ミュージカル
「レディ・ベス」
- Lady Bess -



STORY




時は16世紀イギリス・・・。

後に君主となり、”黄金の時代”と呼ばれる一時代を築くことになる王女がいた。

彼女の名はベス・・・レディ・エリザベス。




1533年、ベスの異母姉メアリー・チューダーが英国女王に即位すると、
メアリーはカトリックの復権へと動いた。

二人の父、
ヘンリー8世は元々カトリックであったが、
最初の妻でありメアリーの母でもある、
キャサリン・オブ・アラゴンとの離婚問題でローマ教皇と対立。

その結果、自ら英国国協会の首長となり、
ローマ・カトリックと袂を分かちプロテスタントになった経緯がある。

熱心なカトリック教徒であるメアリーは時代を取り戻そうとしていた。




メアリーの母、
キャサリンはスペイン王室の出であった。

スペインの血を引くメアリーが女王になったことを快く思わない人々も大勢おり、
カトリックとプロテスタントの軋轢と並んで、
国内の火種となっている。

反メアリー派の人々はレディ・エリザベスこそが女王にふさわしいと考えていた。




大司教ガーディナーはメアリー女王、
ひいてはカトリックにとって脅威となる可能性を秘めたベスを排除する機会を狙っていた。

ある日、
通りで起きたちょっとした騒ぎを理由に、
あろうことか兵士を引き連れベスの邸宅に乗り込んでくる。

王女を王女と思わないその暴挙に憤慨したベスは、
父親の形見を奪い去ったガーディナーの後を場所で追うが、
道中、車輪が故障したためあえなく追跡を断念する。




その時、ひょんなことからベスは吟遊詩人のロビン・ブレイクと出会う。

世の中のしがらみとは無関係で、
自由闊達は男。

王女であるベスに何の遠慮もせず、
自然体で接するロビンにベスは惹かれていくことになる。




ベスの母親はヘンリー王の2番目の妻、
アン・ブーリン。
アンはベスが2歳のとき、
不義密通の罪で処刑された。

事の真相はともかく、
男子を産むことが出来なければ消え去るのみという時代であった。

幼かったベスには母の記憶がほとんどない。

「父親を裏切り、
不義を働いて処刑された恥知らずな女」。

それがベスにとっての母親像であった。

ベスの脳裏には事あるたびに、
母親の幻影とアンの首を切り落とした首切り役人の姿が浮かび上がり、
ベスを苦しめていた。




その一方で、
ベスのまわりには頼もしい味方も存在する。

アスカムは、星の動きを読み、
彼女が英国女王になる運命であると解く。

それも、父親ヘンリー8世を越える逸材であると。

ベスは「買い被り過ぎだ」と一切本気にしないが、
もしも自分が女王になることが出来たら、
「信仰は自由」な世界にすると語るのであった。




メアリー女王がスペイン大使シモン・ルナールを通じて、
スペイン王子フェリペとの結婚を進めていることが広まると、
世間はますます反メアリーの様相を呈してくる。

エリザベスを王位に就けるべく反乱を起こす者まで出現するが、
抵抗はままならず鎮圧されてしまう。

反乱の企てとは無関係のベスであったが、
ガーディナーは機を逃さずベスを捕え、
ロンドン塔へと連行するのであった。

ロンドン塔の暗闇の中で、
ベスは悪夢にうなされる。

無実の罪で投獄された自分と母親アン・ブーリンの影を重ね合わせ、
自分の母も無実の罪だったのだと思い至る。




メアリー女王との結婚式を控え、
スペインから王子フェリペが英国にやって来る。

この若いながらも頭の切れる男は英国国内の民意を嗅ぎ取り、
レディ・ベスを解放するように要求してきた。

あと少しで公にエリザベスを抹殺出来たはずのガーディナーは、
最終手段を実行するべくロンドン郊外の宿屋にベスを呼び出す・・・。



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