ピアニスト平田フミトのホームページ

ツアーリポート

平田フミト ライブツアー記
 (1999. 12/3〜8 長野、名古屋、岐阜、神戸、大阪)
  
 メンバー
 平田フミト  ピアノ、キーボード、コーラス
高橋ゲタ夫  ベース、コーラス
外山明  ドラムス、コーラス
大儀見元 パーカッション、コーラス
(岐阜 Bird&Diz にて)
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演奏曲目
1st
クレッセント
ブエノス・ディアス
イスラ・デルフィン
サルバドール
バン・バン・エキスプレス
2nd
グラシア
ルナ・デ・アモール
アグア・エレガンテ
イブニング・ダンス
マンボ・イン
 
Ec(日変わり)
ラグリマス・ネグラス(唄・高橋ゲタ夫)
エヴィデンス
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12/3(金) 長野 JB
 

 出発当日の朝は眩いばかりの晴天だった。午前11時新宿駅西口に集合の手筈になっている。今回は私の車(ハイエースバン)でのツアーとなった。11時少し前に着くとすぐにドラムの外山明が現れる。ほどなくパーカッションの大儀見元が到着。さすがに2人とも旅慣れた様子でバッチリ決まっている。僕自身この2人とのツアーは初めてである。もう心ワクワクである。ところで例によって(と言ったら大変失礼ではあるが)ベースの高橋ゲタ夫さんの到着が遅れている。天気が良いので3人でしばしたわいもない話で盛り上がるがさすがに西口は高層ビル街だけに風が強くやや離れたところに停めた車を駅前まで持ってくることにした。とその時全く予想だにしない地下出口から例のイェーッという雄叫びと共にゲタ夫さんが登場。全くこの人は不思議な魅力に溢れた人である。いざ全員車に乗り込み初日の長野へ出発!楽器を満載し大男4人(当然俺が1番デカイが...)を乗せた車は大丈夫かと思いつつ関越、上信道経由で長野に向かう。何の問題もなく快調なドライビングだ。つくずく日本の車は良く出来ていると実感する。予定の午後4時に無事JBに到着。すぐに楽器をセッティングする。ピアノは少々古いグランドであるが丁寧に調律されているのがよくわかる。感謝の念を込めて弾き始めると即座に外山、大儀見の2人が反応してくれる。同じ曲がどんどん変化していくのを実感する。本当にこの2人は凄い。気がつくとゲタ夫さんが自然に曲と同化している。この4人で演る時はいつもこんな感じだ。誰も譜面なんか見ていない。彼等は僕の曲を全部自己表現の素材としてインプットしてくれている。作曲者にとってこんなに嬉しいことは他にない。音決めが終わり楽屋に案内されると何とそこはフラメンコのダンススタジオだった。色艶やかな衣装がちょうど4人分かかっている。平田くんはコレでしょ!と大儀見が紅白の水玉模様のドレスを指さす。店の真向かいにある焼き肉屋、バックドロップ(当初はここでのライブだった)で夕食。7時半になり最初の演奏に向かう。店内は超満員。ステージに向かうのも大変な程である。演奏は極めて自然に導かれる感じだ。あっという間に1時間が過ぎ1セットが終わる。9時半より2セットの開始。ソロピアノ(グラシア)から始める。2曲目のルナ・デ・アモールではその筋で好評のゲタ夫さんの詩朗読を交える。3.4曲目はこのツアーのハイライトとも言うべき4人のコーラスで盛り上がる。特に外山くんの声が非常に良い色を出している。この時すでに場内は酸欠状態に近いほどの盛況で全員が立ち上がり踊っている。僕のライブではこんなことは初めての事だ。恐るべし長野パワーである。コーディネーターの唐沢宏昌氏に心より感謝!予定時刻を遥かに30分以上オーバーして終演となる。打ち上げを終えて外にでるとさすがに寒い。しかし心地良い疲れと共に初日は幕を閉じた。

