STORY
1988年秋、ロンドン。
医者のヘンリー・ジキルは、
セント・ジュード病院の
最高理事会に臨んだ。
長年、研究を続けてきた、
「人間の善と悪を分離する薬」
の人体実験の許可を得るためだった。
すべては精神のコントロールを
失った父を救うため。
ひいては人類の幸せと科学の発展にも
寄与できるとジキルは確信するが、
婚約者のエマの父ダンヴァース卿そして
友人のアターソンから、
死神よりも危険な理論だと忠告される。
二人の危惧は的中。
上流階級の面々が集う理事会で、
ジキルの要求は、ほとんど一方的に却下された。
その夜、リージェント・パーク地区の
ダンヴァース卿邸では、ジキルとエマの婚約
パーティーが開かれた。
出席者である理事会のメンバーは、
この婚約を快く思ってはいない。
そのひとり、秘書官のストライドは
エマに結婚を考え直すように迫るが、
エマとジキルは強い愛情の絆で結ばれていた。
上流階級のパーティーから逃れ、
ジキルはアターソンに誘われるまま、
カムデン・タウンにある娼館を兼ねたいかがわしい
パブ”どん底”を訪れる。
そこには、
蠱惑的な娼婦ルーシーがいた。