「カエサル」
-「ローマ人の物語」より-
STORY
紀元前1世紀。
建国以来、
拡大と繁栄を続けてきたローマは、
その拡大ゆえに、
国内では矛盾が累積し、
内乱と危機の時代を迎えていた。
そんな中、
ユリウス・カエサルが頭角を現し始める。
紀元前58年、
南部ガリアの属州総督に就任したカエサルは、
ガリア戦役を開始する。
ガリアに侵入するゲルマン人を抑え込み、
ガリアを平定することでローマに平和をもたらすために。
幕僚の一人、
ローマ一の大富豪クラッススの息子である若きクラッススは、
カエサル、ポンペイウス、クラッススの間で
「三頭政治」の密約が交わされた夜を回想する・・・。
ガリア戦役の2年前。
犬猿の仲として有名だったクラッススと
「偉大なる将軍」ポンペイウスがカエサルの館に招かれて来る。
カエサルは、二人の利害を利用して協力関係を結ぶ。
翌年、カエサルは執政官に就任、
次々と改革を打ち出した。
元老院を翻弄するカエサルの手腕に、
元執政官である元老院議員キケロは危惧を抱く。
三頭政治が機能してカエサルは属州総督の期間延長を認められ、
8年間ガリアで闘い続けた。
ライン川やドーヴァー海峡をも渡り、
ついにガリアを平定する。
しかし、あまりに巨大になったその力を恐れた元老院は、
「元老院最終勧告」を発してカエサル軍の解散を求め、
ポンペイウスに全軍の最高指揮権を与える。
それを知ったカエサルは、
苦渋の決断の末にルビコン川を越えて、
ローマ本国へ進軍。
軍備の間に合わないポンペウスはローマを捨てる。
カエサルの愛人セルヴィーリアやその女奴隷アリスは、
混乱に陥ったローマに残るが、
セルヴィーリアの息子ブルータスは、
ポンペイウス軍に身を投じる。
各地での戦いの後、
ギリシャのファルサルスでの会戦で
カエサルはポンペイウス軍を決定的に被る。
エジプトでの再興を図るポンペイウスを追って、
アレクサンドリアに向かうカエサルだったが、
ポンペイウスはエジプト王の命で殺された後だった。
カエサルの胸に苦い思いがこみ上げる。
カエサルのいるアレクサンドリアの宮殿を、
エジプトの共同統治者であるはずのクレオパトラが秘かに訪れる。
自分の命を狙っている弟王を倒し、
自分をエジプトの女王にしてほしいと言うのだ。
肉親の争いには賛成できないと言うカエサルは、
過去の恐ろしい光景を思い出す。
それは元老院派と民衆派が争い、
ローマに粛正の嵐が吹き荒れた血まみれの記憶だった。
だがそこへ、
弟王の挙兵の知らせが入る。
カエサルはやむなく、
戦闘に向かう。
エジプトから小アジア、
北アフリカと転戦してすべての戦いに勝利するカエサル。
そんな中、イタリア南端の港の宿では、
ポンペイウス派に与した己の身の不安に煩悶するキケロのもとへ、
カエサル軍に捕まったブルータスが連れてこられる。
なじり合いを始める二人。
その前に突然カエサルが現れる。
反対派についたキケロを許し、
共にローマに凱旋すると言うのだ。
市民の歓喜の声が響く中、
カエサルは凱旋した。
アリスはブルータスの生還を喜び、
カエサルを称える。
セルヴィーリアも、
愛するカエサルと息子が共に無事に戻った幸福感に浸っている。
独裁官に就任したカエサルは、
ただ一人の統治者として、
次々と改革を断行し、
新しい国家像を示していく。
しかし、その権力の大きさにキケロとブルータスは
次第に反発していく。
そして、運命の日。
夢見が悪かったからと引きとめる妻をにこやかに振り切って、
カエサルは公邸を後にする・・・。
14年後。
ローマを離れてひっそり暮らすセルヴィーリアの元に、
アウグストゥスの称号を得、
事実上の皇帝となったカエサルの後継者、
オクタヴィアヌスが訪ねてくる・・・。
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