浜木綿子主演
「夢芝居一座」
ゆめしばいいちざ




STORY




今から25年前、銀杏の色付く頃、
一人の少女が芝居の一座に入りました。

少女の名は富田さくら、15歳。

幼くして両親と別れ、
東京郊外にある養護施設

「あすなろ園」

で育ったさくらは、園長の畑中里子と、
他の園児たちと家族のように暮らしてきました。




芝居への夢に期待は膨らめど、
やはり別れは辛く、
人見知りの癖にさくらにだけは人一倍懐いていた。

8歳になるまことを残していくことはなにより心残りでした。

心を鬼にして、さくらは迎えに来た役者・千代丸について
人生の第一歩を踏み出したのです。




歳月はながれ・・・

さくらは「花房さくら」として一座の看板役者になり、
後を追って入団したまことも一人前の役者になりました。

そして、二人で二枚看板を張り、
大勢の観客に夢と感動を届け、
「さくらとまこと劇団」は、
推しも押されぬ人気を博していきました。




格式ある演劇雑誌の記者を勤める辰巳紘平は、
さくらの芝居を紙面で高く評価し、
一方女実業家の歌川凛子は、
まことや座員たちを連日羽振り良く接待するようになっていました。

芸の道を究めたいさくらは、いくらチヤホヤされようと、
冷静に受け止め更なる向上を目指し続けていました。




そんなある晩、まことは辰巳がさくらに
求婚をしていることを知ってしまいます。

動揺したまことはさくらと口論になった挙句一座を飛び出しました。

まことを失ったさくらは、
人気絶頂の一座を解散させ、
自らも行方を眩ませてしまいました。




さらに5年の月日が流れ、現在。

辰巳がさくらの行方を捜していました。

手がかりはさくらからあすなろ園に届く、
仕送りの消印だけ。

しかも仕送りの度に違う土地からの消印。

砂の中に落としたダイヤモンドを捜すより難しいことですが、
どうしてもさくらを見つけ出し、
今は病床の園長に、会わさなければなりません。




辰巳の努力の甲斐あって、
ついにさくらの居所が突き止められました。

芝居は既に辞めていて、
北陸で雑貨専門店の「なんでも屋」を営んでいました。

また、ひょんなことから千代丸が座長を務める
「のぼり龍一座」に出くわしていました。




一方まことは、「桂木まこと」として、
テレビの売れっ子タレントになっていました。

まことの番組収録中、里子の孫のいずみが、
園児たちを連れて訪れました。

里子の最後の望みを叶える為に。

「さくらとまことが仲直りをして一座を再結成しますように・・・」

・・・果たしてそのような日は来るのでしょうか?




いづみにはもう一つの悩みがありました。

里子の築いた「あすなろ園」を自分の手で守りたいのですが、
相続における手続きで、
地主高倉に土地を狙われているのです。

さくらとまことの故郷はなくなってしまうのでしょうか?




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