Record Impression 1



ここでは、主にメタル関係のレコードのインプレをしています。それはちがうぞ!っていうのもあるでしょうがご容赦ください。

 

Feb18th 2001

THE HAUNTED
「THE HAUNTED MADE ME DO IT」

スェーデンのブルータルヘヴィメタル、THE HAUNTED は、パトリックヤンセン(g)が元AT THE GATES(スェーデンの有名ブルータルメロディックデスメタルバンド)のヨナスビョーラー(b)とアンダースビョーラー(g)の兄弟を誘って出来たバンド。
メンバー遍歴はややこしいので省略します。

これが2作目となり前作とVoが代わっています。音の方は、ブルータルというよりは完成度が高く、安定したプレイで安心して聴けます。
曲調はブルータルな正統派メタルという感じです。(昔のバンドでいうと初期のメタルチャーチかな)

デス声Voも含めて、どのパートも落ち着きすぎて少し淡白にまとまってしまっている感じもします。曲のオリジナリティとバリエーションももっと欲しいですが、質の高い作品には違い有りません。

彼らがアークエネミーやインフレイムスのようにブルータルデスメタルのスターになれるかどうかは、高い演奏力を曲のエネルギーにできるかどうかです。
ヘタでもエキサイティングなバンドもいるのに、せっかくうまいんだから曲作りも頑張って欲しいです。

 

CRYPTOPSY
「AND THEN YOU'LL BEG」

カナディアンデスメタルモンスターことCRYPTOPSYの3rdアルバム。
前作「WHISPERSUPERMACY」の日本版が出てから、日本でもマニアだけのバンドでなく、メタルファンに広く知られるようになりました。

彼らのサウンドの特徴は、やたら手数の多いドラムを中心とした、複雑でクイックなリフの積み重ねに野太いデスボイスの咆哮がのるという、個性的なサウンドで、好きになったらやめられないくせものです。小規模ながら来日もしています。

よほどよく聞き込まないと、複雑かつ狂暴なサウンドはひとかたまりのノイズに聞こえてしまいます。私はドイツのDESTRUCTIONの複雑さと狂暴さを思い出しました。

いったいどうやって演奏しているんだろうという驚きとともに、並みのブルータルバンドにはとうていマネできない、桁違いのアグレッションとスピードのとりこになります。
今回のアルバムにはライブもおまけでついていて生々しい彼らの演奏がきけます。

テクニカルロックの畑の人達がデスメタルを解釈するとこうなるのかと思いました。

狂暴かつ複雑な音楽性とはうらはらにメンバーはファン思いの温厚な人達で、自分達のライブが終わった後、会場を後にするファンと握手やサインに応じてくれたり、とってもいい人たちです。見た目は怖そうですが。

21世紀のデスメタルと呼んでも過言はないでしょう!

 

イングヴェイマルムスティーンズライジングフォース
WAR TO END ALL WARS」

どうせどんな名前つけたって、イングヴェイのバンドなんだから、もっと短いバンド名にして欲しいですね。(苦笑)

今回のVoはマークボールズです。イングヴェイに言わせるとエゴがなくていい奴だそうです。確かに歌いにくそうなボーカルラインを一生懸命歌ってます。
でも、おかまいなしにイングヴェイのギターがでかい音で切り込んできます。

内容は彼のことだから毎度同じといいたいところですが、今回はイングヴェイとしてのクラシック音楽への新たな挑戦として、よりバッハちっくな曲やパガニーニちっくな曲にチャレンジしています。

このアルバムでイングヴェイは、他のネオクラシカルな人を一歩突き放して新たな領域に入っています。ソロはいつものピロロロなんだけど、曲作りや、リフの複雑さ、音作りにおいて、独自の世界を更に推し進めています。

ギターの音色も特徴的です。低音弦のリフはブヨブヨして抜けきらない音になっているし、フロントピックアップを使った音もかなり妙な音です。ピックアップのパワーが半端じゃないみたいです。ディマジオの見た目シングルコイルだけどハムバッキングというやつをいかして、個性的な音作りです。

わざとダークな感じにして、バロックや中世のフィーリングをだしたかったのだとしたら大成功です。

けなしてるようですが、イングヴェイは大好きなので、心の中でガッツポーズでした。(笑)

ボーナストラツクでは、イングヴェイのルーツのアルディメオラ風の曲も入ってます。ディメオラが聴いたらニヤリとしそうです。

ネオクラシカルタイプのフォロワー達はイングヴェイのまねはやめて、独自路線を行くべきです。イングヴェイのイングヴェイたる所以はギターのテクニックもさることながら、彼のバッハやパガニーニへの愛情、そして、中世へのこだわりなのです。だから、イングヴェイが世界最速のクリスインペリテリより下手で遅くても、イングヴェイはグレートなのです。

