり、
口を封じるために身柄を拘束したのだという。
絶対絶命!果たして切り抜ける術はあるのか・・・。
夏、織部、蔵人、りん・・・
運命のいたずらとも言える四人の複雑に絡み合った人間関係が織りなす物語は、
明治の世まで持ち越され、最終決戦の場、
横浜でクライマックスを迎える。
- 株式会社 新歌舞伎座 提供 -