ブロードウェイ・ミュージカル
CABARET
キャバレー




STORY




1929年、ナチズム台頭前夜のドイツ・ベルリン。

退廃的なム
ードの漂う街に、
ひとつのキャバレーがあった。

その名は『キット・カット・クラブ』。

ひたひたと忍び寄る不穏な時代の空気を忘れるかのように、
そこでは夜ごと、
欲望剥き出しの刹那的な宴が繰り広げられていた。

セクシーなMCが、
猥雑なショーの幕開けを告げる。




売れないアメリカ人作家クリフォード・ブラッドショーは、
作品の題材を探して放浪を続け、
ベルリンへと足を踏み入れた。

列車で出会ったドイツ人エルンストの紹介で、
クリフは女主人シュナイダーが経営する下宿屋に腰を落ち着ける。

そこには心優しきユダヤ人の果物商シュルツ、
水兵相手に体を売る娼婦コストらが住んでいた。

大晦日の夜、
キット・カット・クラブを訪れたクリフは、
キャバレーの美しい歌姫サリー・ボウルズと出会う。

彼女と意気投合するかたわら、
クラブのボーイからも熱い視線を送られるクリフ。

どんな欲望も満たす刺激的なベルリンでの生活に、
彼は瞬く間に溺れていた。

オーナーとの愛人関係が切れると同時にクラブをクビになったサリーは
クリフの部屋に転がり込み、
いつしか二人は恋仲となる。

やがて妊娠が判明したサリーとの生活費を稼ぐため、
クリフはエルンストに頼まれた怪しげな運び屋の仕事を引き受ける。

クラブでは、MCが「金がすべて」と歌っていた。




一方、密かに愛を育んでいたシュナイダーとシュルツは、
その仲をコストに知られたことをきっかけに、
結婚を決意する。

仕事だけを頼りに長年独身を貫いてきたシュナイダーにも、
ようやく春が訪れたかに見えた。

しかし婚約パーティーの日、
シュルツがユダヤ人であることを知ったエルンストは、
シュナイダーに結婚を考え直すよう警告する。

エルンストはナチスの党員だった。

女性としての幸せよりも生き抜くことを選んだシュナイダーは
シュルツとの婚約を解消し、シュルツは1人去っていく。




ドイツ中に広がる狂信的空気に恐れを抱いたクリフは、
故郷のアメリカに戻って家族でまともな生活を送ろうとサリーを説得するが・・・。




不吉な時代の足音は、
もはや耳を塞ぐことのできない轟音となってすぐそこまで迫っていた。