 

RACER X
SUPERHEROES」

ジャケットは完全にふざけた写真だし、(コスプレというか宴会のおふざけというか)MR.BIG脱退後のポールギルバートは、ソロアルバムの方向性を大事にしてるんだろうから、こちらは、趣味で作ったような感じなのでしょうか。

他のメンバーは
スコットトラヴィス:Dr
(ジューダスはどうなってんのぉ〜?)
ジェフマーティン:Vo
ジョンアルデレディ:Bass
となっています。

ポールの弾きまくりばかりではなく、古き良きヘヴィメタルバンドとして、メタルの楽しさを追求した作りになっています。

中には、MR.BIG風のベースとのユニゾンプレイがでてきたり、MR.BIGの曲をメタル風にアレンジし直したような曲があったり、イングヴェイをちゃかしたような長いインストがあったり、敬意なのかジョークなのかわかんなかったりしますが、実力者ぞろいなので、遊びでも演奏はバッチリです。

曲としては、そんなに凄い曲はないんですが、ピッキングの一音一音がとてもきれいで、ピッキングとはかくあるべしというお手本のようなプレイです。

バンド全体としても、聴いていて、曲よりはプレイに耳がいってしまい、練習しなきゃ!って思ってしまいました。

たいしたアルバムじゃないといえばそれまでですが、ポールギルバードがギターキッズ魂丸出しで、リラックスして楽しんで作った感じがして、なんかなごんでしまいます。

 

Apr. 2nd 2000

ENUFF Z NUFF 「10」

イナフズナフです。  イナリじゃないですよ。 バキッ!!( -_-)=○()゚O゚)アウッ!  シカゴのポップロックバンド(というのかな) イナフズナフの10枚目です。 もうベテランなんですね。

このバンドはメンバーのキャラクターが とても面白いので個人的に好きなんですが、 あんまり売れているというわけではないです。レーベル移籍やマネージメントの問題が あったようで、苦労しているようです。  

でも、昨年は来日して、日比谷野音での映像 がTVでも放映されてました。やっぱライブが見たいですけど、新作インプレ です。  

あいかわらず終始一貫してメロディライン 重視で歌重視のポップで暖かなサウンドです。

独特のちょっとけだるいムードといい、わざと ねらったようなビートルズ風(チープトリック風?) のフレーズなどあって楽しめます。  

いっときのようなヘヴィでダイナミックな感じは 少し薄れて、ここ数作はメロウでシンプルな 曲(音)になっています。その分、曲の良さが 引き立っています。 ここまで歌メロ重視で曲作るバンドも珍しい くらい歌がいい感じになってます。

一つ疑問なのは音質がもうちょっとダイナミック でもいいかなと感じることです。インディペンデント で予算が厳しかったのかとか、余計な詮索して しまいますが、ドラムが引っ込んでるように聞こ えます。   そういう音をねらっているのならいいんですけど。音の密度は薄くしてメロディを際立たせているの だと思いたいです。  

イナフズナフらしい音には間違いないし、どこか たよりなくて、せつないようなメロディと歌いまわし、 おしつけがましくないけど曲もいいので これはライブで聴きたい(見たい)と 期待がふくらみます。

このレコードがたくさん売れて、イナフズナフが もっとたくさんの音楽ファンに認められて欲しい です。

 

FAIR WARNING 「4」

前作「GO」は日本で10万枚も売ったそうです。 2度も来日し、メンバーの病気や脱退を乗り越えて 3年ぶりのニューアルバムです。  

私はこのバンドについては、ジーノロートの プロジェクトの続編みたいにとらえているんですが、 ジーノもメロディと曲がこれでもかというほど 情感を大切にした良い曲をつくってましたが、 このフェアウォーニングはさらにみがきをかけて エモーショナルな良い曲を作り上げています。  

デビュー作から秀でていましたが、今回のアルバム も時間をかけてつくられた良い曲とポジティブなエネルギー でいっぱいです。  

あいかわらず、ヘルゲエンゲルケの独特なシングルコイル 系のクリーンなトーンを生かしたサウンドとトミーハートの 伸びやかでエモーショナルな歌が特徴的です。

今回特徴的なのは、曲の中の転調する部分が多くなった こととリズム隊にリードされた曲のダイナミクスが増した ことです。  

いたずらに曲を複雑でテクニカルにしてしまうのではなく、 曲を効果的に聴かせるために積極的に転調をとりいれて います。   また、その転調にのったヘルゲのソロは結構壮絶に 弾いてます。でも、ちゃんと曲の一部になっているので 流石です。  

