ブロードウェイ・ミュージカル
「アニーよ銃をとれ」
- Annie Get Your Gun -




STORY



南北戦争がおわって、まだ間もないころの話である。




オハイオ州の片田舎に、アニー・オークリーという
鉄砲のうまい少女が住んでいた。

彼女は、山鳥を射ってはそれを売り、
幼い弟妹を養っていた。

アニーが住む近くの町に、バッファロー・ビルが
ひきいるワイルド・ウェスト・ショウ一座がやってきた。

この一座には、フランク・バトラーという花形射手がいた。




このフランクとアニーが腕くらべをすることになり、
アニーが試合に勝った。

バッファロー・ビルと一座のマネージャーのチャーリーは、
アニーをフランクの助手としてやとうことにした。




アニーはフランクを一目見たときから好きになった。
野育ちで男の子のようすにすさまじいアニーの心のなかに、
そんなやさしい恋が芽ばえていようとは、
フランクは夢にも知らなかった。

弟妹をつれて、一座に参加したアニーは、
フランクの気にいられるような女になろうと、
まず読み書きの勉強を始めた。

またチャーリーにすすめられて練習も、ひそかに始めた。




いつかはフランクに自分の努力をみとめてもらい、
彼の関心をひこうという女心からであった。

フランクもそういうアニーのすなおな態度にだんだん好感をもち、
愛情を感じるようになってきた。

ワイルド・ウエスト・ショウのライバルは、
ポニー・ビルがひきいるファー・イースト・ショウであった。




ミネアポリスで、この二つの一座の公演がかち合い、
客の奪い合いになった。

バッファロー・ビルは、最後の切り札として、
アニーを出演させた。

これは大当たりをとり、アニーはスー族の酋長の
シッティング・ブルの養女にむかえられた。

だがフランクは、アニーが自分を踏み台にして利用し、
スターの座に昇ろうとしているのだと誤解して、
ポーニー・ビル一座に走ってしまった。

チャーリーの妹でフランクの助手だったドリーもやめていった
バッファロー・ビル一座はアニーを中心に、ヨーロッパに渡り大成功をおさめたが、
宮廷や王室での特別公演が多く、勲章はたくさん貰ったが、
経済的には大変は赤字であった。




アニーたちが貨物船でニューヨークに戻ってきたとき、
ポーニー・ビル一座は楢舞台の
マディソン・スクェア・ガーデンで興行していた。

しかしこの一座も、今までの借金がかさんで、
動きがとれなくなっていた。

二人のビルは、おたがいに相手の成功と金をあてにして、
一座の合併をもくろんだ。

ポーニー・ビルはバッファロー・ビル一座の大歓迎会をホテルでひらき、
フランクとアニーは再会し、喜んだ。




だが、合併の話は、たがいに相手が無一文だとわかって
決裂しそうになるが、ブル酋長の機転で
まるくおさまった。

そのとき、今度はアニーとフランクが、
どっちが世界一の射撃のチャンピオンかということで口論をはじめ、
結局ニューヨーク港外のガバナーズ島で試合をして決めることになってしまった。

ガバナーズ島への渡し船のなかで、
ドリーがアニー銃に細工をしようとしているのを、
チャーリーとブル酋長が取り押さえた。




二人は初めは激怒するが、やがてブル酋長は、
アニーは射撃で一番になるよりフランクと結婚するほうが
幸福なのだといいだし、アニーの銃の照準をドリーから取り上げて
ペンチで曲げてしまった。

試合では、アニーの射つ弾はみんなはずれ、
アニーはあせりだした。

見かねたフランクが自分の銃をかすと、今度は不思議に当たった。




しかし、負けん気のアニーが、フランクに銃をかえし、
自分の銃で再び射ちはじめようとしたとき、
プル酋長はアニーの耳もとでささやいた

「・・・負けるが・・・勝ちじゃ。鉄砲では男はつかまらない」




すべてを諒解したアニーは、晴れやかな顔で試合の残りを放棄し、
「私の負け。 フランク・バトラーこそ世界一のチャンピオン。」

と幸福そうに宣言するのであった。

フランクとアニーは結婚し、
合同した両方の一座は、二人を中心に、
町から町へと華やかなショウの旅をつづけていくのであった・