 
12/4(土) 名古屋キャバレロクラブ
 

 昼12時にロビー集合。唐沢氏と共に蕎麦(そば)を食べにいくことになっている。駅ビルの中にある蕎麦屋に出向くがさすがに本場は違う。その後CDのプロモーションに行く。平安堂の中島店長は心良く歓迎してくれた。店の入り口には小さなステージがあり次回は是非演奏をという話に花が咲く。13時過ぎ長野を後に名古屋へと向かう。中央道をひたすらに南下するルートだ。大儀見くんが運転を買って出てくれる。初めて自分の車の後部座席に座るが思ったより広いのでビックリする。またオーディオのウーハーが座席の真下にあるのでかなりのボディソニック効果がある。ポール・マッカートニーの新譜(大儀見くんは彼の大ファンである)を聴く。彼は骨太のロッカーなんだということがよく解る。外山くんもイアン・ペイス(ディープ・パープル)の大ファンであることが判明。僕も高校時代ディープ・パープル完全コピーバンドを演っていたので(ジョン・ロードは今だに僕のアイドル)当然その筋の話で盛り上がる。ゲタ夫さんがいろいろと話をしてくれる。ゲタ夫さんはラテンベースの名手だが本当は筋金入りの骨太ロッカーであることを僕は良く知っている。名古屋市内に入り高速を降りるとかなりの渋滞だ。予定より1時間遅れで名古屋キャバレロクラブに到着。ここは僕が名古屋に行くとほとんどといっていいほど訪れる店である。何せ真夜中でも思いきりピアノを弾きまくれるとてもありがたい場所だ。今年に入りステージを改装して広くしたというところから今回のライブが実現した。ただ音場の関係で今回は店のデジタルピアノと生ピ(アップライト)を曲により使い分けることになった。開演は8時半であるが30分押しの9時からとなった。ありがたいことにこの日も満席である。演奏は当然のように好調に滑りだすが2曲目のブエノス・ディアスの時センターのC,C#,Dの3鍵盤のアクションが壊れてしまった。がこれもライブミュージックである。普段ならナーバスになるところだがさほど気にもならない。こんなことは中南米では日常茶飯事である。この日も大盛況の内に終了。店での打ち上げも豪快に盛り上がる。気が付くともう午前4時を回っていた。明日(今日!?)の事もあるので名残惜しいが引き上げることにしたが某メンバー1人は6時まで盛り上がったそうな!ホテルのチェックアウトを2時間延長して就寝。

 
12/5(日) 岐阜 バード&ディズ
 

 午後1時にロビー集合。とりあえず食事に出かける。名物のきしめん屋に出向くが残念なことに休みである。すぐ隣の定食屋風居酒屋にはいることにした。ここには名古屋名物のメニューが全て揃っていて内容はけっこう充実している。きしめんを食べる者、焼肉定食を食べる者など様々である。皆元気であるがさすがに疲労がたまってきているのがよく解る。岐阜県土岐市は名古屋から1時間程のところである。時間があるのとゲタ夫さんがキャバレロにCDを忘れてきた事もあり、オーナーの渡辺さんに連絡を取り店に出向くことになった。店にはいるとコーヒーのいい香りがする。僕たちの為にわざわざいれていただいたそうでメンバー全員感激する。渡辺さんは本当にいい人だ。奥様もとびきりの美人である。誰が言い出したかは忘れたが気分転換に何とバッティングセンターに行くことにした。演奏するのに必要な筋肉以外(補助筋肉)を動かすことはコンディションの維持に欠かせないのを皆良く知っている。渡辺さんにバッティングセンターまでナビしてもらい、再演を約束してお別れした。その後はただひたすら打ち込みである。皆無心になって玉を打ちまくる。いい感じになったところでバード&ディズへ向かう。予定の5時に程なく到着。8時が1セット目だが今日は満席というわけにはいかなそうだ。45分押して開始。約15人程の入りである。オーナーの元木さんいわく今日はいろいろな忘年会があって集客が難しかったとのこと。が我らは関係なくひたすら盛り上がる。人数は少ないがお客さんが精一杯の大きな拍手をしてくれる。ありがたいことだ。当然更に演奏は白熱する。打ち込みの効果は演奏にバッチリ現れている。来店していた名古屋コーディネーターの松平さんがおいしい酒をプレゼントしてくれた。あまり飲まない外山くんがこれはイケルと口にしている。ゲタ夫さんはどこで仕入れたのか甘酒を飲んでいる。大儀見くんは元気一杯である。午前1時を回り散会となる。泊まりのビジネスホテルでチェックアウトの延長を申し込むが原則として受け付けていないとのこと。しかし大儀見くんがうまく話をつけてくれて昼12時までOKとなる。さすがに皆疲労している。各自言葉少なに部屋に向かう感じだ。今日もよい演奏が出来た満足感が漂っている。ベットは広めでいい感じだ。早々にモグリ込む。