前作GOに比べて曲のダイナミクスが復活したのもうれしい 限りです。すべての要素が良い曲をエモーショナルに表現するという 首尾一貫した目的のために一点にエネルギーを集中している ので、ききごたえがあります。音楽を聴いて元気になるという感じを味わうことができます。

別に転調だのスケールだのを気にしなくても誰にでも このアルバムの良さは分かってもらえると思います。毎回これだけの質のものをつくりあげてくる彼らには 敬服します。

 日本での人気は不動のものですから、世界でももっと 認められると嬉しいですね

 


Feb. 20th 2000

FILTER「Title Of Records」

元ナインインチネイルズ(わしも知らん)のGのリチャードパトリックのバンドの2作目。

前作はヒットしたそうな(知らんかった)テレビでみたプロモやライブがよさそうだったので買ってしまいました。(Take a pictureのビデオは映像きれいでセンスもいいし、曲にもあっててオススメです。メタルらしくなくて新鮮)

独特のうねりのあるサウンドでドヨドヨ〜ンとしちゃいそうなところを独特な浮遊感のあるメロディと表現力のあるVoで、退屈しない楽しめる音になってます。

生っ粋のメタルとはいえんかもしれませんが、メタルファンにもあえてオススメします。クオリティと完成度は高いです。

私は個人的にG/Voのリチャードパトリックの人間性(知的で破壊的で繊細?)や育った環境(兄の暴力から逃れるために地下室にこもって兄や父のレコードを片っ端から聴きまくっていたそうな)に惹かれました。
ちょっとデイブムスティン(メガデス)に似たところが感じられます。(個人的にですけど)

いろんな要素のある音楽だけど正直な音に聞こえます。やっぱり、ひとの人間性みたいなのが音にでてると
面白いです。

気合をいれて聴く音ではないけど興味深いです。

 

Chldren Of Bodom「Hatebreeder」

フィンランドのテクニカル様式美ブラックメタルバンドだそうな。細かいジャンル分けですな。(オビより)その2ndです。

聴いてみると、割と器用な(イングヴェイタイプ)のギターにたたみかけるような前のめり気味のリズム隊に美しい(?)デス声が乗っかってます。

イメージとしては、ラプソディ(イタリアの様式美系のバンド)のような曲をデス声で歌っている感じです。

曲自体は北欧らしい透明感のあるメロディックな曲で、デス声もぐしゃぐしゃでなくきれいなデス声です。

GがVoもやっているそうで忙しそうですが、ライブも評判良かったようです。

難点はサウンドプロダクションが少しチープだということです。まあ、これは経験積むかレコーディングにもっとカネカケルしかないから、今の時点ではやむを得ません。

あとは曲調にもっと幅が欲しいです。様式美といっても、その範囲でいろいろやってみて欲しいです。固まってしまうにはまだ早いです。

というわけで将来も楽しみなバンドです。現時点の青臭さが将来なつかしくなることを期待してます。
ちなみにメンバーのルックスはコワオモテではなくかなり美形です。

 

IN FLAMES「Colony」

北欧メロディックデスメタルバンドの4作目(だと思う)

ダークトランキュニティなどと比較される事の多いインフレイムスですが、私はメジャーだったにもかかわらず、手を出したのはこれがはじめて。

音はメロデスはプロダクションがいまいちだな〜と思う事が多いですが、これはかなりよくやってます。アークエネミーなんかと比較しても遜色ないです。

どんな音かっていうとまあ、メロディックデスそのものなんですが、曲の幅が広くて、押しや引きもちりばめられているのでかなり良くできています。正統なメタルに近いバックに美しくも破壊的なデス声がのるという感じです。

ここのVoは世界一美しいデス声の持ち主といわれるほどですから、じっくり鑑賞できます。

メジャーなバンドのインプレってやりにくいですね。

 

TIPE O NEGATIVE「WorldComingDown」

私はこのバンド、結構イロモノ系と勘違いしてましたが、メンバーの音楽趣味とかはかなりセイトウごのみのようで、実は安心して聴ける音だったんですね。

ダークなムードの陰うつなサウンドなんだけど暗さの中にやわらかな日差しがちらりとちりばめられているような不思議な明るさがあるところがクセになりそうです。

ブラックサバスの影響の濃いドゥーム系ですがほのかなポップさがあって聴きやすいです。

メンバーのキャラクター(Vo/Bのひとが女性雑誌で裸を載せたとか、ステージで必ずワインをボトル1本あけちゃうとか、超ナルシストとか、笑顔の写真がないとか)が強烈でそれに惹かれるところもありますが、音楽も実はしっかりしてました。

肩の凝らないドゥームという感じでしょうか。


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