藤山寛美没後二十年
二月喜劇特別公演
「南地大和屋へらへら踊り」(夜)



STORY




時は大正十二年。

関東大震災から数日後のこと。

震災による不景気は関西にも容赦なく迫っていました。

大阪・宗衛門町の大和屋の主人坂口は、こんな時勢にこそ
不景気に負けない名物になる演し物を作り出そうと考えます。

そんな時、かの川上貞奴が舞台で演っていた派手で艶っぽい
「へらへら踊り」が面白いという噂を耳にした坂口は、
早速男衆の清太郎、通称清やんと中居頭のお由夫婦に手掛かりを探させます。




雲を掴むような話に二人は難儀しながらも、
かつて川上音二郎一座にいた、
もと役者の老人大下を捜しあて、彼から、
貞奴の一番若い弟子だった中山えんという女性なら
へらへら踊りを知ってるに違いないという情報を聞き出したことで、事態は急展開。




早速、お由と清太郎は名古屋に住むというえんを訪ね、
へらへら踊りを教えてもらう約束を取り付けます。

住み込みで稽古をした大和屋の芸妓達は、えんの指導のもと、
無事に踊りを習得する事が出来ます。

お由と清太郎はいよいよ大阪に戻るという時にえんに感謝の気持ちを伝え、
形になった時にはぜひ大阪に来て頂きたいと申し出ますが、
えんは何故か表情を曇らせ、それは出来ないと断ってしまいます。




実は、えんは川上音二郎一座に居た時に
ご贔屓さんとの間に子供を身籠ってしまったのですが、
そのことが御寮さんの知れるところとなり、
生まれた子供を手放さざるを得なかったのです。

さらに御寮さんへの贖罪の気持ちから
「ご主人のいる大阪の土地は二度と踏みません」と約束し、
今日まで守り続けていたのでした。

「大阪には行けない」と言い張りながらも、
顔も知らない息子への思い断ち切れないでいるえんのために
何か力になりたいと考えた清やんは、
約束はもう十分守ったとねぎらい、
改めて大阪へ来てくれるよう説得をします。




翌年早春、大和屋の大広間では財界の大物が一堂に会する、
とある宴が盛大に開かれようとしていました。

へらへら踊りが披露される晴れの舞台でもあるこの場所には、
この踊りの復活の功労者であるえんの姿もありました。

実は、清やんとお由は商工会議所の五十嵐会頭の力を借りて、
えんの為に一計をめぐらしていたのです・・・。




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