東宝ミュージカル
「エニシング・ゴーズ」
- Anything Goes -




STORY




ウォール街の実業家、エリーシャ・ホイットニーは、
とあるマンハッタンのバーの止まり木で、
腹心の部下、ビリー・クロッカーを待っていた。

ホイットニーは、ボートレースを見物するために、
明朝、船でロンドンへ発つことになっていた。




その手筈の一切を整えて現れるはずのビリーは、
三十分も遅れてやって来た。

小言を繰出すホイットニーに、ビリーは言い訳代わりに
自分の勤勉さを売り込むが、ホイットニーのパスポートを
忘れて来たので元も子もない。




明朝一番に、パスポートを船まで届けることで
許しを乞うことにする。

ホイットニーは、明朝一番には持株の全てを
売り払うようにビリーに命令して、
そそくさと引き上げていった。

その株は、大暴落が確実なのであった。




ビリーが気分を変えて、バーテンと女の子の話をしている所に、
リノ・スウィーニーが現れた。

リノは、ニューヨーク一のナイトクラブの大スターで、
ビリーに首ったけである。

早速ビリーを、折からのロンドン行きに誘ってみたものの、
肝心のビリーには他に本命があるようで、乗って来ない。

それがリノには癪であった。




さて、翌朝である。

出航準備の整った大西洋横断航路の豪華客船S・S・アメリカン号には、
続々と乗客が詰めかけていた。

豪華客船の乗客たちは大のゴシップ好きである。

従って、一人でも多くの有名人を乗客として獲得し、
航海を盛り上げることが、船長の最大の任務なのだが、
生憎とこの船に乗る予定の有名人がキャンセルしてしまい、大慌て。




そんなところに、リノとその一行のエンジェルたち
・・・グラマーなショーガール・・・
が登場したものだから、彼女たちは最大級の熱狂をもって迎えられた。




一方ビリーも、ホイットニーのパスポートを携えて船にやって来た。

ところがそこでビリーが見たものは、社交界注目の的でビリーの意中の人、
ホープ・ハコートの姿であった。

ホープは、婚約者の英国紳士、イヴリン・オークリー郷を同伴している。

二人は、この航海の間に式をあげることになっていた。




それを知ったビリーは、この結婚を阻止するために、
ホイットニーの命令に背いて、
船にもぐり込むことにした。

そのホイットニーの命令に背いて、船に潜り込むことにした。

そのホイットニーと、ホープの母親、
イヴァンジェリン・ハーコート夫人とは
旧知の間柄であった。

今もって独身のホイットニーは、
夫を亡くした夫人との再会を大いに喜んでいるようだった。




更に二組、話をややこしくする連中が乗船して来た。

一組は指名手配第十三番のギャング、ムーンフェイス・マーティンと、
指名手配第一番のスネーク・アイズと
この船で落ち合うことになっているその情婦、アーマの二人である。

ムーンフェイスはFBIの手配から逃れるために、神父に変装していた。




もう一組は、本物の神父に引率された、ギャンブル好きの中国人、
ルークとジョンであった。

しかし、出航寸前にFBIが間違えて本物の神父を逮捕してしまったために、
話はいよいよ混乱しはじめる。




かくしてS・S・アメリカン号は、波乱万丈の航海へと船出した。

ロマンスと、打算と、複雑怪奇な人間関係を乗せて。