ミュージカル
「ジキル&ハイド」
Jekyll&HYDE




STORY




1988年秋、ロンドン。




医者のヘンリー・ジキルは、
セント・ジュード病院の
最高理事会に臨んだ。

長年、研究を続けてきた、
「人間の善と悪を分離する薬」
の人体実験の許可を得るためだった。

すべては精神のコントロールを
失った父を救うため。

ひいては人類の幸せと科学の発展にも
寄与できるとジキルは確信するが、
婚約者のエマの父ダンヴァース卿そして
友人のアターソンから、
死神よりも危険な理論だと忠告される。

二人の危惧は的中。

上流階級の面々が集う理事会で、
ジキルの要求は、ほとんど一方的に却下された。




その夜、リージェント・パーク地区の
ダンヴァース卿邸では、ジキルとエマの婚約
パーティーが開かれた。

出席者である理事会のメンバーは、
この婚約を快く思ってはいない。

そのひとり、秘書官のストライドは
エマに結婚を考え直すように迫るが、
エマとジキルは強い愛情の絆で結ばれていた。

上流階級のパーティーから逃れ、
ジキルはアターソンに誘われるまま、
カムデン・タウンにある娼館を兼ねたいかがわしい
パブ”どん底”を訪れる。




そこには、
蠱惑的な娼婦ルーシーがいた。

 
 

「仕事をしている自分と、ほんとの自分を分けている」
との彼女の言葉に、ジキルは
”別の自分になる”
という解決法を見出す。

ハーレー・ストリートの自宅に戻ったジキルは、
研究室で自ら開発した薬を服用。

ほどなく体に異変が起こる。




頭痛、恍惚感、痛みが
全身を貫き、呼吸困難に・・・。

ジキルの心と体は、
エドワード・ハイドに変わった。

「自由だ!」
ハイドは叫び、ロンドンの闇の中へ出て行く。




それから1週間。

ジキルはエマやアターソンとも
会おうとしなかった。

ある日、ルーシーの体の傷を治療した彼は、
加害者がハイドであることを知り、愕然とする。

そして起こる連続殺人。




理事会のメンバーが次々に惨殺されていった。

エマとの結婚式が近付く中、
ジキルは、ハイドをほとんど制御できなく
なってゆくのを感じていた。

アターソンにすべてを打ち明けた彼は、
ルーシーの身を案じ、
「ロンドンからすぐ立ち去るように」
との手紙を託すのだった・・・。