わたしのバイクライフ

ヤマハ TX650



1981.5.27 ヤマハ TX650(73年型)

[ TX650のルーツ ]

1970年3月に発売されたヤマハ初の4サイクル・エンジン車がヤマハ XS-1でした。

空冷4サイクルSOHC 2バルブ 並列2気筒 653t
53ps/7000rpm、5.5s/6000rpm
乾燥重量 185s
標準価格:338,000円

70年8月に「XS650」、となりカラーリング変更とエンジン小改良。

71年8月に「XS650E」となって、ディスク・ブレーキとセル・スターターが着いた。フレームとサスの高剛性化もあり。

73年4月:「TX650」、“XS”から“TX”に名称変更。H型アルミ・リム採用。

※店長が買ったのはこの型。当時TXは“テックス”と言っていました。’78年3月に発売されたTX650と同じエンジンを中低速重視に変えて使用したアメリカン「XS650Special」は“ペケエス”と言っていました。

75年10月、左右マフラーを連結、騒音低減と中低速特性を改善。F.ブレーキ・キャリパーがフォーク後ろ側に変更。サイドカバーにナゼか「ELECTRIC」と書いてある。

※店長の友人がこの型を所有。一目ボレのように二輪免許取得のきっかけとなる。
友人のはセルが壊れた状態だったが、これは新車を買って間もなく壊れてしまい、修理に出すとバイク屋に「こんなバイクでセルなんか使うヤツあるか!」と怒られてしまったため2度目に壊れたとき、もう言い出せないでそのままになっていたもの。
そんな、話を聞いていたため、買うときに使ったきり、後は常にキックで掛けた。

77年3月、フロント・フォークが130から150oに、Fブレーキ小改良。

79年1月、カラーリング変更
80年1月(最終型)、トランジスタ点火採用。'79年騒音規制のためスペック3psダウン。グラブ・バー装備。2灯式テールランプ採用。立体エンブレム。
50ps/7500rpm、5.3Kg/5500rpm、209s、415,000円

81年5月にやって来たTX(テックス)でしたが、思わぬ障害が起こって、長くつきあうことは出来ませんでした。
でも、このバイクは好きで、どっしりとした安定感。低速域つまり普段走っている時のエンジンの気持ちよさは格別です。

85年頃まで、随分いろいろなバイクに乗ったり、乗せてもらったりしましたがヤマハの4サイクルの中ではTXがBestでした。後年の250t4気筒のFZRに試乗してヤマハの4stに対する私の印象も変わりましたが、当時のヤマハの印象は「4サイクルエンジン車を作っても2サイクルエンジンの会社だなァ」というものでした。

80年代にはヤマハにも既に4サイクルエンジン車が種々ありましたが幾台か乗ってみた印象は、4メーカー中で一番、エンジンの振動を殺していることや軟らかい乗り味など、2サイクルの軟らかい味を4ストバイクに持たせているメーカーという感じでした。正反対なのがホンダで、2サイクル車を作っても4スト的なダイレクトな味に仕上げています(昔のエルシノアから最近のNSR250まで)。
エンジンやハンドル、ステップのラバーマウントは振動対策に多くのバイクが採用していましたがヤマハの軟らかさは極端でした。だから、アメリカンという大きなハンドルのXS650Specialはバイク全体がブニュブニュとして気持ち悪かったですし、XS750Specialは車重も重いのでバイクを降りて押すときなどハンドルの下の車体が別に動いてとても不安定でした。そしてアクセルONでのダッシュの遅れも2st的なのではありませんか。SRにもいえることですが。

TXの場合は振動をまろやかに逃がして低回転を使いやすくした範囲。といいたいところですが、私的には他社車のような、もっと尖がった振動の方が軽快感がでて良かったろうと思いました。SRにもいえることですが。
TXがお手本にしたのはトライアンフ・ボンネビルだそうですが、あちらは最初ハジケルように加速しますものね。
それでもTXが良かったのは、カワサキのWよりスマートだと思ったバイクらしいスタイル、SRよりはるかに楽しめるエンジンの振動とパワー(トルク)だったでしょう。

そんな楽しいTXでしたが、やはり古いため排気系の腐食が酷かったとみえて一月半程で消音機が抜けて爆音が響くようになり、カミさんからクレームが出てしまいました。5月にはXL80Sカレンを新車で買ったばかりで、もはやマフラー交換の予算はありません。XLはいずれサイドカー装着の予定もありましたし、大型はGS750Gが有りますし、というわけで惜しくも手放すことになりました。ただし購入したお店に相談しますと、幸いなことにこの爆音を喜ぶ人がおりまして私が買ったのとほとんど同価格で引き取ってくれました。

[ オマケ ]
TX650は気になるバイクでしたので、後年でも機会があると試乗させてもらいました。印象的だったのは77年型の程度のイイものに試乗させてもらったとき、どっしりとして車体もしっかりした印象。エンジンも完調に近いのかとてもパワフル。これ一台でもいいなァと思えるほどでした。77年型で改良されたのは、Fフォーク長とブレーキだけではないのかもしれません。高価だったので買えませんでしたが。

TX650は交差点などで停車するとフロントタイヤがブルッブルッと振動しますし、ハンドル、シートにもエンジンの(まろやかだけども大きい)振動が伝わってきます。一定速度で走っていても、交通の流れに乗って4輪車の後ろを走っていても、この振動と共に前に進む感じはバイクの楽しさでもあり、退屈しません。

その楽しさはSR500など比べものになりませんが、価格のせいか免許制度のせいかSRは400tを持つためかSRは生き残りましたがTX650は消えてしまいました。カワサキがW650でツインを復活させて好調のようですから、ヤマハでもTX650が復活されることを願ってやみません。
アップルの景気は悪いのですぐに買うことは出来ないでしょうが、いずれ中古で安くなった時、買える可能性が...

[ オマケのついで ]
ヤマハのTXのシリーズには73年からの500tのシリーズも有るのですが、TX500GX500に変わった76年型にも乗る機会がありました。このバイクはカフェレーサースタイルなどと言われましたが、置いてあるのを見ると四角いタンクと後ろへ跳ね上がったマフラーでそんな感じもあるのですが、跨ってみるとハンドルもステップも当時のお定まりのポジションですからいまのSRと同じかもっと上体が立っていたかもしれません。
このGX500のエンジンはスペック48ps/8500rpmですがとてもパワフルで74年型のCB500T(41ps/8000rpm)にも負けないほどですし、車体はずっとしっかりしていました。乗った感じはヤマハらしくなくスズキかカワサキのバイクに乗っているようでした。ただし黒い塗装の美しさはヤマハならではだったと覚えています。



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