芸能生活30周年記念
松平健 新春公演
「唄って踊って八百八町」
〜暴れん坊将軍スペシャル〜
STORY
江戸城内・桜の咲く庭では、
八代将軍・徳川吉宗(松平 健)
が亡き母への鎮魂として舞いを舞っていた。
その舞姿を見つめる加納五郎左衛門(内山惠司)と
大岡忠相(篠塚 勝)たち。
舞いが終わり、
五郎左たちに母の思い出を語る吉宗の前に、
病死した兄に代わって浦賀奉行に就任した
安藤甲斐守(浜畑賢吉)が挨拶にやって来る。
吉宗は安藤を激励し、五郎左の趣向で
腰元たちの華やかな踊りが始まった。
と、そこへ傷ついた巡礼姿の一団が現われ、
鈴を鳴らし、歌いながら通り過ぎていく。
その哀愁を帯びた歌声は子守唄の如く、
吉宗に亡き母を思い出させる。
「上様!いかがなされましたか?」と五郎左の
呼ぶ声に我に返る吉宗。
不思議なことに、巡礼の一団は
吉宗だけに見えた一瞬の幻だったのだ。
その頃、両国界隈では「御用だ!御用だ!」と
捕り手に追われる女盗賊"陽炎"の姿があった。
江戸で評判の"陽炎"は金目当ての盗賊と違い、
狙うのは武家や商人の悪事の証拠で、
その正体は瓦版屋・港屋の
お咲(三原じゅん子)だった。
捕り手を翻弄して"陽炎"が姿を消すと、
両国橋下にある港屋の前には
様子を伺うお夏(大鳥れい)と、
遅れて追って来た岡っ引きの樽平(芦屋雁平)の二人。
お夏に軽くあしらわれ、再び"陽炎"を追って
樽平が立ち去ると、港屋の中からお咲が現れる。
最近の火事の多さに疑念を抱いたお咲は、
材木問屋の溜池屋を探っていたのだ。
「必ず黒幕を見つけ出してやるわ!」
とお咲とお夏が意気込んでいるところへ、
廻船問屋・南蛮屋(近藤洋介)の娘、
お七(仁藤優子)が通りかかる。
南蛮屋も先日の火事で被害を受け、
お七はしばらく延命時に身を寄せていたが、
そこで子供たちに読み書きを教える
浪人の早瀬伊織(太川洋介)と恋に落ちていた。
お七の話では、南蛮屋の台所も思わしくなく、
このままでは溜池屋に嫁入りとなり、
伊織と別れることになる、というもの。
そこへ当の伊織が現れ、二人は激しい抱擁の後、
これが運命と駆け落ちすることに。
ところが、お七を追ってきた母の八重(山村紅葉)
は二人の仲を認めず、女中たちに命じて、
お七を連れ戻してしまう。
お夏、伊織と共に残ったお咲が
異様な空気を察して叫ぶ「隠れて!」。
隠れた三人が見たのは、千両箱や猿轡をされた
若い娘を担いだ黒装束の一味。
ひょっとこの面をつけた
首領・左源太(真砂皓太)たちが
お咲たちに気付いて襲いかかって来た。
抵抗する三人だが、次第に追いつめられていく。
その時、黒装束の前に立ちはだかる徳田新之助。
鮮やかな剣さばきで一味を叩き伏せた
新之助に礼を言うお咲と伊織、
だがお夏がなぜか新之助に反発するのだった・・・。
翌日、座長・春川美鈴(上代粧子)
率いる一座の舞台では、
振付師の春炎(真島茂樹)の指導で座員たちが
踊りの稽古の真っ最中。
その客席にはお夏の姿が。
お夏は美鈴の妹で二年前に一座を抜け、
瓦版屋を始めたのだ。
稽古が終わり、美鈴がお夏と話しているところへ
新之助が訪ねて来る。
思わぬ再会に驚くお夏だったが、
再会を縁という新之助の言葉に、
またも反発する。
新之助は幻の巡礼たちが
歌っていた歌を口ずさみ、
美鈴たちに歌の謂れを訪ねるが、
誰も知らなかった。
美鈴はお夏に、新之助と一緒に
歌の謂れを知る人を探すように頼む。
その時「お夏ちゃん、大変だあ!」
とお咲が駆け込んで来る。
港屋が見知らぬ男たちに襲われたのが。
思わず駆け出す新之助たち。
めちゃくちゃに壊された港屋の中で、
新之助にこれまでのいきさつを話すお咲とお夏。
「後はお上に任せたらどうだ」と勧める新之助に、
二人は「お役人は役に立たない!」と。
騒ぎを聞きつけて来た同心の亀井銀之助(園田裕久)も、
ろくに調べもせずに二人に「自業自得」と嘯く始末。
やがて伊織と尼僧の寂麗(松岡富美)も心配して、
駆けつけて来た。
新之助はこの裏には大きな陰謀があると感じ、
忠相に調べるよう命じる。
その夜、安藤甲斐守の屋敷では安藤と南蛮屋が
浦賀奉行就任の祝宴を開いていた。
異国との取引で大きな儲けを目論む南蛮屋は
安藤を浦賀奉行にしようと、
老中はじめ要職の役人に金子を贈っただけでなく、
目の上の瘤だった安藤の兄の死にも関わっている様子。
また、安藤も浦賀奉行で満足する気はなく、
さらなる野望を抱いていた。
その席へ安藤の妻・お連(浅利香津代)が
入って来る。
礼を言う安藤とお連に南蛮屋は
「夢を現にするのが商いでございます」
と笑みを浮かべる。
南蛮屋が帰ると、安藤は酒を呑みほす。
弱気な安藤の様子にお連は
「もう後戻りは出来ないんですよ!」と言い放つ。
実は南蛮屋から薬を手に入れ、
兄殺しを唆したのはお連だったのだ。
お連の言葉に安藤も
「この地獄道一気に駆け下りてやる!」と
わらうのだった。
翌日、両国界隈の往来では
大道芸人・お香(衣通真由美)
の三味線を伴奏に、職人の男たちが歌っていた。
見回りをしていた樽平が目を付け、
いやがらせまがいに歌うが、
通りかかった新之助、お咲、
お夏の機転で退散する。
新之助がお香に歌の謂れを知らないかと、
幻の巡礼たちの歌を口ずさみ始めた途端、
お香の顔色が変わった。
それを見た新之助が問いつめるが、
お香は「あたしは知りません」と走り去る・・・。
果たして、幻の巡礼たちの歌には
どんな秘密が隠されているのか?
そして、安藤と南蛮屋の抱く野望とは?
新之助、お咲、お夏たちに危機が迫る!
複雑に絡まる謎の糸が解きほぐされた時、
新之助の正義の剣が、江戸の巨悪に立ちはだかる!!
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