 
12/6(月) 神戸チキンジョージ
 

 12時ロビー集合。神戸チキンジョージへ出発する。今思うとまさかあそこで自分のライブを演るとは!という感じだが個人的にはいろいろ良い思い出のある場所である。中央道から東名、名神を西へ向かう。SAで昼食、その後ゲタ夫さんが運転を買って出てくれた。大阪市内から阪神高速に乗り替えて神戸に向かうが事故渋滞で混んでいる。右に六甲山が見えてくる。震災後の神戸にくるといつも感心する。この復興のパワーはすごい!目に見えないところでは忌まわしい傷跡がいくつも残っているはずだが活気に溢れる街並を見ているとその想いも薄れてしまいそうになる。チキンジョージのステージはとても広く音響もバッチリである。このツアーではじめて自分のキーボードを車から降ろす。新調したモニターアンプは今日が本番初日である。試そうと思っていたピアノの音色は実にいい感じである。アンプもいい感じだ。移動中にエル・グラン・コンボのティンバレーロを演ってみようという話になりリハーサルをするが不明瞭な点が多く本番では見送りとなった。1セット目は7時半であるが15分ほど押しで始まる。ここは楽屋も広いのでゆっくりと衣装に着替え髪をセットしていざ本番という5分前にいきなりゲタ夫さんが*その髪型じゃダメだよ!ヒラータ*という発言!デップを山のように手に盛られてしまった。極めてCDジャケットに近い状態でステージに上がることになった。お客さんの入りは少なかったがそれでも精一杯の声援をしていただいているのが実感できる。物凄く盛り上がる。私は唄まで唄ってしまった。(この時のゲタ夫さんの狼狽ぶりはかなりウケていたようですが...)メンバー全員意気揚々と引き上げる。打ち上げも盛り上がる。いよいよ明日は最終日。心地良い眠りにつく。

 
12/7(火) 大阪 パタパタ・デ・ラ・サルサ
 

 いよいよ最終日となった。連日のハードな演奏にも関わらずここまで誰も体調を崩していない。しっかりと自己管理のできるすばらしい音楽家達である。昼食後大阪へ向かう。今日の本番は夜9時40分からである。楽器を運び入れチェックインを済ませた後ゲタ夫さんと心斎橋界隈にプロモーションに出かける。労を取っていただいたのはゲタ夫さんの友人でもあるソニータワーの土肥彰さんである。土肥さんのナビでいくつかのCD店に出向く。HMV心斎橋店では売れ行き好調で感激する。ポスターにサインをして張り出していただけるようにお願いをする。店長の高岡さんにはとてもいい感じで対応していただいた。ゲタ夫さんはポスターを張る場所まで例の感じでうまくリクエストしている。本当に心強い人である。会場に戻ると最初のバンドが始まっている。関西ラテン・ジャズ・ピアノの雄、中島徹のいるバンドだ。センスの良いサウンドが溢れていた。次に登場したのが関西ラテンベースの第一人者、山田良夫のスペシャルバンド。メンバーは森村献、近藤和彦、都筑章浩、美座良彦、藤井摂、といった豪華メンバーで当然その筋の人間を唸らせるようなサウンドである。この頃すでに客席は満員である。そして僕たちがトリをとることになった。この手のイベントではよくあることだが時間がだいぶ押している。40分遅れの10時20分ごろからやっとスタートする。今日も演奏がハジけている。いい感じだった。あっという間に1時間が過ぎツアーの終焉をとげた。当然打ち上げでは3バンドが入り乱れて盛り上がる。連れていっていただいた文楽座の裏手にある焼肉屋さんはバッチリである。改めてニンニクの偉大さに驚いた。さすがに体はバテていたので食事をしてすぐ引き上げようと思っていたのだがすっかり腰が軽くなる。なんだかんだでホテルに戻ったのは午前6時近くだった。ゲタ夫、外山、大儀見の3人は松岡直也さんのRHの為一足早く東京に戻ることになっている。私は初めての大阪-東京1人ドライブである。ゆったりとした帝国ホテルのベッドは何とも心地よかった。

 
 12/8(水) 帰京〜ツアーを終えて

 

 朝食を済ませ午前11時半ホテル出発。ガソリンを満タンにして帰京の途に着く。皆の楽器を預かっているため決して無理は出来ない。のんびりムードでいくことにした。途中チキンジョージでの演奏を聴く。自分でもビックリする場面がいくつもあった。新たな自分自身の発見と自覚が芽生えた感じがする。メンバーへの感謝の気持ちで一杯になる。午後8時半ごろ無事に帰宅。翌日各メンバーに楽器を返し無事ツアーは終了した。

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 10/8から始まった1stCD発売記念ライブは数多くのミュージシャンとスタッフ、協力者に恵まれて年内の予定を全て無事に終えることが出来ました。私にとっては初めての経験の連続でしたが参加していただいた全てのスタッフとお客様の力で成功させていただいたという気持ちで一杯です。来年は各地でのコンサート形式のライブを行えるよう現在準備中です。出来るだけ多くの場所に出向きたいと考えています。また2ndCDのレコーディングも着々と準備中です。どうもありがとうございました。

                1999.12.11  平田フミト