米倉涼子主演
松本清張原作
「黒革の手帖」
くろかわのてちょう
STORY
銀行で平凡なOLとして働いていた原口元子は、
闇の金が集まる架空名義の口座預金者リストを記した
「黒革の手帖」と引き換えに、一億八千万円近くの横領金を手中に収める。
銀座のクラブ「燭台」で夜の仕事を学んだ後、
元子はその大金を元手にクラブ「カルネ(フランス後で手帖の意味)」を開店。
「カルネ」には、美容外科クリニックの院長・楢林謙治、
医学部専門予備校の理事長・橋田常雄、参議院議員秘書・安島富夫・・・
元子のエレガントな美貌に群がる男たちが、
毎夜足を運ぶのだった。
そんなある日、
人気ホステスの山田波子が店を辞め独立すると言い出す。
しかも「カルネ」と同じビルで。
パトロンが楢林であることを、
良き相談相手でもある「燭台」のママ・岩村叡子から聞かされた元子は、
例の手帖のリストに楢林の名があることを思い出し、
楢林の愛人でクリニックの婦長・中岡市子も巻き込みながら、
楢林を脅して大金を得る。
これにより「カルネ」の苦境は救えたが、
出店を妨害された波子と元子の間にはなみなみならぬ憎悪の念が生まれた。
厳しい銀座の世界に生きるそんな元子が、
唯一息を抜ける場所があった。
おでん屋「だるま」。
女将の千野照子は、何を詮索するでもなく、
温かい眼差しで元子を見守っていた・・・。
一年の月日が経った頃、元子は一流クラブ「ルダン」のオーナー長谷川庄司が、
店を手放したがっているという噂を耳にする。
大きな飛躍のチャンス。
だが、「ルダン」を手にするには、とてつもない大金が必要だ。
そんな時、「カルネ」で働きたいと申し出てきた。
料亭「梅村」の女中・島崎すみ江から、
橋田は、安島が秘書を務める議院の力を利用してさまざまな有力者と繋がっており、
裏口入学を斡旋していると聞く。
さらには、議院の愛人でもあった女将から、
料亭のある赤坂の土地を安く買い取ろうと画策していることも知る。
「燭台」をたたむことになった叡子のたしなめも聞かず、
あらゆる手段を使ってのし上ろうとする元子。
そんな彼女に手を差し伸べてくれたのは、
安島だった。
聞けば、議院の親戚が橋田の予備校の元校長であり、
議院が死んだ途端にクビにされた恨みから、
裏入学斡旋者リストを作成しているという。
元子はどこか陰を持つ切れ者の安島に「女」として惹かれていく。
果たして安島の尽力によりリストを入手し、
それをネタに橋田から赤坂の土地を格安で買い取る確約を得たのだった。
これが、転落の始まりだともしらないまま・・・。
元子は土地の転売によって得られる予定の資金をあてに、
ついに長谷川から「ルダン」を買う仮契約書を結ぶ。
だが、いつまでたっても橋田からの連絡はない。
頼りの安島も行方しれず。
高額の手付金のために貯金をはたき、
「カルネ」の営業権まで売却した元子に、
容赦なく支払の期日が迫ってくる。
ようやく連絡が取れゼミナールに駆けつけた元子に、
橋田は信じられない言葉を浴びせる・・・
「あの土地は、わたしのものじゃない。」
元子の気付かないうちに、
所有権が「梅村」の女将に戻っていたのだった。
契約金どころか、違約金さえ払えなくなった元子は、
長谷川に猶予を求めるが、
長谷川は聞く耳を持たずに「カルネ」を差し押さえようとする。
「カルネ」にはいかがわしい男たちが現れ、
店内を物色し始める。
元子は、彼らのボスが「カルネ」の営業権を
長谷川から買い取ったことを知る。
新たな「カルネ」の所有者となった人物に会うことにした元子。
向かった先で元子を待っていたのは、
意外な人物たちと、
罠にはめられたという現実たった。
驚くべき真実を知った元子の行く末は・・・。
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